Panasonicパナソニック ホールディングス株式会社ブランド戦略・コミュニケーション戦略担当 執行役員森井 理博 様 | インターブランドジャパン

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Panasonic

森井 理博 様

パナソニック ホールディングス株式会社
ブランド戦略・コミュニケーション戦略担当 執行役員

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

当社グループでは、ブランドを経営の中核に位置付けています。実際、パナソニック ホールディングス(株)(以下、PHD)においては、経営戦略部門の中にブランド部門を設置しています。一方、各事業会社に新たにブランド担当役員を任命し、PHDおよび各事業会社のブランド担当役員で構成される「ブランド・コミュニケーション機能コミッティ」という、ブランドにおけるグループ全体の最高意思決定機関を設けています。ホールディングスというと強いガバナンスを利かす中央集権型をイメージされるかもしれませんが、当社グループにおけるホールディングスの役割は事業会社の下支えであり、あくまで主人公は事業会社という位置付けです。この関係性を私はよく「土地」と「家」に例えます。35の事業部を有するコングロマリットの会社として、グループ共通の価値観や、事業会社単体では手が回らないグループ全体でやるべきことを「土地」として耕すことで、各事業会社が、それぞれの事業という「家」をより実りある魅力的なものにしていただくのが役割ということです。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

当社グループの共通の存在意義(パーパス)は「物と心が共に豊かな理想社会の実現」であり、パーパスを表すブランドスローガンが「幸せの、チカラに。」です。さらに、社会との関係性を構築する具体的なテーマとして、パーパスを因数分解したものが「環境(サステナビリティ)」と「ウェルビーイング」になります。ただし、両者は並列ではありません。お客様の商品使用による排出量を含めると、事業活動全体で年間1.1億トンものCO2排出をしている当社グループにとって、環境課題と向き合うことは責務であり、その達成なしにウェルビーイングは実現できません。私たちは、自社のCO2排出削減に加え、くらしやビジネスにおけるCO2削減に貢献する様々な活動のインパクトを拡げることをコミットメントし、「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」と表しました。「IMPACT」には「ACT」が含まれていますが、これは単なるビジョンではなく、実際にアクションをしていくという覚悟を込めています。このPGIの訴求が、ブランド活動の一丁目一番地だと考えています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

事業の成長はあくまで事業会社が主体です。一方で、コーポレートブランドが果たす役割は、グループ経営の先行指標として、グループの目指す未来像を示すことだと考えています。ただし、画餅ではなく技術に裏打ちされていることが不可欠ですので、現在CTO・技術部門との連携を深め検討を進めています。ブランドがパーパスドリブンでマーケットリーダーとしての姿を示し、数年後に当社の技術でそれが実現される、このサイクルが回れば、当社グループは確実に強くなります。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

当社グループでは、基本的な考え方と行動指針を「経営基本方針」として社内外に示しています。これは、事業会社制(持ち株会社制)への移行に伴い、グループCEO楠見自らが、現在の社会情勢や事業環境に照らしながら約60年ぶりに大きく改訂したものです。これまで、人事部門や経営企画部門と連携しながら様々な浸透施策を進めてきてはいますが、認知こそ90%程度まで到達したものの、実践となるとまだまだ、というのが正直なところです。当社グループはグローバル24万人の会社であり、意識変容・行動変容を促すのは並大抵のことではありません。また、特効薬があるわけでもないので、とにかく繰り返し、繰り返し言い続けていく他にはないと考えています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

環境とウェルビーイングという大きな軸を変えるつもりはありません。ただし、手段としては色々と考えられますし、「スポーツ」もその一つです。当社グループではオリンピックの最上位パートナーとして1987年以来、オリンピック・パラリンピックを支えてきました。また、「パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ」を開催したり、「パナソニックパンサーズ」「パナソニックワイルドナイツ」といった多くの企業スポーツを有したりするなど、長年に亘りスポーツに関わってきました。こうした活動はコストとして位置付けられることが多いのですが、我々は大事なアセットとして捉えており、「ビークル」として活用することを考えています。スポーツやアスリートを、当社のパーパスの体現者として、或いは、当社の価値観の可視化シンボルとして位置付けるということで、いわゆるスポーツマーケティングとは一線を画す取り組みになります。

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