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田川 博己

株式会社ジェイティービー
代表取締役社長

※役職名は、Japan’s Best Global Brands 2014インタビュー当時のものです。

お客様の多様化が進み、複数解のある今の時代だからこそ、原点である「感動のそばに、いつも。」を軸に、自分たちでイノベーションを起こしていこうと考えています。

市場や顧客ニーズ・行動は、どのように変化してきているでしょうか?御社のブランドは、それらを予測し変化に応えるために、どのようなことを重視し、実施していますか?

日本人の旅行形態の主流が団体から個人に移り替わり、ホテルや航空会社の直販も当たり前となり、インターネットの普及により、ネットのみを販売チャネルとする旅行会社も成長を遂げています。JTBが得意としてきた団体旅行の割合は減り、全国各地に店を構え、営業を熱心に行って多くの旅行者を獲得できる時代ではありません。そのような中、2013年は、業界全体にとって、大変良い出来事がありました。外国人旅行者数が1000万人を超え、2020年夏季オリンピック・パラリンピック競技大会の開催地に東京が選出されました。今後6年間にわたって、世界中の人々の注目が日本および東京に集まることで、訪日外国人旅行者2,000万人の高みを目指す日本のツーリズム産業にとって大きな追い風となると思います。そして、何よりも2020年に向けて何かをしなくてはいけない、したい、というポジティブなエネルギーが全体に湧いており、とても楽しみな変化が起きていると思います。東京オリンピック・パラリンピック招致で注目を浴びた「お・も・て・な・し」は、まさにJTBの仕事の原点です。これは日本の心であり、DNAとも言える言葉です。「おもてなし」とは、Hospitalityと訳されることもありますが、私は日本人の心のBehaviorだと思っています。 JTBのブランドスローガン「感動のそばに、いつも。」は、お客様に感動をご提供するために近しい存在であり続けることであり、お客様が感動で満ち足りたとき、誰よりもお客様の近くにいることを約束しています。そのために、お客様の側にたって行動していくという意識が根底となっています。このブランドスローガンは、英語で“Perfect moments, always”と表現していますが、まさに、お客様と接するわずか一瞬一秒の瞬間を大切にし、その実践のために努力を続けていくということを意味しています。お客様との約束を守り続けるには、「JTBならでは」の商品やサービスを生み出し、ツーリズムの「質」そのものを磨き続けるチャレンジ精神と行動が不可欠であると考えています。お客様の多様化が進み、複数解のある今の時代だからこそ、原点である「感動のそばに、いつも。」を軸に、自分たちでイノベーションを起こしていこうと考えています。

貴社は、将来の成長のためにどのようにしてブランドの基盤を構築・強化していますか?

まず、ブランドの強化に不可欠である事業戦略という点で、大きな変革を遂げようとしています。今春に国内旅行事業の分社化をし、最大規模の改革がスタートします。JTBグループは、2006年に現在のような事業持ち株会社制に移行しましたが、今年の4月1日から、JTB国内旅行企画が営業を開始し、日本人の国内旅行と訪日外国人旅行の仕入、ツアー企画、そして販売促進を全国規模で一手に引き受ける新会社が誕生します。JTBが最大収益源の国内旅行を専業会社に移すのは、先に申し上げたインターネット旅行会社との競争やネットによる直接予約の普及、地方都市の人口減少といった経営環境の変化に対応して、仕入力や企画力を強化するのが目的です。

今後、ブランドを強化し、リーダーシップを発揮していく上で、社内の横断的な視点や協力の可能性をどのように見ていらっしゃいますか?

JTBグループでは、おかげさまで2012年3月に創立100周年を迎え、次の100年における長期的・安定的な成長を実現するために、「2020年ビジョン」を策定しました。その中で、日本の地域が持つ観光素材に国内外から訪れたくなるような新たな価値を生み出し、単なる旅行会社から自ら旅行需要をつくり出す「交流文化事業」を推進していくことを掲げています。 交流文化事業というのは、人々の交流によって文化が発生するという考え方から、たくさんの人々が交流し合える商品を作り出すということです。単に建造物を見て、美味しいもの食べて帰ってしまうのではなく、そこにあるストーリーを知って、学んでくることによって価値が生まれるような商品を作ることを目指しています。人々の交流が始まると、会話が生まれ、話し合いが起きます。例えば、都市レベルで考えると、姉妹都市になりましょうというような発展的な流れが生まれるイメージです。観光客という枠に囚われず、人々の交流によって、国同士の平和が生まれるとすれば、JTBが経営理念に掲げている「人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する」ことができると信じています。 JTBブランドが、地域に眠るダイヤモンドの原石を磨き上げ、プロデュース能力で地域活性化へ導く旗印にならなくてはいけません。地域の伝統文化などを掘り起こして現代的に魅せることができるのは、他の誰でもなく、我々です。これからは体験、つまり『コト消費』を創り上げていくプロセスが欠かせません。旅行メーカーになると言ってもいいかもしれませんね。

旅行業から交流文化事業への進化を遂げる上で、これまでの事業をどう発展させていくのでしょうか?

「交流文化」をキーワードに、人と人、地域と地域をつなぐ事業を推進し、JTBブランドの更なる強化が必要です。たとえば、これをグローバルマーケットでどう推進していくかと言うと、日本人を海外に送り出すだけでなく、外国人の訪日旅行を促進し、さらには、日本とは直接関係のない海外の国・地域相互間に送客するネットワークを創ることが目標となってきます。「日本発・日本着」から「世界発・世界着」の取り組みです。102年前の1912年に誕生したJTBの前身であるジャパン・ツーリスト・ビューローは、訪日外国人への旅行斡旋が設立目的でしたから、JTBが国際観光交流に貢献することは、その進化形ではないかと思います。先にお話した「2020年ビジョン」では、2020年に目指す姿を「アジア市場における圧倒的NO.1ポジション」と掲げています。これまで取り組んできた「日本発・日本着」の旅行事業を更に強化しつつ、アジアを中心としたグローバル事業を成長ドライバーとして位置づけています。ただ、我々が目指すのは人々の交流を作る事業ですから、JTB単独で成し遂げようとは考えていません。人の移動は、地域ごとに特色があり違いますので、その地域の方々また地元の会社とともに、地域に密着して事業を進めていきます。そういう活動には、100年前、外国人を呼ぶためにどうしたらいいかと考えていたDNAが、今も受け継がれていると感じます。そのDNAを時代にあわせて進化させていくことが、我々の進む道であり、JTBらしさであると考えています。JTBの生き様、JTBの宿命ともいえるかもしれません。

田川 博己

田川 博己
株式会社ジェイティービー
代表取締役社長