WORKMAN株式会社ワークマン専務取締役 土屋 哲雄 様 | インターブランドジャパン

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WORKMAN

土屋 哲雄 様

株式会社ワークマン
専務取締役

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

「機能性ウエアならワークマン」と第一想起されるブランドを目指すうえで、大事にしているのがブランドストーリーです。まず開発者が製品に込めた想いを、役員、営業企画、広報チーム、アンバサダーの前でプレゼンし、そこから製品開発ストーリーをまとめ、加盟店やパートさんとも共有します。アンバサダーにはプレスリリース以前にSNSで発信することを許可し、そのことはメディアからも許容されています。アンバサダーとワークマンの間に金銭関係がないからこそ、情報が拡散しやすい。ストーリーテリングとアンバサダーの拡散力でブランドの認知と共感を拡げています。
当社の社是は「声のする方に、進化する」ですが、1,000人の声を聞くよりも5万人のフォロワーがいるアンバサダーの声を聞くのがワークマンのやり方です。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

ブランドとして社会課題に取り組もうと、労働寿命延長を目指す「快適ワーク研究所」を作りました。これまでは完全自前主義でコラボを避けてきましたが、労働者不足を緩和するという大義のために、パナソニックグループ企業や東北大学医学部とのコラボにより熱中症アラート腕時計や冷暖房服、背筋使用を4割削減するアシストスーツなどの開発を行っています。最終的には、快適ワーク製品使用の法制化を狙いたいですね。
メタバースでもいろいろなコラボができそうです。メタバースで自由に楽しく活動できるサポートができれば、リアルでの介護支援に繋がるのではないかと思っています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

当社の社是である「声のする方に、進化する」に従い、企業の方針でなくお客様の声を聴いて製品作りを行っています。お客様の声を代弁するアンバサダーが参加して製品開発するプライベート商品の割合を現在の1/3から1/2へ引き上げます。
また、「ファッション重視、機能はステルス」(ファッション性で選んだら機能性もついてくるイメージ)で女性の需要を拡げていきたいと考えています。「23年春夏新製品発表会」において、後にアンバサダーとなるファッション系インフルエンサーを新たに50人以上集める予定です。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

社員・現場が自発的に動き、自律分散的に商品開発を行う。それを帰納法的にまとめてストーリー化するのが、ワークマンのスタイルです。以前はトップダウン型の会社でしたが、社員や現場に権限を渡し、マイクロマネジメントは一切せず、2~3年は待つ。これを5、6年やり続けたらうまく行くようになりました。
現場の「こんなことをやりたい」を優先し、企業戦略はその後をついていく。これも「声のする方に、進化する」やり方です。会社が決めたことを押しつけても社員は動きませんが、自分がやりたいことなら率先して動きます。
社員は「親切心」で採用し、加盟店は「人柄」で選び、メーカーとは長く付き合う。このやり方で「善意のサプライチェーン」を実現しています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

会社のバーパスが「機能と価格に新基準」なので、未曾有の円安でも既存製品の値上げをしないことに決めました。これも現場の判断によるものです。
また、2030年までにサステナブル製品比率を全PB製品の5割にします。
そのためには、他社が真似できない技術で製品寿命を長くして毎年廃棄を出さない事業モデルを構築したい。売り上げノルマを廃止し、実需より若干少なめの生産量にして余らせない。加盟店には「品切れになったらお客様に謝ってください」とお願いしています。そして、売り残した季節品は、廃棄しないで翌年までキャリーして、翌年定価で売り切ります。
ハードルは高いのですが、サステナブル化に本気で取り組むことで、社員に新たな達成感を持ってもらい、ブランドを成長させたいと考えています。

Brand Value Chart

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