POLA株式会社ポーラ代表取締役社長 及川 美紀 様 | インターブランドジャパン

100

POLA

及川 美紀 様

株式会社ポーラ
代表取締役社長

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

ブランドは経営における最重要課題です。人的資本、コーポレート、社会的意義、商品、そして顧客に至るまで、すべての資源の集大成がブランドだと考えています。
ブランド活動の責任者は社長である私ですが、今年から経営企画を巻き込み、資源配分は経営企画、活動の配分はコーポレート室、企業戦略は社長が行います。じつは、ブランド価値経営の推進に強くコミットしていく覚悟を示すために、私個人の業績指標にBSS(ブランド強度分析スコア)を組み入れています。社長自身の個人評価のウエイト 10%を占め、BSSの要素がすべて含まれており、賞与に連動しています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

ポーラのパーパスを実現する行動スローガン「We Care More.」のひと言に尽きます。
ブランディングに取り組む中で、企業、顧客、社会は縦の関係ではなく、循環するもの、縦横無尽につながっているものだという考えに至りました。コロナの影響もやはり大きいところです。
世の中は、すべてが網の目のようにつながっています。その中で「私」からその先へ「ケア」を拡げていくために、「着眼大局、着手小局」~大局を目指して、目の前のできることからコツコツ積み上げています。
例えばダイバーシティへの取り組みは自社のためでもありますが、弊社の事例を参考に他社も取り組んでくれたら、社会変革の種になるのではないかと考えています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

ポーラがお客様に提供しているのは「豊かな時間」であり、自己を肯定し、自分の可能性を拓くことです。化粧品やエステティックは、それを実現する手段のひとつに過ぎません。その考えから、化粧品に限らず「豊かな時間」を提供する多様な取り組みを始めました。地域のつながりと楽しい時間を提供する「マルシェ」や、ジェンダー平等な未来を拓く次世代のための学びの場の開催、子どもたちに仕事の面白さを発見してもらう飛騨高山での「地域お仕事発見隊」などがその一例です。
人的ブランドやお客様に提供する価値を高め、社会変革の一助となるように2021年に設立した「ポーラ幸せ研究所」も、まさにそのようなインサイトを掴むための取り組みです。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

ブランドを創るのは社員ですから、ポーラの思想・哲学をしっかり伝えていくことが重要です。広告やメッセージの発信も、外部への情報発信だけでなく社員の納得性を高めるためにも行っています。社員の共感度を定点観測する中でとくに重視しているのは、自社の事業に誇りを感じている人の割合を上げていくことです。
カルチャーづくりに関しては、社員一人一人が「バリュー・クリエイター」になるための様々なプログラムを実施しています。「尖れ、つながれ!」というスローガンで、「意味ある行動を起こす」ための変革目標を3年レンジで各自設定し、半期ごとに進捗状況を確認するのもその一つです。変革目標は全社員で共有するので、同じ目標を持つ人たちによるワーキンググループが複数生まれていて、顕著な業績を称え合う場も設けています。
経営層の考えを浸透させる上で最も効果が高いのは対話プログラムです。また、横並びの社員の行動に喚起される部分が大きいので、その点に着目したカルチャーづくりを始めたところです。すでに社員の提案件数や変革プログラムへの参加人数は確実に上がってきています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

私たちが創りたいのは、お客様の永続的な幸せであり、その先の社会の幸せです。
新たな取り組みとして、23年4月にポーラの最高峰ブランドB.Aより「B.A ミルク フォーム」を発売します。長引くマスク生活を経て、マスクを外した後の顔のもたつきやたるみが気になるというお客さまのお声に着目してポーラが独自開発した、「引き締め泡乳液」です。時代の流れとともに変化するお客さまのお悩みや理想に、私たちができる最大限で応えていきます。
さらにエステ強化。ECのお客さまにエステ体験への特典などをお出しすることで多くのお客さまに商品やサービスをご体験いただき、長くお付き合いいただくことをチャネルシームレスで実現していきます。
この取り組みにより、お客様とブランドとのつながりをより強くし、お客様の体験価値を高めていきたいと考えています。

Brand Value Chart

一覧に戻る

Best Japan Brands 2023 Insight
Best Japan
Brands 2023
Insight
Brand Leader’s Interview​
Best Japan ​Brands
2023​ Interview​​