ブランドランキング

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トップ インタビュー

松井 忠三

株式会社良品計画
代表取締役会長

※役職名は、Best Global Brands 2014インタビュー当時のものです。

注目しているブランドや、刺激を受けた、もしくは受けているブランドは?

ユニクロです。ものを革新していく力が非常に強い。日々変えていく力と、オペレーションをしていく仕組みで、日本のブランドの中では、初めて大型店を成功させたと思います。
ユニクロは、商品の中身を変えて、それから広げていく。たとえば、ランジェリーは、ショップインショップをつくる。あるいは、ショップとして個別に展開をし、それだけでビジネスができるような世界を作り上げる。それぞれ単独でオペレーションできるレベルまで持ち上げつつ、トータル1000坪、700坪の中に取り入れながら、ビジネスをしていくわけです。

我々は今、中国で約110店舗あります。H&MもZARAは130~150ぐらい、ユニクロは250ぐらいあります。新しいマーケットで、あの革新力が世界を代表するブランドを越えている。それだけでビジネスができる世界をずっと革新して、マスマーケットで通用するブランド力があるからで、これをやり切ると、中国市場は将来的に、一番大きなマーケットになると思うので、注目しています。
グッチ、シャネルのようなスーパーブランドも優れています。グッチは、イタリアの工場でしか作らない。そこでグッチのクオリティを守り切って、責任を持って販売できるというもの以外はやらない。エルメスも全く一緒です。彼らはヨーロッパの貴族の需要とともにきている。いまだに世界の中で、貴族の需要に応えられる企業は、めったにありません。
また、グッチもエルメスも職人を育てています。専門学校を出た本当の一握りのトップがみんなこの2つの会社に入ってくるわけです。エルメスは毎年、200人ぐらい入り、100人ぐらいリタイアします。この増えた100人分が、増産できるキャパになる。
たとえば100年、200年そういう形で1つのブランドを守り続けるのは難しいです。だから、あのビジネスモデルを参考にしていくのは、我々にとって非常に重要です。世代を越え、あのポジションを守り切って今もやっていて、おそらく何十年先も、彼らはきっと残る。そういう意味で、歴史があり、本質を突いていて、信条としてのポジションを作り上げているブランドです。

Mujiブランドにおける事業との関連性、今後のMujiとしての基本は?

ブランドは、信用を保ち続けることが非常に大事です。変えていかないといけない部分がありますが、変えてはいけないところもあります。そこが、ブランドが生きていく最大のポイントになります。変えないところと変えるところのバランスを守りながら、時代の変化とともにブランドの価値観を上げていくことが大事です。我々の場合、ローテクでも、お客様がちゃんと選んでくれるかということですね。
ブランドは、ものやサービスを作る以上にそれを守り続ける風土や仕組みがあって、この両輪でいかないと難しいと思います。

特に海外市場、地域において、ブランドを強化するためにどのような取り組みをしているか?

今、海外に250ぐらいの店舗を持っていますが、大半がアジアにあります。ヨーロッパは経済が停滞していますから、需要が変わって、ZARAやH&Mが出てくる。そういうマーケットでは、Mujiブランドの浸透が遅くなります。ブランドの浸透と、その成長度合い一致をさせなくてはいけない。これが、ヨーロッパの課題です。
アメリカは直接的な価値観で、価格と品質で決まります。
91年からヨーロッパには出ていますが、20年するとブランドの認知が色あせてくる。我々も鮮度感を出すために、80坪とか100坪というお店を置きましたが、Mujiの世界は広がっていません。したがって、イギリス、フランス、ドイツにも旗艦店が必要になります。今まではなんとか黒字にすることはできたけど、これからは旗艦店を出して世界を広げることが必要になります。
また、少し郊外に出たところにある新店はあまりうまくいっていません。通行量とお客様は多いのですが、Mujiを買ってくれる人があまりいない。認知度はありますので、出店精度をどう上げるかを考えないといけない。我々と同じようなテイストと価格のブランドが近くに出ていて、どういう数字になっているかを加味していかないといけません。
マーケットは必ずローカルだと考えていかないといけない。ただし、統一してグローバルに行くというのはあります。ブランドが世界で1つだけで行けるのは、非常に有利です。投入の時期だけ注意すればいいので。問題はローカリゼーションです。特に出店をする物件は、絶対ローカルな基準にはしていかないといけない。基本はアーリーエントリーで、とにかく店を出す。Mujiを買ってくれるお客様がいることが確かな間に出た方がいいです。だから、中進国か後進国のほうにチャンスはあります。

スマートフォンやSNS等、デジタルのジャンルが広がってきていますが、グローバル展開の中でその点はどう考えていますか?

Mujiカードを中心にやっていきます。それから現在、passportの構造を作っている過程です。海外はネットの販売をやる予定です。リアルの店舗数が増えるにしたがって認知度が上がり、売り上げが増えるので。店があっても、時間的にネットの方が早いという買い方のほうが、需要としては圧倒的に多い。今はリアルの店舗を作り上げて浸透させて、収益を上げることに注力しています。
日本の仕組みが全て入るMujiGRAMのようなものが入ると、オペレーションの仕組みが入ります。規制が国によって全部違うので、どの国に行っても使えるような素材で作ろうと考えています。お店を置いてネットの販売が終わったら、これを同時にやっていくつもりです。

社員に対して、ブランドの考え方をどう浸透、共有されていますか?

一番大事なのはコンセプトです。私たちはこのようなコンセプトを全員が大切にしております。

「無印良品がやらないこと」
・ 製品にブランド名をつけない
・ 機能を追加しすぎない
・ 無印良品のためにデザインされたもののみ売る
・ 無印良品のためにデザインされたものを他に売らない
・ 製品に強い色を使わない
・ 製品に過剰な包装をしない
・ 有名人を広告に起用しない
・ 有名デザイナーの協力を宣伝しない
・ 什器、品揃え、レイアウトを管理できる場所でのみ売る
・ 値引きを客寄せの道具として使わない
・ 顧客対応以外の作業を店舗で極力やらない
・ 2DKか3DKのマンション・アパートで日常使わないものは扱わない
・ 人口統計的な側面からターゲット顧客を絞り込まない
・ 出店基準にあわない出店、商品開発力を超えた出店はしない

いろいろなもの差し引いてシンプルにするけれど、底に流れているのは、日本の禅や茶道で、余分なものを削って簡素にして、品質や機能を標榜する。それそのものがライフスタイルと価値観になっているのが、我々のブランドの1番の特徴です。ただ、シーズンによってモチベーションの仕組みを入れます。歴史、ブランドの考え方、変遷を、商品を通じながら浸透させるのが重要ですね。それから、社員が身に染みてMujiというのはこうなんだと感じてくれているところが一番強いです。自分たちの商品は自分たちが買って使っています。

役員のみなさまも行脚されているとのことですが?

年2回ぐらいやっていますが、一定の限界点があります。やはり、日常に流れている商品を通じて浸透していくのが一番です。
また、ブランドの責任者とか役割というのは、基本的には時代とともに変えていかざるを得ません。無印の基本コンセプトは変わりませんが、時代とともにサブコンセプトは変わっていきます。それがWorld MujiやFound Mujiです。特に商品開発の仕方は、時代とともに変えないといけません。
昔、無印は販売量を増やしていました。お店ができると、商品で埋めなければいけない。商品開発がないと、埋めることが非常に大きな要素として作用します。したがって、販売量を増やして商品開発をするようになりました。けれど1000坪で挫折したので、これに代わる商品開発の手法を考えないといけません。

松井 忠三

松井 忠三
株式会社良品計画
代表取締役会長