
顧客が求めるもの。
それは泊まる場所ではなく、 ”体験”。
新たな顧客を惹きつける、今までにないブランド体験の提供のために。顧客に応え、事業成長への投資を進めるインターコンチネンタルホテルの試み。
インターコンチネンタルは、ホテルは単なる宿泊場所ではないと考えている顧客を惹きつけたいと思っていました。インターブランドの調査によってセグメントされた新たなターゲット、すなわち、旅行経験が豊富で、好奇心があり大胆で、そして本物の体験を求めている人々に支持されるために、これまでと異なる、新たなブランドプロポジション “In the know(熟知・精通していること)”が導き出されました。それはつまり、”インターコンチネンタルは、物事をよく知っている人々、お金では買うことができない本物の旅行体験を大切にしている人々のためのブランドである”ということでした。
一方で、ブランドのリポジショニングを行っても、ビジネスの成長につながらなければ価値はありません。財務の観点も含めた統計的分析により、ホテルスタッフの応対やゲストルームそのものが、顧客の評価を左右する重要なタッチポイントであることが明確となりました。インターブランドの投資対効果分析により、これらの分野の改善は6,000万ドル以上の利益をもたらす可能性があることが明らかになりました。顧客体験を中心に据えたブランドプロポジションは、単なるコピーではなく、”リアルな”街へのゲートウェイとしてインターコンチネンタルをリポジショニングするという、本質的な価値を生み出していきました。
インターコンチネンタルが新しいブランドを提供できるようにする第一歩として、現地において、わたしたちはホテルスタッフと実際に一緒に動き、ホテルの周辺や街のさまざまな知識や情報を十分に共有し、常に顧客の視点で考えるように促しました。また、コンシェルジェに関しても、彼らの持つ知識を最大限に活かし顧客に提供する、新たなコンセプトが立ち上げられ、ホテル内のパンフレットとWebサイトの両方において、あるべきコンテンツを再構成していきました。さらに新たなブランドの考え方のゲストルームにおける展開として、スマート・テクノロジーとそれにふさわしいデザインを通じて、その街らしさやその地の独特の雰囲気を、部屋の中でも感じ取れるようにしました。
効果はすぐに現れました。ブランディングが導入された翌年には、ブランド検討率が10%増加し、1部屋あたりの収益は12%増加、株価は26%上昇しました。 リアルな指標数字によって裏付けられた事業の成長が、ブランド体験の変革の広がりとその重要性を物語っています。
“インターブランドは、核となる考え方をブランドの体験を生み出すアイコンとして翻訳し、さらにそれを実践するために、カスタマージャーニーの中のカギとなるタッチポイントに埋め込んでいったのです。” — David Anderson, Vice President, InterContinental Hotels Group


