
Best Japan Brands 2022 Article
Best Japan Brands 2022概況
コロナ禍が常態化する環境の中で、日本ブランドのブランド価値はどのような変化を遂げたのか?
今回のBest Japan Brands 2022にランクインした全100ブランド個別の対前年成長率の平均は、+8.6%(昨年-0.5%)と上昇に転じました。また、ブランド価値減少ブランド数が21(昨年48)に、全100ブランドのブランド価値総額も2,540億ドル(前年比+6.9%)となり、日本のリーディングブランドの復調が確認されました。一方、その間にグローバルにおけるブランドを評価するBest Global Brandsでは、全100ブランドのブランド価値総額は+15.0%となっており、日本ブランドの復調を大きく上回る結果となっています。

ブランド価値伸張の共通点とは?
今回、ブランド価値を大きく伸張させたブランドの共通点を分析すると、「ブランド強度分析(※下記参照)」の10要素のうちTrust(信用度)、Agility(俊敏力)、Participation(共創性)が高い傾向が確認されました。Trust(信用度)、Agility(俊敏力)、Empathy(共感力)の3要素の影響が高かった前年の傾向と比較すると、信用度と俊敏力に加え、「顧客のニーズを汲み取る力」(共感力)から、「顧客と価値を共創できる力」(共創性)を持つブランドが成長している変化も窺えます。この「顧客と価値を共創できる力」を持つブランドが成長する点については、グローバルにおける成長ブランドでも同じ傾向が見られ、ブランドのオーナーシップが企業から顧客に移る中で、社内のカスタマーセントリックの掛け声や一部商品における顧客とのワークショップなどに留まらず、真に顧客と共にブランドを作り上げていくことができているブランドが確かな成長を実現する結果となっています。例えば、Mercari(89位、前年比+39%)は、中高年層のための「60歳からのメルカリセット」の配布、ユーザーがメルカリ内にショップを構えられる「メルカリShops」の事業展開を開始するなど、徹底的な顧客理解から顧客と共に価値を高めていくサービスを数々展開、WORKMAN(70位、前年比+29%)はユーザーをアンバサダーとして商品開発を取り組むだけでなく、将来的には経営への参画をも見据えています。


『人という曖昧なもの』を中心に据えた成長戦略」へ
コロナ禍により不確実性と可能性が交錯する今、人々をめぐる環境は激しく変化しています。「顧客と価値を共創できる力」の重要性が増していることに象徴されるように、これまでのような企業視点のみによる戦略では、人々の支持は得られず、さらにはサステナブルな社会の存続も危ぶまれます。そのため、この数年で大きく変化し、さらに変容を続ける顧客の行動やその判断の基準、企業で働く社員の意識とその背景等、人々の深層にある想いを知ることで未来への成長の道筋 を描く、「『人という曖昧なもの』を中心に据えた成長戦略 (Human Strategy )」が必要な時代に突入したと、インターブランドは捉えています。今後、事業を成長させるためには、目的地となる北極星と活動の前提となる基軸が必要となり、その基軸がブレない強固な真実である必要があります。パーパスと人間性がその役割を果たし、これに魂を宿すのがブランドの役割となります。
2022
2022 Interview