
BtoBかつ無形のプロフェッショナルサービスを商品とするコンサルティング業界のコーポレートブランドを対象とし、事業戦略(2030年に向けた長期ビジョンと2025年に向けた中計経営計画)と一体化を目指すブランディングの取り組み
課題背景
不確実性の高い非連続な変化を遂げる社会と、変革を模索する顧客に選ばれ続けるために、自らの存在意義(長期ビジョン)とマイルストーン(中期経営計画)の策定を進めてきた。
その過程で聴取した顧客からの自社への現状認識と期待に応えるために、長く掲げてきた「Real Partner®」という姿勢をより進化させるコミュニケーションの強化と、プロフェッショナルサービスの実体を担う社員の意識変革を同時に起こすコーポレートブランディングの必要性が高まった。
組織体制
代表取締役社長を本活動のオーナー/最終意志決定者とし、また長期ビジョン・中期経営戦略を策定・推進する役員とコーポレートコミュニケーションユニットを中心とした体制で実行。また、活動のスタート当初から、実体を担う社員が中心となる長期的な取組と見据え、国内外の組織長・マネージングダイレクターなどの上位層から現場の若手キーパーソンも議論に参画するなどの巻き込み型の体制で遂行した。
戦略・実行
約7,000人規模のプロフェッショナルと、日本やアジアを地盤とした顧客との共創による新しいグローバルスタンダードの創出、また、他社にみられるグローバルメソットそのままの導入ではなく、日本発で投資の意志決定も迅速に行える他社とは異なる独自の立ち位置といった、「アビームらしい差別性」が「Build Beyond As One.」というブランド戦略の指針に込められている。
その指針に沿うように、共創のタイアップコミュニケーションにおいては、顧客とアビームの人材が一緒に登場し、かつ顧客とアビームの人やその企業の集合体を現わす「ドット」で構成されたデザインエレメントを採用し、CXOクラスにもリーチするタッチポイントで展開している。また内部に対しては、「新コーポレートメッセージと、それを具現化したプロジェクトやサービスの実例発信をトップから繰り返し行い、コミュニケーションにとどまらずプロジェクト提案や実行の過程においても“Beyond”や“As One”に表現された提供価値が、チームの意思疎通や意思決定に活用されるような仕組みを構築し、浸透を拡げている。
活動の成果
対インナーには、コーポレートメッセージがプロフェッショナルサービスの変革のドライバーとして機能し始めている。例えば経営陣で顧客への提案内容の審査会を行う際に「この提案は“Beyond”と言えるか(顧客の期待を超える、新たな価値につながるか?)」」という形で共通の判断軸となっている。人材確保の面でも競合との差別化が現社員のエンゲージメント向上と、ブランドに共感する社員の入社増加などに手応えを得ている。
対アウターには、発信がCXOクラスにも届きIT領域の専門家という誤認が解け始め、それによって、例えばコーポレートサイトを経由した引き合いだけでも前年度比17%増と拡大し、上述の提案内容の幅や付加価値の拡張からプロジェクトテーマのポートフォリオも変化し、過去最高の売上・利益率のとして前年度比10%増達成へと貢献した。
ご担当者様コメント
例えば、クライアントとの共創タイアップコミュニケーションの一つとして展開したESGに関するプロジェクト事例は、単なる広告宣伝に留まらず、その取組を広く知ってもらい、共にに社会全体の課題解決に取り組もう、日本発の付加価値モデルをグローバルに展開しよう、という意味合いもある。そうした発信活動への協力に関して、クライアントから快く承諾を頂けることに、アビームの“As One”の強みが現れていると思う。日本の経済環境には厳しい見立てもあるが、クライアントと共に日本発の新しい価値創出に取り組んでいる企業があることを知っていただき、社会課題解決と企業の成長に貢献していきたい。
評価コメント
本活動はBtoB領域で無形のプロフェッショナルサービスを商材とするコンサルティングカテゴリーのコーポレートブランディングです。長期ビジョンと中期経営戦略を策定し、それらの達成確度を高め、社内外の認識変革を促すために事業戦略とブランド戦略が一体としてトップから現場社員も参画する巻き込み型で取り組まれていること、そして自らの強みと強化すべき点がアビームの差別性(日本発・アジア発の総合コンサルティング会社)として、そのストーリーが分かりやすく簡潔にコーポレートメッセージとして表現されていること、さらには社内ではそれが判断軸として活きており、結果、アウターの評価もわずか1年で変わりつつあるという点において、類似の業種にとっても学びが多くあることを高く評価しました。