Airレジ - Japan Branding Awards - インターブランドジャパン

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BtoB領域の新規事業立ち上げにおいて、従来の「営業マンによるPush型」だけでなく「ブランディングによるPull型」の活動により、ブランド力が向上し事業拡大を実現した活動

課題背景

リクルートライフスタイルの「業務支援ビジネス領域」の新規事業であるAirレジは、既に老舗競合ブランドが圧倒的な認知率を持つPOSレジ市場においては、後発参入であったことから、従来、同社が得意としてきた「営業マンによるPush型拡販」だけではなく、「ブランディングによるPull型」で認知の質と量を高める必要を感じていた。また、2015年当初、iPadで使えるレジ、いわゆる「POSレジアプリ」自体の認知率も導入関与者の3割程度しかなく、Airレジが、単なる「会計作業のためのPOSレジ」という機械でなく店舗の業務支援サービスだと認識されていなかったことから、機能価値訴求だけでなく、情緒価値訴求も行うことで、ブランドとしての好意度を得ることも必要と考え、活動をスタート。

Airレジ(※)・・・『Airレジ』は、小売業・飲食業・各種サービス業に必須のレジ業務がiPadまたはiPhoneで行える、0円でカンタンに使えるPOSレジアプリです。 2013年11月19日にサービス提供を開始。2019年6月末時点でアカウント数が42.2万を超え、利用店舗数No.1*のPOSレジアプリとして、日本におけるモバイルPOS市場の拡大を牽引しています。 *調査主体(株)リクルートライフスタイル 調査実施機関(株)インテージ(2019年4月時点)

組織体制

Air事業の横断PR・ブランドチームを中心に、同事業部以外の社外向け広報や同事業内のUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)グループと連携した横断チームを構築し推進。統括・指示・監修をブランディングの中枢を担当者が担っているが、2018年後半から複数人にナレッジシェアを行い、後継者育成も実施し組織としてのブランド育成を展開。

戦略・実行

2015年に担当者と当時の事業責任者の二人からプロジェクトをスタートし、まずストーリーの構築から開始し、その上で顧客視点を鑑み、「どう思われたいか?」を言語化し、伝え、広めていくプロセスで実行。ブランド定義の前提となるマーケティング分析を実施し、ブランド・プロミスを策定した上で、Air事業に関わるユニット長全員を巻き込み「ビジョン・ミッション・バリュー」を、最も大切と考える「顧客視点」も関連させながら策定。機能的メリットだけでなく、導入時の心理的な変化を訴求するなど情緒的なメリットを訴求する方針で展開を行い、コミュニケーション施策においてはマルチなタッチポイントを活用し展開。表現指針における「らしさ」の導出・共有として、外部制作物も含めて全てのクリエイティブや施策のレビューをイントラで実施し、その履歴を残し閲覧を可能とすると同時にレビューを可視化し、定期的な勉強会で学ぶ機会を創出。
ターゲット・目的・セオリーの明確化、何を訴求するかというブランドマネジメントの徹底、現場やお客様目線でガイドラインの改善点について意見を取り入れ、毎年ブランドガイドラインを更新し、半期に一度は勉強会を実施し、関係者への浸透、啓発に取り組んでいる。

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活動の成果

3年間のブランディングへの取り組みの結果、Airレジのブランド認知率は「量=助成想起」が4年半で6.2倍、「質=純粋第一想起率」が1年間で3.4倍伸長と大きな伸びを達成し、ビジネス面でも新規アカウント数が順調に積み上がっている。同社内においても、「ブランド投資とビジネス貢献の関係性」が定量的に明らかになったことから、Airレジのブランディングを推進する組織が設置され、継続的なブランディング投資の経営判断が行われた。

ご担当者様コメント

大規模営業だけでは永続的に利益創出できないビジネスモデルであることと、「ほぼ認知度がない」ことでネットマーケティングが効かなかった新規事業における2つのハードルを「ブランディング」で打破できたことが、大きな収穫だと考えています。
活動当初はブランド投資に懐疑的であった経営陣や、ブランド理解の薄かったエンジニアやセールスのメンバーの意識を変革する必要性や、数値で物事を証明できなければ投資の意思決定が困難な社風のため合意形成に苦労しましたが、本活動によりビジネスKPIとの関連性について証明することで、これまでよりも経営陣や関係者との会話や協働がスムーズになったと実感しています。

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評価コメント

B to B領域の新規事業立ち上げにおけるブランディングは、その必要性の理解を経営陣や関連部門から得ることが難しい中、非常に丁寧かつ基本に忠実なアプローチでブランド構築をボトムアップで実践しています。さらに、ブランド投資のビジネスへの効果を定量的な数値で証明し、経営からの支持を獲得した結果、さらなるブランディング投資につなげている点を評価します。また、機能訴求に陥りがちなB to Bブランディングにおいて、常に情緒的価値を一貫して訴求し、認知度だけでなく、ブランドイメージの浸透にも成功しており、ブランディングの活動全体をチェック、サポートする仕組みも整え、オンラインツールを活用して業務プロセスを効率化していることも高く評価しました。その取り組みを継続することで関係者のブランド世界観の共有化につながり施策全体に一貫性が出てくることに繋がっていると考えます。

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