さくらねこ - Japan Branding Awards - インターブランドジャパン

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公益財団法人がブランディング手法を活用することで、 TNR活動(Trap:捕獲・Neuter:不妊手術・Return:元いた場所へのリターン)の理解や共感を高め、人と猫が共存できる社会の実現を目指す活動

課題背景

どうぶつ基金は、殺処分を減らすため15年ほど前からTNR活動(野良猫の捕獲・不妊去勢手術・元いた場所へのリターン)を開始している。ノラ猫の異常繁殖は、地域コミュニティから「うるさい、臭い」など、負の認識を持たれてしまい、TNR活動そのものや活動を支えるボランティアに対する理解が進まない状況にあった。殺処分ゼロを目指し、猫も人間同様に生き物であることから、不幸な命を増やさないための活動であることの理解を広め、ボランティアの方々が自信を持って活動できることを目指し、ブランディングに取り組んだ。

組織体制

職員は、理事長夫妻、スタッフ2名、計4名と少数であるが、上記の課題に対応していくためにボランティアやサポーターからの意見を取り入れながら、どのようなアクションが良い結果をもたらすかチームで検討し推進。

戦略・実行

「殺処分ゼロ」を実現する最も効果的な方法はTNR活動であるが、一般に対して具体的な手法や活動が理解しやすいイメージがなく、活動の説明をすると不妊手術に対しては「繁殖本能を無くすことは可哀想」という苦情や、手術済みの目印のために耳先をカットするため、「耳先カット」と表現したところ猫の虐待ではないかという批判があり、本活動に対してネガティブな印象を持つ人々も多数いた。人が可哀想とネガティブな感情・印象を持つと活動自体が正しく理解されずまた伝わりにくいことに気付き、活動をポジティブなイメージで聞いてもらえ、正しく理解される方法を考えた結果、目印の特徴や活動背景の想いを伝えるネーミングとして「耳先カット」から「さくらみみ」、「さくらねこ」と定義したことで、活動に対しポジティブなイメージへと変化が起こった。活動の象徴として「さくらねこ」がブランドになるよう様々な活動強化を開始。取り組みの一環としては、商標登録や記念日の認定を取得し認知向上を行うことや、活動継続に必要な募金を募るためSNSを通じて活動発信を強化した。そして、実際に殺処分から逃れた猫がその後幸せに過ごしていることを発信し、より活動理解の促進を目的とした写真展も開催し、猫への関心や活動とボランティアへの理解醸成をサポートしている。併せて自治体やボランティア向けにマナーポスターを配布しそのデザイン公募により、認知・理解のきっかけづくりも行なっている。活動理解が深まることで、活動に協力してくれる動物病院も増加した。

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活動の成果

不妊手術実績は2019年5月末時点で累計9万頭を突破し、殺処分ゼロは数年以内に達成される見通しである。活動維持のため募金活動もネット募金およびコンビニ募金の運用開始前と比較し、導入後1年間(2018年6月~2019年5月)の平均月間寄付額は41%以上に増加。特に、定額寄付を中心とするホームページからの寄付額が前年比40%強増加。現在は協力病院数も増え、来院する人に協力病院であることを知って欲しいとの依頼が増えたため認定シールを配布するまでに成長。

ご担当者様コメント

猫は野生動物ではないので、TNR活動について理解してもらい、一代限りの命を見守ってもらいたいと思います。猫の問題は時として人間同士の対立も生んでしまうことがあり、それも社会問題の一つであると考えます。この活動が進むことで社会も人も寛容になる姿の実現を目指したいと思っています。
またTNR活動は多くのボランティアの方々によって成り立っています。様々な職業の方が携わる中で、良いアドバイスは取り入れながら活動を進めてきた。本活動は社会貢献活動なので、ブランディングを通じてボランティアの方々の活動がスムーズに行え、誇りを持って活動が出来るように引続き取り組んでいきたいです。

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評価コメント

TNR活動に対するネガティブなイメージから、ネーミングによってポジティブな印象に転換したこと、ブランディングやマーケティングに距離を置くNPO団体が多い中で、様々な試行錯誤を経て効果的なブランドを構築したことを評価します。さらにはデジタルコミュニケーションを活用し、取り組み活動だけではなく結果も発信することで理解・浸透が進み、協力病院数も増えることでボランティア活動の活発化を促進しています。社会課題の解決に対してブランディングを活用する取り組みのケーススタディとして、これから殺処分ゼロの目標を達成されることを期待しています。

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