Ricoh株式会社リコーコミュニケーション戦略センター 所長 吉川 明子 様 | インターブランドジャパン

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Ricoh

吉川 明子 様

株式会社リコー
コミュニケーション戦略センター 所長

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

ブランドは、これまでに築き上げてきた信頼であり、信頼の厚みが社員の誇りとなり、エンゲージメント向上につながります。社員のエンゲージメントが高まれば、一層高いサービス提供が可能となり、さらなる信頼へとつながっていきます。そうした社員一人ひとりのモチベーションが企業成長の原動力であり、その意味でもブランドは、経営において非常に重要なものと認識しています。
弊社では、社長直下のコミュニケーション戦略センターが、グローバルも含めたコミュニケーション全体戦略の策定から実行までを一気通貫に行います。実行にあたっては経営企画、ESG、人事などの本社組織はもちろん、グローバルのメンバーと連携し、全社展開を進めています。
現場に即した迅速な意思決定を図るべく2021年に導入したカンパニー制下で、ともすれば遠心力に傾きやすい体制をコーポレートとして束ねるために、各ビジネスユニット(BU)に「BUアンバサダー」を配しています。製品・サービス関連のプロモーションも適宜サポートすることで、ブランドの一貫性の担保及びグループの一体感醸成に努めています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

社会にどんな価値を生み出しているのか、社会における存在意義がこれまで以上に求められています。一方ではコロナ禍で働き方や、社員と会社との関係性が変わり、帰属意識が薄れてきています。事業活動を通じどのように社会課題に向き合い、どんな価値を提供できているのか、社会における存在意義を感じられることが、社員の誇りやモチベーション向上につながると考えています。そこで、自身の仕事が、SDGsにどのように貢献しているか、社会とどうかかわっているのかを言語化してもらう取り組みや、自身にとっての働きがいや「“はたらく”歓び」を考えてもらう機会を設けるなど、社員参加型の活動を展開しています。
今年度は、社員向けに、統合報告書の価値創造プロセス図の解説動画の制作にもチャレンジしました。分かりやすくシンプルなアニメーションでグローバル全社員へ発信しました。社員自身はもちろん家族にも見てもらうことでリコーが目指す社会に共感し、実現に向けともにチャレンジしてもらえればうれしいです。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

リコーは、OAメーカーから、デジタルサービスの会社への変革の真只中にあります。コロナにより働き方はもとより人々の価値観が一変する中では、変化の一歩先を読み取り、より速いスピードで変革を起こさなければなりません。
そのためには、組織の意思決定を待つのではなく、現場のニーズにプロアクティブかつフレキシブルに対応して価値を創造していける自律型人材への意識改革が必要です。一方で、変えてはいけないものもあります。それが、「三愛精神」という創業の理念であり、「はたらくお客様に寄り添う」という私たちのDNAです。変革期の今、私たち全員が会社の方向性を理解し、同じベクトルで力を合わせていくことが重要であり、社員の求心力となる理念の共有、浸透は不可欠です。
リコーでは、創業100年を迎える2036年ビジョンとして「“はたらく”に歓びを」を掲げています。世の中の “はたらく” を支え、進化させていくこと。私たちも、お客さまも “はたらく”歓び を感じられるようお手伝いをしていくこと。その先には、一人ひとりの働きがいと、企業や経済の成長が両立する、持続可能な社会がある。このビジョンには、そんな想いが込められています。これを共通のゴールとして、グローバル社員の求心力を高め、挑戦を加速させていきたいと考えています。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

新しい経営体制のもと、新中期経営計画がスタートするという変革期において、求心力となりうるブランドの意義が、ますます大きくなってきます。
そうした背景を踏まえリコーウェイを見直しました。「使命」および「目指す姿」を統合し、これまで2036年ビジョンとして掲げてきた「“はたらく”に歓びを」を据えました。改定にあたり重視したのは、社員の巻き込みです。国内外の社員からリコーウェイや2036年ビジョンに関するヒアリングやワークショップを実施。理解浸透を図るための施策のアイデアについても、グローバルのメンバーから募集しました。
加えて、昨年から新入社員や中途社員に向けた人事の教育プログラムにブランド教育も組み込み、「“はたらく”歓び」を考えてもらうワークショップを開催する等、社員巻き込みの施策を強化しています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

新中期経営計画を実現するのは、社員に他なりません。私たち一人ひとりが、使命と目指す姿を正しく理解することが重要であり、そのためのインターナルブランディングを一層強化していく考えです。これまでも社員が登場するTVCMや、勤労感謝の日の新聞広告などのペイドメディアや取材を通じたアーンドメディアなど、メディアミックスのコミュニケーション施策により、社員のモチベーションアップに取り組んできました。こうしたインナーブランディングを継続・進化させながら、今後は社外コミュニケーションも深化させたいと考えています。ターゲットオーディエンスをより明確に絞り込んで、若い世代の方々にもリコーの取り組み、例えばリコーの技術やESGの取り組みについて発信していきたいですね。「“はたらく”に歓びを」が実現される社会や未来の働き方など、未来志向のコミュニケーションを展開し、社内外に賛同の輪を広げていきたいです。

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