コロナ禍においても進化するブランドリーダーたちは、 今後のブランド成長のために何を考え、アクションしているか? | インターブランドジャパン

Best Japan Brands 2021 Article

コロナ禍においても進化するブランドリーダーたちは、
今後のブランド成長のために何を考え、
アクションしているか?

Best Japan Brands 2021のブランドリーダーが考えている、7つのTIPS。

2020年初頭に発生したCOVID-19によるパンデミックは、わずか数か月という期間の中で多くの生活者の行動や価値観に変化を与え、そしてほとんどの企業が変革を余儀なくされてきたといっても過言ではない。それまで毎日会社に出勤して仕事をすることが当たり前であった社員の働き方や、対面での会話やディスカッション、管理が普通であったマネジメントスタイル、商品マーケティング戦略の一環で顧客の意識を探ろうと対面インタビューや、できるだけ多くの人を集めることを目的・前提とした様々なプロモーション、イベント等・・・。そのすべてが変革を迫られてきているのである。
このような歴史的なターニングポイントの渦中から、未来に目を向けたときに、経営、ブランドに求められるものとは何だろうか。これからの経営にとって、ブランドはどのような存在で、事業成長のためにブランドができることは何だろうか。
インターブランドでは、この2月下旬に発表されたBest Japan Brands 2021において、ランクイン企業各社のマネジメント/ブランドリーダーの皆様にインタビューを行い、日本を代表するリーディングブランドが何を考え、今後どうしようとしているのか、お伺いすることで、今後のブランド成長に向けたヒントを探った。
本アーティクルでは、その傾向についてご紹介したい。

インタビューでは、以下4つの問を伺った。
Q1 これからの経営において、ブランドをどのような存在として位置付けていますか?
Q2 今後、ブランドとして変化する面、変わらない面についてお聞かせください。
Q3 今後、ブランド価値をさらに高めていくためには、どのようなことが大切だとお考えでしょうか?
Q4 今後、ブランド成長を目指し、具体的に予定されているアクションがありますか?

実際の各社様のインタビュー結果は、この4つの問いごとにお答えいただいた内容をまとめているのでぜひ、生の声についてはこちらをご参照いただきたい。
本アーティクルでは、58社のブランドリーダーへのインタビューからうかがえるいくつかの顕著な傾向についてご紹介していきたい。

 

  1. ブランドは、『重要な経営資源』、『企業価値の一部』
    まず、最初の問いで多く聞かれた声としては、各社におけるブランドの存在については、「重要な経営資源」、「企業価値の一部と位置付けている」、「経営戦略を実現するうえで重要な存在」等、経営における重要なテーマであるという点である。中には、「最重要経営課題」ととらえている企業もあり、より不確実な時代において、ブランドが経営戦略、事業成長に欠かせない存在であることが確認された。

  2. ますます重視されてきている、コーポレートブランドの役割
    コーポレートブランドの役割について、ますますその重要性が増してきているという認識を持たれているブランドリーダーが多く、その背景としては、いくつかの要因が考えられる。
    一つは、競争の軸足を国内から海外に求め、さらなる「グローバル化」のために、コーポレートブランドをより活用していくことを志向しようとする視点や、この不確実な時代を迎えたことがきっかけで、顧客側にとっても企業側にとってもよりコーポレートブランドが持つ役割が増してきたという視点も多く聞かれた。顧客側から見ると、モノの価値だけではなく企業の志や社会への意義ある行動をしているか否か、という点も重視して選択する傾向になってきていることを背景に、コーポレートブランドはパーパスやフィロソフィーを伝える役割として重要性が増してきている。一方、企業側にとっては、企業自身にとって立ち返る先として、あるいは働き方の変化に伴い、帰属意識が希薄になりがちな社員の求心力を強化する手段として、コーポレートブランドの役割への期待が大きい。

  3. パーパスに基づく一連のブランディング
    今後のブランド価値をさらに高めていくために大切なアクションとして挙げられていたのが、「ブランド・パーパスに基づく実体創り」ということである。
    顧客は、不確実な時代を迎え、商品やサービスのベネフィットだけではなく、その企業の意味ある行動に注目している。そうした顧客の意識変化を背景に、ブランドリーダー企業は、改めて自社のパーパスを見直し、より効果的に実現する実体を作って伝えていくことに、意識を高く取り組まれている。
    先ほど、ブランドリーダーは、「ブランドは経営戦略そのもの」と位置付けている企業が多いと申し上げたが、その具体的なアクションとして、ブランド、パーパスを具体的な事業商品に落とし込み、顧客に意味のあるものとして提供し、そうした一連の事業活動を通じて、企業と顧客の絆を深めていこうとしている。まさに、パーパス・ブランディングによって、「ブランドと経営は両輪である」ことをブランドリーダーは体現していこうとしているのである。

  4. 顧客の意識変化を的確にとらえて経営に生かしていく、「カスタマー・セントリック
    多くのリーディングブランドが、「社会、顧客からの信頼と共感を向上」させなければならないと考えており、そのためには「顧客との対話」を通じて、「顧客の変化にいち早く気付き」、「社会や顧客にとって意味のあるものを価値創造」していくことが大切であるととらえている。その顧客との対話の手段として、コミュニティを形成するなどの具体的アイデアもいくつかうかがえた。
    また、顧客との関わり方において、ブランドとしての価値や意味のあるモノをお届けする手法や、顧客との接点の持ち方は、実態に合わせて迅速に変えていくべきであると考えている企業が多かった。その背景には、コロナ禍にあって、今までよりもさらに顧客との深い絆、つながりを持つ必要があるという点と、デジタル化がより加速されるといった2点が相まってそうした問題意識が高くなってきていることがうかがえる。

  5. 社会に対して、より意味のある存在へ
    今後、多くのリーディングブランドが予定されているアクションとして、「サステナビリティ・SDGs(社会課題解決)の推進とビジネスでのCSV体現・実体化も挙げられる。
    この点は、先に述べた傾向でもある「パーパス、ブランドを基軸にした経営」とも関わることでもあるが、今後はそうしたサステナビリティ、SDGsといった活動とブランディングを連携させていくことで、よりブランド成長を加速させていくという方向にあるのは間違いない。

  6. 絶えずブランドを変化・進化させ続けていく。「意志ある変革」が勝敗を分ける
    不確実な時代において、生活者の意識や価値観は時々刻々と変わってきている。そのような背景の中、企業自身は迅速にそうした変化をキャッチしてスピーディーに行動・対応していかなければならない。「絶えずブランドを変化させ続け、進化していかなければならない」といった具体的なコメントにも見られるように、まさにブランドを世の中の動きや生活者の意識に合わせて自己変革し続けていくことが、ブランド、さらには事業の成長につながっていくのである。

  7. 上記をより効果的に実行し、成果を生むための「社内エンゲージメント」の大切さ
    今回のインタビューを通じて一様に皆様コメントされていたのが、「社内エンゲージメント」の大切さである。その背景には、以下2点があげられる。
     上記にある「ブランド、パーパスに基づく事業活動、実体創り」は、社員一人一人の行動、実践を通じて実現される
    ② コロナ禍において、今こそ社員との対話、コミュニケーション、求心力強化が重要である
    コロナ前のタイミングから、多くの企業の方々から、「社内エンゲージメント」に関わる課題認識は多く聞かれていたが、そうした傾向がこの不確実な時代を迎えて、より強く顕在化されてきているのではないだろうか。

 

最後に

今回、Best Japan Brands 2021の100ブランドのうち、58社、57ブランドのブランドリーダーの方々に貴重なお話を伺うことができた。その内容は、業界特性や各社の状況によって様々ではあるが、リーディングブランドに共通していると感じたのは、ブランドを経営課題の一つとしてとらえており、ブランドと経営の両輪でブランド価値を高める活動を継続的に実施されているということである。また、世の中の動きや顧客の意識に対して敏感で、いち早くその変化をとらえてブランディング・経営に迅速に取り込もうとされている。そして一人一人の社員の実践の積み重ねがそうしたブランド価値向上につながるとの認識から、社員エンゲージメントへの意識も高い。

インターブランド自身も、こうした世の中の動きや顧客の意識変化に応じて、様々な企業のブランド価値向上に向けてよりお役に立つ、効果のあるソリューションをご提供し続けていくべく、日々進化を続けている。
今後の多くの日本企業の成長と発展、ひいては日本社会・経済の活性化と人々の幸せのために、少しでもインターブランドがお役に立てれば幸いである。

 

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