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「個性ある多様性」の実現を目指して

Yamaha Motor / ヤマハ発動機

ヤマハ発動機は、180を超える国と地域で事業を展開する海外売上高比率約9割のグローバル企業です。事業領域は二輪車、ボート、船舶や自動車のエンジン、四輪バギー、スノーモービル、電動自転車、ロボティクスなど、多岐に渡っています。かつての親会社である楽器を中心としたヤマハ株式会社と同じブランド名を使用しています。

この取り組みは柳 弘之代表取締役社長(2015年当時)がブランドの重要性に着目したことに端を発します。
2010年に社長に就任した同氏は、非常に厳しい経営環境の元で構造改革を成し遂げ、財務的状況が改善する中で、企業価値は財務価値だけでは評価できないと考え、目先の数値には表れない未財務価値の源泉として、ブランドを中心とした経営をしていくことを決断しました。最も重要なポイントは、「Yamahaは他のブランドとは異なり、選択と集中のブランドではない。様々な事業を展開する多様性のある面を持ちながら、それがユニークネスにつながるような企業となりたい」という想い。そのため、ブランドの運営方針は[Governance(取り締まり)]型ではなく、価値創造するための[Activate(活性化)]に拘るということが示されました。ブランドマネジメントの具体的な施策の主だったものとしてとして、以下の3つが挙げられます。

1.共通言語となるモノサシを導入
バイクや船など事業横断して同じ指標で測る仕組みを確立し、全社で目標設定できる仕組みを整えました。これまで売上高や利益が中心の指標となっていたが、国×事業で社内外の成果をみえる化できるようになり、各国の貢献度が見えることで、比較的遠心力が働くようになりました。独立意識の高かった各国のマネジメントが、競争の意識が芽生え、急速に関心と活動へのコミットメントを見せるようになり始めました。そして、その各国・地域の関心を具体へ落し込むために、本社がワークショップのプログラムを提供し、課題抽出と活動計画策定の立案をサポートする仕組みを構築しました。同時にグローバル共通課題の抽出も行い、全社の中期計画の指針にもつながっていきました。

2.ヤマハらしい価値創造モデル「感動サイクル」
この各国や事業での取り組みを行うにあたって、要石となるのが「感動サイクル」です。
事業活動をブランド視点で示す価値創造モデルであり、共通のモノサシがブランド強度であるならば、共通の価値創造の考え方を「感動サイクル」として定義しています。それは社員自らが感動することから始まります。そしてそれは顧客にとっての感動となりヤマハファンが広がり、ビジネスの成果として還元される、といったことが書かれています。

事業起点で書いてしまうと、自分たちのビジネスモデルや競合環境が違うという議論になるところを、感動という顧客の価値をベースに設計することで1つのモデル構築への集約が実現しました。結果として、多様な事業においても、ヤマハらしさを感じられる活動が表出することを可能にしています。

3.現場自律型ブランドマネジメントの仕組みAutonomous Branding®
基本理念、モノサシと価値創造のあり方は共通のものとし、それを“BADI”を呼ばれるアンバサダーへの徹底した理解・共感の取り組みをした上で、その活動は国・地域での最適なものができるような仕組みづくりを支援。ヤマハ発動機では、独自の「ヤマハらしい」マネジメントアプローチをAutonomous Branding®として名づけ、本社は枠組みとコンテンツを用意し、各国はそれを 自由に選択活用し、自律的にブランディングを展開できるようになっています。そしてそのコンテンツは各国側からグローバルコンテンツとして共有することも可能で、優秀なコンテンツや体験・活動はどんどん活用されていくようになります。

このように、ブランドを経営の重要な資産と位置づけ、全社を挙げて取り組んできた結果、Yamahaのブランド価値は上昇を続けており、2013年対比で約3倍となりました。今後は世界中の生活者が感動を生みだすことをサポートしてくれるブランドといえばYamahaが想起されるようなアイコニックな活動が次々と生まれてくることを期待されています。

※この価値は楽器のヤマハ様との合算となりますが、ヤマハ発動機の貢献分も非常に大きいものと考えています。