これからのブランドをマネージする新たな視点 | インターブランドジャパン

Best Japan Brands 2021 Article

これからのブランドをマネージする新たな視点 

―「ブランド」をどのように測り、ビジネスに活かすのか―

インターブランドはブランド価値評価のパイオニアとして、30年以上にわたって企業の大切な事業資産である多くのブランドの価値を評価し、その価値を高めてきた。ブランド価値評価は、財務分析、ブランド役割分析、ブランド強度分析という3つの分析から構成されているが、本稿ではそのうちの一つであるブランド強度分析にフォーカスを当て、変容する環境にどう対応し、どのような観点からブランドを評価しているのかについて、解説していきたい。

 

新たな視点

ブランド価値評価を構成する3つの分析の一つ、ブランド強度分析とは、そのブランドが将来にわたって価値を生み続けることができるかという視点から10の評価指標を使ってブランドの強さを測るものであり、その結果が「ブランド強度スコア(Brand Strength Score : BSS)」として表される。このスコアは競合ブランドとの比較の下で評価され、ブランド価値向上に向けたKPIとしても使われるものとなっている。

2020年秋、インターブランドではこのBSSの10の評価指標を新しくした。実はこれまでにも、ブランド価値評価の第一人者としてブランド構築のあり方の変化を常に反映するため、定期的に見直しを図ってきている。そうした中で、昨今ブランドと顧客の関係性が変わりつつあり、それに伴いブランディングのあり方も変化してきていることを踏まえ、コロナ禍においてその変化が加速され不可逆的に見えてきたことから、昨秋新たな見直しに踏み切ったのである。

 

ではその変化とはどのようなものか、具体的に見ていきたい。

まず、ブランドと顧客との力関係が大きく顧客側にシフトしたということである。これまでブランディングとは、そのブランドの特徴や提供価値、市場におけるポジショニングを明確に定義し、それを正しく一貫性をもって顧客に伝えていくことだとされてきた。しかし今はそれだけでは不十分である。情報化が進む中、人々は自らの価値観に照らして自分にとってよいものを見極め選ぶようになってきており、顧客との双方向の対話を通じて顧客に受け入れられるブランドを構築することが重要になっている。

次に、コミュニケーション以上に体験が重要になってきていることが挙げられる。ソーシャルメディアを中心に体験を発信して共有する時代、人々は自らにとって意味のある体験が得られるかどうかを基準に良し悪しを判断するようになってきている。

そしてその変化のスピード感である。顧客側では情報化・デジタル化を通じて瞬時に、多様かつ膨大な情報が飛び交い、ビジネス側では加速度的に進むイノベーション、従来の枠組みにない競合の出現など、従来のアプローチでは競争優位に基づくポジショニングの確立・維持が難しくなってきている。顧客のニーズの先を読む洞察力をもち、スピード感をもって柔軟に新たなブランド体験を作り出していくことが求められている。

こうした変化の中、「力強いリーダーシップのもとで、顧客を巻き込むブランド体験を提供し、顧客との持続的な関係性を併せ持つ」ブランドこそが強いブランドであると、インターブランドは考える。顧客が何かがほしい、何かをしたいと思った時にそのブランドを思い出してもらえるように、常に頭の中に選択肢として入っている状態をいかに作り出していくのか、それが重要なのである。

 

新しいブランド強度スコア(BSS)の10の指標

このような変化を捉え、新しいBSSでは以下の3つの柱のもとに10の指標を定義した。

  1. 社内指標
    Leadership:強く対応力のあるブランドを構築する
    この柱は、企業内に関する4つの指標、Direction/志向力、Alignment/結束力、Empathy/共感力、Agility/俊敏力で構成される。強いブランドは、ブランドが目指す「北極星」が明確であり、組織全体がその実現に向けて動いている。だからこそ市場が大きく変化する中でも根幹はぶらさず長期的には目指す姿に向かいつつ、短期的には市場や顧客、競合の変化を予測し、迅速かつ柔軟に対応していくことができる。それによりリスクを軽減し、多様な機会を捉えていくことができるのである。
  2. 社外指標
    Engagement:企業と顧客の相互の関係を形作る
    この柱は企業と顧客の接点に関する3つの指標、Distinctiveness/独自性、Coherence/整合性、Participation/共創性から成る。変化が激しい社会においては、ブランドのポジショニングよりも目指す姿に向けた動きが問われる。そこでは何を伝えるかよりもどのような体験を提供するか、各顧客接点での表現が一貫しているかよりも全てのブランド体験が一貫したストーリーのもとに組み立てられているかが重要になる。そして、顧客をデータと捉えずパートナーと捉え、その興味や期待を喚起し、共創することを通じて、巻き込み広げていくことが求められる。共創の重要性はBtoCかBtoBかを問わない。
    Relevance:顧客との絆を強化しロイヤリティを生み出す
    顧客とブランドの関係性はPresence/存在感、Trust/信用度、Affinity/愛着度で測る。情報化やデジタル化が進み顧客の期待も日々変化する中で顧客の心を掴むには、その時々において人々にとって意味のある形で存在感を示し、また個々の人にとって意味があり、信頼できる存在でなければならない。人々の生活の中でどのような役割を果たすのか、どういう価値を提供するのかを様々な施策を通じて明確にし、顧客のロイヤリティを勝ち取っていくことが重要になってきている。

 

意志のある変革、特徴的な体験提供、顧客との絆の深化が、
ブランドを強く成長させる

先にもお伝えしたように、この新しい10の指標は、今日においての強いブランドのあり方を表すものとなっている。強いリーダーシップのもとに顧客の変化に迅速に対応し、一貫したブランドストーリーのもとで特徴のある体験を提供できるブランドこそが、顧客との強い絆を築き必要な時に想起されるブランドとなる。インターブランドでは、これからもそういった強いブランドづくりを通じて、事業成長のお手伝いをしていきたいと考えている。

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