Walmart

組織の活性化と従業員を中心とした社内浸透活動

アメリカ・アーカンソー州に本社を置き、国内5,000店舗を超える世界最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmartは、多くの顧客がWalmartで商品を買い求めている一方で、顧客のWalmartに対する意識は必ずしもポジティブな面ばかりではない、という課題を抱えていました。インターブランドがブランドの現状についての各種調査を行った結果、全世界で230万人以上いるすべてのアソシエイト(従業員)をいかに活性化させ、同じ方向に向かわせていくかが、課題を解決し成功するための最大の鍵になる、と考えました。

Walmartには長い歴史があり、アソシエイトも熱心に業務にあたっていましたが、近年では会社として目指しているものと社員が実感しているイメージにはギャップがあり、これを解消し一体感を醸成、目指すものへ組織を推進していくためには、日々の業務と生活の両方において会社の価値を毎日実感できるような、ブランドとしてのストーリーが必要であることが分かりました。

Walmartには、さまざまな部門や階層ごとに、アソシエイトに向けた多様な社内プログラムがありましたが、全体として日々何を目指せば良いのかが分かるような、一元的なプログラムや系統立った仕組みはありませんでした。インターブランドは、こうした課題を解決するために、アソシエイトの日々の活動の詳細に基づいたアソシエイト・ジャーニーを実施、業務中に顧客とのコミュニケーションや接点を明確化し、顧客との重要なタッチポイントを特定するとともに、企業とアソシエイトの想いの間にギャップがあることを浮かび上がらせました。こうした調査分析に基づき、Walmartの新しいアソシエイト・バリュー・プロポジション(AVP:従業員行動価値指針)を開発したのです。これにより、アソシエイトは日々行う業務の中で、Walmartで働く価値を実感できるようになったとともに、一連の取り組みを通じて、アソシエイツを団結させ、彼らの仕事が自分自身や家族の生活、そしてコミュニティ全体にとって重要であることを認識し、共感させることが可能になりました。

また、インターブランドはWalmartが社内浸透活動を展開する上で効果的かつ使いやすいビジュアルシステムを構築しました。活動主体となる個別のグループが、全体の一部であるという一体感を持ちながら、それぞれのオーナーシップのレベルを維持できるような仕組みとし、また社内コミュニケーション用のプラットフォームを開発し、一人のアソシエイトの日々の生き生きとした体験やストーリーを、他の多くのアソシエイトに共有できる基盤を構築しました。

一連の活動の象徴である、社内向けスローガン”Better Together”は、Walmart社内全体に大きな変化をもたらしました。アソシエイトの日々の貢献が、企業全体にとっての活力となり、インスピレーションと祝福の源泉となりました。”Better Together”の成果は、Walmartの年次株主総会で全米から集まった2万人のアソシエイトの前で発表され、その活動は現在も継続して行われています。