スノーピーク - Japan Branding Awards - インターブランドジャパン

Best of the Best

「キャンプ」の持つ本質的な価値を日常においても広めるために、ブランドの提供価値が人事、社員教育に深く根ざす企業風土をつくりあげ、ブランドと事業戦略の一体化を実現した活動

課題背景

スノーピークは、今ではハイエンドなキャンプ用品のブランドとして、またユーザーと最も近いコミュニティブランドとして認知を得るほど順調に成長しているものの、いまだミッションステートメント「The Snow Peak Way」にて掲げた“自然指向のライフスタイルを提案し実現する”状態には遠く及んでいないと考えていた。さらに、日本のオートキャンプ人口は微増を続けるものの人口の6~7%程度に留まり、キャンプ用品の企画・製造・販売事業だけでは、社会への価値提供は一部に留まっている認識があった。
そこで、社会に提供する価値を今一度見つめなおし、これらを体現する事業戦略へと落とし込むことで、社内外におけるコーポレートブランドの更なる成長を目指した。

組織体制

社長を最高決定者とし、組織全体にブランドの重要性に関する基盤が素地としてしっかりと根付いており、経営方針の元で商品開発等の重要な事業判断を行う際には各関連部門が適宜連携し、活発な議論を重ねながら動く体制となっており、全部門が当事者意識をもって「スノーピークらしさ」を体現。
また、プロダクトやアパレルのみならず、グラフィック、撮影、Webなど、すべてのデザインを社内のデザイナーが行うことで、ビジュアルの世界観やトーン&マナーの統一を実現している。

戦略・実行

キャンプ用品という「モノ」の先にある、自然と触れ合う体験やそれを通じて人々を笑顔にすることを目指し、役員および上級管理職と改めて「キャンプ」の本質的な価値について議論を重ね、「人間性の回復」というワードに至り、「人と自然、そして人と人をつなげることで人間性を回復する」ことがスノーピークの提供価値であり社会的使命であると定義。
それはキャンプをやる人だけでなく、むしろやらない人にこそ求められるとし、そうした想いからコーポレートメッセージ「人生に、野遊びを。」を創出。ロゴと組み合わせたデザインシステムを開発し、ガイドラインを策定。また、キャンパーというブランド価値観の社内浸透と採用戦略、人事評価への反映を行い、明確なスタンスとガバナンスを定着させている。
さらに、より幅広いターゲットに向けた「野遊び」を展開するため、都市と自然を行き来することをコンセプトとした「アパレル事業」、住宅や職場に野遊びの要素を取り入れる「アーバンアウトドア事業」「キャンピングオフィス事業」、「野遊び」のノウハウを活かして地域活性化に貢献する「地方創生事業」「グランピング事業」など、数年の間に新規事業を続々と立ち上げ、新たな市場創造を進め、ブランドコンセプトを具体的な事業活動に結びつけている。

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活動の成果

売上高は、2018年12月期で120億円と過去最高を記録。2014年12月期(55.6億円)から2倍以上、営業利益も2019年12月期に9.2億円と過去最高、2014年12月期(2.3億円)から4倍まで成長している。2014年以降に立ち上げた新規事業(アパレル、アーバンアウトドア、キャンピングオフィス、地方創生、グランピング)の売上構成比率は、2018年12月期で17%に達しており、新規事業も着実に収益に貢献し始めている。
平成31年度の知財功労賞では、「デザイン経営」カテゴリーの特許庁長官表彰を受賞。

ご担当者様コメント

組織が向かう方向は、ミッションステートメント「The Snow Peak Way」で表現され、そこで書かれている内容が行動指針であり、従業員マインドを作るものとして、社内に貫かれています。また、実際に年間50回以上お客様とキャンプを行うことで、お客様とのディスカッションによって商品開発を進めるなど、人と人との繋がりやエンゲージメント、常にリアルタイムで生のコミュニティで対話する文化によって実現する仕組みとなっています。それにより、スノーピークは「オートキャンプ」という新しい文化を生み出し、まだ世にない革新的な製品、サービスを生み出して市場を創造し、これからもその姿勢は変わらないという強い想いもあります。

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評価コメント

共創ブランディングとは最近言葉としては世の中では頻繁に登場するものの、なかなか実体化した上で具体的に事業化できているブランドは多くありません。同社は事業起点において常に顧客と対話し、インサイトを発掘しながら顧客とブランドを精緻化・進化させていくことに重点を置いており、社員と顧客が共にキャンプ体験をすることで得られたインサイトや未充足価値をベースにブランドを精緻化し、実績にも直結しています。
また、すでにブランドが全社活動の礎となって、ブランドと事業戦略が一体化しており、必要最低限の取り決めを定めた上で、ぶれることなく全社で徹底されている点も高く評価できます。

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