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ブランドリーダーズ インタビュー

山下 良則

株式会社リコー
取締役専務執行役員 総合経営企画室長

※部署名・役職名は、Japan's Best Global Brands 2014インタビュー当時のものです。

我々は「モノ+コト」、つまり、機器とその保守メンテナンスにとどまらない付加価値の高いソリューションを提供しており、今後そのウエイトはますます高まっていくと考えています。「Service-led company」が、私どもの進むべき方向なのです。ブランドタグライン「imagine. change.」には、こうした変革への意志を込めています。

注目されているブランドや、刺激を受けているブランドを挙げていただけますでしょうか?またその理由は何でしょうか?

グーグルやマイクロソフト、コンシューマーで言えばスターバックスなどのブランドにも刺激は受けますが、実は「すごいな」と思っているのはレクサスです。アメリカに赴任していたとき、私自身がユーザーで、乗る度にブランドバリュー、つまり「喜び」や「幸せ」を感じたし、サービスセンターには、まるでホテルのようなホスピタリティがある。これは、我々も見習いたいと思います。

リーダーシップを持っているブランドとは、どのようなブランドだと思われますか?

多くの人に気に入られていたり、すごくいいね、と言われるだけではなく、“この会社が世の中をどう変えるのか、日本を、世界をどう変えるのか”、ということが「見える」ことがブランドのリーダーシップかもしれないですね。私たちのブランドでいえば、お客様に「寄り添うことで、お役立ちする」ことが基本だと思います。こんなにお客様に寄り添っている会社はないと思うんですよ。世界中に10万人以上いる社員は、やはり強み。そのみんなが、高いレベルの知識と技術を持ってお役に立つことは、ブランドを確立する上でものすごい力だと思うんです。

市場や、顧客のニーズ・行動は、どのように変化してきているでしょうか? また、御社のブランドはそれらを予測し変化に応えるために、どのようなことを重視し、実施していますか?

かつては複写機やプリンターなどの機器を提供して、それをきちんと使っていただくことがサービスの基本でしたが、今は機器そのものではなく、コンテンツが欲しいという時代です。そういう動きに対して、我々は「モノ+コト」、つまり、機器とその保守メンテナンスにとどまらない付加価値の高いソリューションを提供しており、今後そのウエイトはますます高まっていくと考えています。「Service-led company」が、私どもの進むべき方向なのです。今リコーでは、病院から建設業まで、多種多様な業種、業務にしっかり寄り添って、業務プロセスの効率化、さらにはワークスタイルの変革をサポートしていくことに注力しています。
昨年度、財務省からの要請で、IMF・世銀総会にタブレットを活用したペーパーレス会議システムや、ネットワークを介した遠隔のバーチャルヘルプデスクなど、様々なソリューションを提供しました。「リコーさんは、こんなこともできるんですね」という大きな反響がありました。反面、私どもが提供できることが、今まで効果的に正しくPRできていなかったとも思いましたね。

今後の新らたな事業領域への参入の可能性はどのようにお考えでしょうか? その際に、ブランドの柔軟性・拡張性についてどのようにお考えでしょうか?

我々の事業領域には、オフィスをターゲットとする「エンタープライズ」と「コンシューマー」、さらに「産業財」という3つのカテゴリーがあります。今のところはエンタープライズが売上の8割ぐらいをカバーしていますが、じつは、エンタープライズのお客様は同時に「コンシューマー」のお客様でもあります。
やはりブランドという意味で言うと、「ああ、複写機の会社ね」というイメージだけでは駄目だと思います。相乗効果として「コンシューマー」の領域が重要であると。そのひとつが今回のカメラ事業の買収(PENTAX)だったわけです。
産業財でも「リコーは、そんなことまでやっているの?」というものが多いのですが、次の成長の柱として事業を拡大していきたいと考えていますので、その分野においても、もっとブランドを活用していくことになるのかもしれません。

グローバル展開の上で、アジア、南米、アフリカ等の新興国市場でのビジネス拡大は御社の経営戦略でどの程度重要でしょうか。その際に、ブランディング上で直面する課題は何でしょうか?

新興国ではまだ、リコーの認知度が低いのですが、ブランドを知ってもらうための方法論としてはカメラ事業は活用できると思います。でもブランドを知ってもらったからと言って、我々のミッションが本当に伝わるかというのは別です。
しかし、「複写機の会社」というイメージもないからこそ、逆にチャンスとも言えます。ブランドを知ってもらうと同時に、ミッションも同時に知っていただく。「リコーってこういう会社なんだ、こういうミッションなんだ」ということを伝えていくために、今策定中の18次中期経営計画では重点化して取り組んでいきたいと考えています。

スマートフォン、SNS等の急速な普及をはじめ、近年のコミュニケーション環境の劇的な変化の中で、御社のブランドと顧客のあいだで、どのように「真のつながり」を築くことができると思われますか?

先進国では直売網がしっかりしているので、お客様と「真のつながり」を築くには、まずはフェーストゥフェースのコミュニケーションが大事だと思っています。
SNSやウェブなどのアプローチが有効なのは、むしろ新興国かもしれませんね。この前行ったインドでは、マウスの存在を知らない子供が多いんです。PCを経由しないでスマートデバイスを使っているわけです。中国における固定電話と携帯電話の関係もそうですが、新興国では、先進国で歩んだ、“いつか来た道”を辿っているわけではないんです。そういう意味で、新興国にはフェーストゥフェースにこだわることなく、ブランド構築をする手段を考えていく必要があります。

今後、ブランド責任者(CEO/CMO)としての役割は、どのように変化・発展していくとお考えでしょうか?

環境活動や社会に対するミッション、役割も含めて語れないといけないと思います。そういうことを重要視するお客様も増えてきています。リコーはこういう会社で、こういうことで社会のお役に立っているんだ、ということを語ることが企業評価に直結する。だから、そこを社員と幹部も含めて共有していくということが大事でしょう。
広告とかコマーシャルのみの印象で「リコーって、いいよね」と言われるだけでは、お客様に選んでいただけるブランドにはなれません。

御社は将来の成長のためにどのようにしてブランドの基盤を構築・強化していますか?

リコーブランドというのは、実はリコーらしさのことであり、ミッションは、お客様や社会に対するお約束です。そのことが見える会社になれば、ブランドはやがて確立できると考えています。とはいえ、自分自身が「確立できた」と言っているだけでは駄目ですので、客観的に評価する基準を持って、長くそれを見ていくことが大切だと思います。ブランド活動は、成果が出始めるまでには時間がかかるのですが、粘り強くやっていこうと考えています。
定量化した評価基準をしっかり持って、目標設定しながら、自分たちが自分たちの力を評価できること。それがないとなかなか難しいですね。

同様に、社員に対してその変化をどのように共有・理解し、行動させるようにしていますか?

社内報やイントラを活用したコミュニケーションも大切ですが、やはりダイレクトのコミュニケーションが必要だなというのは、実感していますね。
リコーのコアとなる価値観の共有の観点からは、例えば、タウンミーティングを社長が始めています。そういう地道な活動の積み重ねが、本当に価値観の共有になる。それがまだまだ、足りないかなというのが正直なところです。

今後ブランドを強化し、リーダーシップを発揮していく上で、社内の横断的な視点や協力、これまでにない社外の連携やコラボレーションの必要性・可能性をどのようにお考えでしょうか。

海外売上が半分以上になっている中、「グローバルにどういう会社になるんだ」という方向性を出すために、かなりの部分を技術で解決していこうと考えています。そのためには、自社の技術だけではなく、コラボレーションできるパートナーとの協業で解決していかないといけない部分もあります。今、リコーは、異業種を巻き込んだプロジェクトを進めようとしています。コミュニティを活性化し、新たなビジネスを生み出していくようなモデルです。ブランドタグラインである、「imagine. change.」の具体的な活動が生まれ始めていると実感しています。異業種とのコラボレーションや新たなビジネスモデルの構築は、小手先では対応できません。そのためにも、どんな会社、ブランドになろうというメッセージをしっかり出して、社会と共有しておきたい。様々な面で社会との接点を、もっと大切にしていきたいと考えています。

山下 良則

山下 良則
株式会社リコー
取締役専務執行役員 総合経営企画室長