
Coronavirus: Brand Moves for Vol.33
2020.5.7
Interbrand Group
Chief Innovation Officer Chris Nurko
Eコマース事業を展開する中国企業大手Alibaba は、若年層の消費者をターゲットとした新しいラグジュアリー・プラットフォームを立ち上げました。世界的なロックダウンの間に増加した高級ブランドの在庫を減らすことが目的です。多くのブランドは3月以降、中国における売り上げが回復する中、パンデミックが原因で世界中のサプライチェーンや在庫管理の見通しが立たず、ファッション産業全体では膨大な量の売れ残り商品を抱えています。アリババが運営する主力ウェブモールのTmall Luxury Pavilionと並行して、試験的にLuxury Sohoという新しいプラットフォームの運用を始めました。“現在、多くのブランドが世界中で在庫過多の状況のため、新たな消費者にリーチする方法を見つける必要があります。”と、Tmall Fashion and Luxury in Europeの代表であるChristina Fontanaは述べました。
Fontanaによれば、このプラットフォームを通じて、中国の都市の規模を階層ごとに分類した指標の中でも、より低いランクに位置する都市の生活者や、Z世代と呼ばれる、高級品に近年触れ始めたばかりの25歳までの若い消費者を新しい顧客としてリーチすることが出来ます。彼女はまた、 “Luxury Sohoでは、ファッションブランドはセレクトした商品やブランドのコレクションをオンライン上のアウトレットストアとして、特定のオーディエンスに届けることができます。” と述べました。
サンフランシスコを拠点とするカジュアルウェアブランドのAmerican Giantは、HanesやFruit of the Loomなど他の衣料品ブランドと同様に、保護マスクの生産に注力してきました。また同時に、WFH Pantという名のゆったりとしたシルエットのスラックスを販売開始し、新たな労働環境に向けて適切な対応をとっています。この148ドルのスラックスは、2020年に在宅勤務が本当に意味するもの、つまり、自宅で仕事をこなすだけでなく、日常生活の中で必要な作業に適切に取り組むためにデザインされたもので、“スウェットパンツのストレッチ性、快適性や着用のしやすさ、さらに洗練されたスタイル”を兼ね備えています。
4月1日にKronos Incorporatedと合併したビジネスソリューション・プロバイダーのUltimate Softwareは、UltiProプラットフォームをサポートするリソースと機能を発表しました。このUnitProは、不確実性の高いこの時期に、お客様が変化を続ける中で同様に変わりゆく法整備を把握することだけでなく、従業員のフィードバックやニーズを理解し、効果的なコミュニケーションをとることができるよう支援するものです。今回、人事・給与管理関連製品の機能環境の強化などが更新され、新たに整備された、従業員数500人以下の米国の雇用主に影響を与えるFamilies First Coronavirus Response Act (FFCRA)、Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security (CARES) Actなどの雇用関連法だけでなく、COVID-19に関連する州法や連邦法など、新しい雇用主関連の法律をナビゲートする機能が含まれています。
Ultimateが提供するPerceptionという調査サービスに、新たに危機管理のために従業員意識のパルス調査が無償で追加されました。この調査では、昨今のCOVID-19パンデミック時の従業員ニーズに対応することが目的です。Ultimate社内の産業組織(I-O)心理学者が、このアンケート調査を開発し、現在のCOVID-19が蔓延する期間の従業員ニーズに対応し、士気を高め、組織全体の機運を維持することに繋がります。従業員は場所を問わず、どのようなデバイスからでもアンケートに答えることができます。UltiProの顧客は、項目の詳細設定が可能になりました。これによって、人事部は設定項目へアクセスが可能な従業員を厳しく管理し、本当に必要な社員だけがオフィスで働く承認が得られるようにしています。また、Kronosは自動化された従業員の連絡先追跡ツールを導入しました。このツールは現在の危機に際し、顧客の組織維持とこの状況下でも勤務しなければならない従業員を支援するもので、今後施設再開に向けた計画を支援するなどの新機能も提供しています。
データサイエンスを活用し労務記録や勤怠データを分析し、COVID-19の陽性と判定された、または陽性と推定される同僚と接触した可能性のある従業員を迅速に特定し通知ができ、保健当局と協力の上、従業員が適切なケア、治療、および指示を受けられるようにすることで、ウイルスのさらなる感染リスクを軽減できます。Ultimateの最高収益責任者であるGreg Swickは次のように述べています。“不確実性と予期せぬ変化の時代にあって、私たちはお客様と従業員が危機を乗り越え、生産性を維持し、相互につながりを保てるようにすることを第一に考え、お客様と社員に貢献しています。Ultimate とUltiProは、今後も世界中の企業を支援し、顧客を第一に考えサービスを提供していきます。”また、両社は、人事・給与に関する業務の専門家が、Ultimateが提供するウェブ上のライブやオンデマンドのウェブキャスト配信を通じて、リモートワークをする従業員を効率的にマネージメントできるよう支援しています。さらにCOVID-19 Resource Centerをはじめとする、顧客、従業員、コミュニティが必要とする、無料で利用できる多数の支援ツールやネットワークを立ち上げました。また、Ultimateと Kronosは、一般の人々が無料で使えるKid’s Cornerを開設しました。このコーナーでは、従業員が子供の世話をしながら在宅勤務を両立させるための情報が掲示されています。その中でも、活動のベストプラクティスや無料で利用できる子供向けライブストリーミングの教育プログラム、子供向けのエンターテインメント情報が記載されたカレンダー、また、親が家で仕事する合間に子供を飽きさせない工夫も公開されています。
Ultimateと Kronosは、今回のパンデミックにより、深刻な影響を受けた従業員のために、Employee Relief Fundを設立し、少なくとも100万ドルを寄付しました。さらに、従業員達が個人的に寄付する金額に上乗せし、最大50万ドルの寄付を追加します。また、Ultimateと Kronosは、Center for Disaster Philanthropyが設立したCOVID-19 Relief Fundに対して、少なくとも25万ドルを寄付しました。今後さらに、従業員からの寄付に上乗せした金額を提供する予定です。これまでにUltimateと Kronosは、従業員とともにCenter for Disaster Philanthropyが設立したCOVID-19 Relief Fundに40万ドル以上を寄付しました。Ultimateの従業員達は、地域社会の最前線で働く医療従事者や救急隊員に食事を提供するキャンペーンに取り組み、すでにニューヨーク、南フロリダ、トロントの病院に1,000食以上の食事を届けました。また、マスクを製作するだけでなく、3Dプリンターを用いて個人用保護具を作るなど、Ultimateと Kronosのオフィスで働く人々と全国の医療従事者やエッセンシャル・ワーカーに提供しています。
Led Zeppelinのフロントマン、Robertの息子であるLogan Plantが、2011年に設立したロンドンを拠点とするビール醸造所Beavertownは、近年クラフトビール業界の主要なブランドに成長してきました。Heinekenは2018年に発行株数の過半数に満たない少数の株を購入し、4,000万ポンドを同社に投じました。しかし、Beavertownの売上の85%は、現在は閉鎖されたパブ、バー、レストランへの販売から成り立っています。ソーシャルディスタンスが求められるようになったとき、BeavertownはNanobotという新たなアルコール度数の低いビールの発売に向けて準備していた時期でした。ロックダウン前、Plantは、スーパーマーケットチェーンのSainsbury’sやパブチェーンのFuller’sとの間に販売契約を結んでいましたが、DTC(消費者への直接販売)へと軸を移しました。COVID-19の流行前、同社は小規模なウェブサイトを展開し、Eコマースの月間売り上げは良くても1,000ポンドほどでした。ブランドはEコマースのチームとインフラに投資し、オンライン販売に携わるスタッフを2人から8人に増やしました。また、缶製品だけを製造できるように設備を変更しました。オンライン販売は好調で、Nanobotの発売日当日の24時間で、25,000ポンドの売り上げを達成しました。“ウェブサイトでのEコマースは、今や私たちのビジネスでは2番目に大きな売上となりました。1,000パーセント増という驚異的な成長です。”とPlantは述べました。
“本当に良いDTCモデルを作りたいとずっと考えてきました。”と彼は述べ、さらに今では、サブスクリプション・モデルやクラフトビール・クラブといったものを開発し、愛飲者のコミュニティに今までとは異なるものを提供しようと考えていることを語りました。“私たちは単なるビール醸造所以上の存在だと感じているので、どうやってそれを超えてビジネスを拡大していけば良いのでしょうか?消費者と向き合って直接販売するDTCモデルに、私たちの未来があると考えています。”Beavertownはすでに毎週金曜日の午後4時から“Beavertown Session”を開催し、同社ブランドのクリエイティブ・ディレクターによるアートクラスやビールヨガ、Plantと一緒に取り組むビールのライブ・テイスティング、さらに音楽パフォーマンスなど、さまざまな体験ができるようになっています。
Translated and edited from “Coronavirus: Brand Moves for Thuesday May 7” in Brandchannel,
Authored by Chris Nurko