Rakuten楽天グループ株式会社副社長執行役員CMO (Chief Marketing Officer) 河野 奈保 様 | インターブランドジャパン

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Rakuten

河野 奈保 様

楽天グループ株式会社
副社長執行役員CMO (Chief Marketing Officer)

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

楽天グループは、金融から通信まで70を超える多様な事業で「楽天経済圏」を構築していますが、その中でRakutenブランドとは何かを伝えるために、マーケティング部門にブランディング統括部門を置き、全事業ブランドの統括・サポートを日常的に行っています。また、各事業のマーケティング部門メンバーとCMOマンスリーミーティングを通じて網羅的に情報共有を行うことで、ブランド活動を実践しています。
展開しているサービスが非常に幅広く、チャネルやユーザーも多様な中で、各事業の個性を担保しながら、使い勝手や体験において統一感のあるRakutenらしさを伝える“Unique yet unified”の実現がブランディングの課題となっています。
UniqueはRakutenの根幹です。楽天市場は“Shopping is entertainment” をコンセプトに、効率よく買い物をするためのベンディングマシンではなく、お店や作り手の想いを商品と共に届けるストーリーテラーとなり、それらをサポートするプラットフォームになりたいという想いで始まりました。Rakutenのミッションは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」こと。今後も楽天経済圏というエコシステムをさらに強化していきますが、その核となる事業も、ユーザーの獲得や成長戦略も時代に応じて変化していく中で、各サービスのユーザー分析を通じて、顧客のロイヤルカスタマー化を目指します。
最終的にRakutenが目指すのは「Conglomerate-premium」。さまざまな事業を持っていることが大きな価値を生み出すことに繋がると考えています。Rakuten独自のフィロソフィーを軸に、各事業を横断するブランディング統括部門があることで、一つの事業での成功体験を他の事業に横展開することができます。また、事業を超えてデータを共有することで、各事業の戦略構築、ひいてはグループ全体の戦略構築に貢献しています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

事業の拡大・成長とともに他の企業と関わることが非常に増えてきたので、 Rakuten全体としてより包括的に取り組めるようにしていきたい。そのためにも法を遵守しながら各事業間でのデータ活用を強化し、ユーザーベネフィットを生み出していくことが重要だと思っています。
社会貢献に関しては、昨年から「Tech & Green」という活動を開始しました。「Tech」は、従来のテクノロジーを通じて社会に貢献するという考え方です。「Green」については、グループブランディング部門と環境部、広報部等が連携して、各事業における環境負荷の現状確認からKPIの設定、実践状況の可視化まで、徹底した取り組みを行っています。さらに、「Green」の視点をサービスに取り込み、事業自体に実体化させる取り組みも広がっています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

Rakutenブランドでトータルに事業を展開していることにより、ユーザーベネフィットが生み出されるだけでなく、既存事業のユーザーの反応を見て新たな事業の立ち上げや見極めが非常にスピーディーにできる、また立ち上げた後のグループ内での連携による事業育成がしやすいなどのメリットがあります。
ユーザーベネフィットに関しては、ポイントのように見えるものだけでなく、Enrich your lifeをコンセプトに、「あなたの生活をより豊かに賢くする」観点から事業を広げていきます。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

100を超える国々から社員が集まるRakutenの社内共通言語は英語です。文化的なバックグラウンドが異なる社員が一つのゴールに向かって動いていくためには、グループが目指す方向性を言語化して発信・共有する文化が重要です。こうしたシェアリングの文化は、25年前の設立以来ブレていません。事業が拡大した今でも、三木谷は自分の思っていることを毎週全社員に率直に伝えています。
行動指針として明文化している「楽天主義 (ブランドコンセプト、成功のコンセプト)」は、「楽天人」としての行動や判断の基準としてすっかり根付いており、カルチャーとしてRakutenらしさを形成しています。
グローバルにおいても、ブランド浸透のためのプログラムを各社と共有し、ブランドの「伝道師」を通じて Rakutenのヒストリーやカルチャー、ブランドコンセプトを共有・実装する活動を行っています。また、社員の家族にもRakutenが目指すものや日本のカルチャーなどをもっと知ってもらえるよう、オフィスを開放するファミリーデーなど、さまざまなプログラムを実施しています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

人々をエンパワーメントして社会に貢献する企業となっていくビジョンは、創業以来変わりません。当時の社会課題であった地方の小さな企業、個人事業を支えるために楽天市場を創業して以来、折々の社会課題の解決に向け取り組んできた結果、事業が拡大してきました。これからも、Rakutenと関わることで生活が豊かになり、楽しくなると実感してもらえること、人々と一緒に明るい未来を作っていけるブランドとなることを目指していきたいと考えています。

Brand Value Chart

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