ブランドリーダーズ インタビュー

竹安 聡

パナソニック株式会社
執行役員
チーフ・ブランド・コミュニケーション・オフィサー兼
ブランドコミュニケーション本部長

※部署名・役職名は、Best Global Brands 2017インタビュー時のものです。

Best Global Brands 2017
“Growth in a changing world.” / 5つの質問

Q1: Growth
変化を続ける世界の中で企業はさまざまな形で成長していますが、御社もそうした変化に対応を進められていることと思います。進化を続ける御社の成長戦略の一端をお聞かせください。

パナソニックといえば家電のイメージが強いと思いますが、連結売上高では、住宅関連や流通小売、公共施設、航空・自動車関連などのBtoB事業が8割を占めており、いまや家電の割合はわずか2割です。
そういった前提を踏まえ、現在、私たちは、各事業を「高成長事業」「安定成長事業」「収益改善事業」の3区分に分類。各事業に、日本、欧米、海外戦略地域の3つの地域軸を掛け合わせ、リソースを投入すべき領域を見定めています。たとえば「自動車関連」など、市場が大きく伸びる高成長事業は売上・利益成長の牽引役と位置づけ、経営リソースを集中的に投下していきます。「家電」に代表される安定成長事業は、着実に利益を生み出し、経営の安定化に貢献するとともに、高成長事業への投資原資を生み出す役割を担っていきます。

Q2: Technology
日々革新を続けるさまざまなテクノロジーを、ブランドの強化・成長にどのようにつなげていますか?

これまで家電で培ってきたパナソニックの強みと、それぞれの業界を知り尽くしたビジネスパートナーの強み。それらを掛け合わせることで、これまでにない新たな価値を生み出していきたいと考えています。これは、私たちが「Cross-Value Innovation」と呼んできた社内スローガンをさらに進化させたもので、自前主義から脱却し、オープンイノベーションを標榜していく試みです。
実現に向けて、2017年4月1日に「ビジネスイノベーション推進本部」を新設。その中に新たに「ビジネスイノベーション本部」を立ち上げましたが、ここで副本部長として新規事業創出のリーダーシップをとるのは元SAPジャパンの馬場渉。同日に設立された「コネクティッドソリューションズ社」には、元日本マイクロソフト会長である樋口泰行を招聘するなど、試みは、すでにカタチになり始めています。
人材だけではありません。シリコンバレーで立ち上げた「HomeX」という未来の住空間環境プロジェクトでは、社内カンパニーのアプライアンス社やエコソリューションズ社と協業すると同時に、顧客とともにつくる「共創」という考え方で取り組みを開始しています。
また、「CES2017」ではIBMと協働でデジタル・コンシェルジュサービスを発表しましたが、これも自前主義から脱却し、オープンイノベーションを標榜していく試みです。
このような動きに対するブランドコミュニケーション本部の使命は、単なる広報・宣伝活動ではなく、コミュニケーションを通して事業を育てていくことに他なりません。それがブランド価値向上、ひいては、次の成長へつながっていくと考えています。

Q3: People
成長は利益を意味するだけではなく、人々とのつながりを創り、信頼を構築することでもあります。生活者との間で真のエンゲージメントを構築する上で、どのようなことを重視していますか?

2018年に100周年を迎えるパナソニックは、創業時からずっと「人」を中心に置き、その「くらし」をみつめ、より良いものにしていくという姿勢を貫いてきました。それは、私たちの変わらない原点であり、ブランドスローガンの「A Better Life, A Better World」も、「社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与せんことを期す」という当社の経営理念から導きだされたものです。
私たちは、住宅関連や家電事業は、「ベターライフ(A Better Life,)」の事業、車載や公共施設などは、「ベターワールド(A Better World)の事業」と位置づけ、100周年を見据えて社内外への浸透を図っていきます。
お客様との絆という点でも、100周年をどう迎えるかは大きなテーマです。グローバルなコミュニケーション活動において、これまで100年間ご愛顧いただいたお客様への感謝の気持ちや今後100年に向けた企業の姿勢を示していきたいですね。

Q4: Brand
今年、ブランドが直面している一番大きなチャレンジとして、どのような課題を位置づけていますか?

パナソニックの広報・コミュニケーション部門は、事業そのものを伝えていくことに留まらず、事業の先導役として、事業を育て、その事業について先行的に情報発信をし、社会的な評価を高める役割を担っています。
2013年より4年間、Wonder推進プロジェクトで継続してきた「Wonder Japan Solution」「ミラノサローネ」「フエルサブルータ」などはその象徴ですが、喫緊の課題としては、いよいよ開催まで半年を切った2018年の平昌オリンピックに向けた準備があります。
2016年のリオオリンピックではトップスポンサーとして、映像演出やシステムオペレーションなどのソリューションを含め、過去最大規模の映像音響機器を納入しました。これによって、より多くの人々に対してブランドを体感していただくことができたと考えていますが、平昌では、大会の成功に貢献しながら、さらに高次元でブランドのポテンシャルを伝えていきたいですね。そして、その先には2020東京オリンピック・パラリンピックがあります。
いま日本には、2020東京オリンピック・パラリンピックを機に、街を変えていこうという気運があります。私たちはその気運に合わせ、「Wonder」な商品やサービスを活用して、公園や商店街がどう変わるのかについて提案していきます。多彩な企業との協業をはじめ、「Cross-Value Innovation」を、さらに加速させていく場にもなるでしょう。

Q5: Future
アジアで、或は業界の中で、今後どのような変化/シフトが起きると予想されますか?また、それに対してどのような準備をしていますか?

アジア各国では家電製品のプレミアム志向が急速に進行しています。この流れは、ますます加速するでしょう。だからこそ、「家電・住宅のパナソニック」というブランドイメージを早期に 確立することが急務です。そのためには、いち早く現地ニーズの把握すると同時にタイムリーな商品開発を行い、マーケティングにつなげていく機動力が欠かせません。
すでに、中国、インド、東南アジアでは、家電を担当するアプライアンス社の現地法人による製販一体の自己完結経営を実現していますが、プロモーションとしても、「Japan Quality」を訴求した家電のプロモーションを推進していきます。
次の100年に向けて、当社では、社会の期待に応え持続的に発展していくためのさらなる事業の選択と集中を進めていますが、アジアが、その試金石となるでしょう。

竹安 聡
パナソニック株式会社
執行役員
チーフ・ブランド・コミュニケーション・オフィサー兼
ブランドコミュニケーション本部長