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トップインタビュー

尾山 基

株式会社アシックス
代表取締役社長CEO

※役職名は、Global Japanese Brands 2016インタビュー当時のものです。

「スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」

ASICSブランドの強み、個性についてお聞かせ下さい。

スポーツブランドとして1949年から築き上げてきた、長い歴史とその技術力が強みです。日本発のブランドとしての技術力を武器に、これまで実直にアスリートの活躍を願ってスポーツ用品を創り続けてきたこと自体がすでに当社のアイデンティティになっているのではないかと考えています。

「ASICS」、「Onitsuka Tiger」、「Asics Tiger」の3つのブランドの位置づけや役割分担についてはどのようにお考えでしょうか。

「ASICS」は、コーポーレートブランドでもあり、「True Sport Performance」ブランドとして、それぞれのスポーツに必要な機能性を追求しながら、革新的でスタイリッシュなデザインを提案しています。これからもスポーツマンの最高のパフォーマンスを引き出すブランドでありたいと思います。
「Onitsuka Tiger」は、クラフトマンシップが活きた時代のヒストリーバリューを活かしたライフスタイルファッションを提案しています。トレンドセッターとなるデザイナーやリテールとのコラボレーションから、新しいライフスタイルを産み出したいと思います。
「ASICS TIGER」は斬新な機能設計が多く取り入れられた80年代から90年代のスポーツシューズをベースに最新の“ストリート”カルチャーを融合させて、世界中のスニーカーファンから注目されるブランドを目指します。
それぞれのブランドの個性を明確にしながら、ブランドアイデンティティをストーリーとしてお客様に伝え、お客様と一緒になってブランドを育てていきたいと考えています。

今後貴社のグローバル展開で重要性が高まるアジア、南米、アフリカなどの新興国でのビジネス現況やどのような取り組みについてお聞かせ下さい。

アジアは富裕層が増えるにつれて、スポーツを始め、ジムなどの施設も充実し始めています。全体的に新興国では若者が多いですが、若い人の「美しく、かっこよくありたい」という願望も高まっており、さらにスポーツの市場は拡大すること期待しています。当社も中国などでは2年連続で売上が倍増するなど、事業が拡大しています。東京マラソンの海外参加者にも、台湾、中国、韓国からの方が増加してきています。マラソンに参加して、京都や地方都市を観光で訪れる、というような「スポーツツーリズム」を楽しむ人たちが増えてくるのではないでしょうか。日本や欧米の生活文化やスポーツ文化は新興国に広がるでしょう。
また、ブラジルは昨今の景気の悪化を受けて、ビジネス面では成長が鈍化してきましたが、ブランド面では70年代から男女バレーボールに投資してきたのが奏功しています。スポーツへの真摯な取り組みと製品作りをするブランドとして現地のレピュテーションも非常に高く、高いブランドイメージを築けています。
南アではラグビー南アフリカ協会とオフィシャルサプライヤー契約の締結によって一気にブランドの認知を高めることができました。スポーツが確実に浸透すると同時に市場としても拡大するでしょう。

新興国市場の成長は眼を見張るものがありますが、やはり市場規模が大きい米州を最重要地域と位置付けています。近年、アメリカではインターネット販売が急拡大し、また、女性のスポーツへの参加が顕著になるなど、市場環境が大きく変化しています。アメリカは世界のスポーツトレンドの起点となっており、アメリカでの成功が世界のモデルケースとなることが多く、同市場での成功がグローバルでの業績の拡大につながります。

ASICSブランドと顧客とのつながりを築くことにおいてどのような取り組みを重視されていますか。

これまでは問屋やスポーツ用品からの情報をベースに商品開発を行ってきましたが、お客様の購買行動は激変し、色々なチャネルで購入し、自ら情報を発信できるようになりました。
このような時代ではユーザーのお客様との直接的で双方向のコミュニケーションが何よりも重要であるため、商品開発もユーザーの潜在ニーズを迅速に反映できるようなプロセスに変えました。
一方、直接的なお客様接点として、またASICSの世界が表現できる場としての直営店の重要性はますます高くなっています。直営店ではASICSブランドのコンセプトを体現した商品・サービスを通じて「ASICSブランドの世界」を体験していただきたいと思っています。

東京オリンピックのゴールドパートナー契約を結ばれました。今後ASICSブランドの向上にどのような活用されますか。

ASICSブランドは欧米では「ハイパフォーマンススポーツブランド」という高いブランドイメージが確立しています。一方で、日本では過去からある古いブランドイメージから抜けきれないでいます。その古いイメージを払拭し、欧米と同様に高いブランドイメージを再構築するためにまたとない機会を得たと考えています。
製品構成のうえでアパレルが弱いことも当社の課題です。スポーツブランドだから作ることができる、アパレルメーカーにはまねできない商品をもっと提供できると思っています。
こういったものづくりでは「人」が重要なファクターです。ファッションなど他の業界経験者や、多様な国籍の人財を採用し、ASICSブランドのヒストリーを理解してもらい、そのうえで革新的なものづくりに挑戦してもらいたいと思っています。そのために本社にアーカイブをつくるなどの取り組みを行っています。

最後に今後のASICSブランドの目標をお聞かせ下さい。

これまで、グローバル全体でお客様から当社商品の品質、機能について評価していただき、ブランドとして成長することができました。これからは、直接的な双方向のコミュニケーションを通じて、お客様に当社の理念も含めたブランドストーリーを伝えていきたいと考えています。
実際、2020年までの新たな全社戦略として「ASICS Growth Plan(AGP2020)」を策定しましたが、重要な戦略の一つに「ブランディング」についての項目を組み入れました。東京2020オリンピックパラリンピックのチャンスも活かしながら、大胆で革新的なブランディングを行い、「True Sport Performance」ブランドとして、スポーツを愛するすべての人に共感されるブランドを目指したいと思います。

尾山 基

尾山 基
株式会社アシックス
代表取締役社長CEO