Olympusオリンパス株式会社コミュニケーションズ, グローバル バイスプレジデント渡邉 徹 様 | インターブランドジャパン

52

Olympus

渡邉 徹 様

オリンパス株式会社
コミュニケーションズ, グローバル バイスプレジデント

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

2018年に経営理念を改定し、あらゆる行動の拠り所となるパーパスを「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」とし、これを全うするためにグローバルで共有する5つのコアバリュー(「誠実/Integrity」「共感/Empathy」「長期的視点/Long-term View」「俊敏/Agility」「結束/Unity」)と定めました。これらを体現し、日々の業務の中で積み重ねることで得られる信頼と、そこから滲み出すものこそが、私たちにとってのブランドです。
重視しているのは、「ブランディング」というよりも「ブランデッド (branded)」。いかに外から評価され、選ばれるブランドになれるかを意識しています。
これらの活動は、トップマネジメントの強力なコミットメントの元で、当初はコミュニケーション部門中心に進めてきましたが、理念の社内浸透をさらに促進し、従業員のエンゲージメントを高めるという観点から、現在ではHR部門などとの連携を一層強化して、理念を体現する人が評価される企業風土作りを推進しています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

パーパスを実践するために、グローバル・メドテックカンパニーへのトランスフォーム(企業変革)を宣言し、内視鏡などの技術的側面に重きを置いたプロダクトポートフォリオからの発想ではなく、患者さんが特定の疾患を予防あるいは認知し、医療機関で診断・治療を経た予後の生活に戻るまでの流れ(ペイシェントジャーニー)の全体像の中で、どのようその疾患が進行するかその機序を理解し、未解決領域(アンメットニーズ)を把握するという考え方をベースに、いかに患者の具体的な悩みを医療従事者らと共に解決できるかに取り組んでいます。ものづくりのスペック競争ではなく、いかに患者さんのために考え、医療従事者らと共に行動できるパートナーとなれるかを重視しています。
この考え方が明確な医療事業の戦略的な方向性となり、ステークホルダーとの関係性が深まってきました。また、現場の医療従事者の皆さんの認識も変わり、共創の取り組みに繋がっています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

早期診断や治療だけでなくその先、生活者が望ましい生活に戻るために何が出来るかを考えると、なすべきことは沢山あります。
自前主義に陥ることなく、なすべきことを行うために誰がベストパートナーかという視点で、足りない部分は同志と協働し、「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」を目指していきます。スタートアップ企業やベンチャー企業などとの取り組みも、さらに増えていくでしょう。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

理念を体現する人が評価される人事制度を導入したほか、年に一度、グローバルの全従業員が5つのコアバリューを再認識する1 週間、「コアバリューウィーク」を設定しています。また、この取り組みと連動する形で発表されるCEOアワードの選考でも、コアバリューの体現が評価項目として重視されています。
従業員の声に耳を傾け、よりよい企業⽂化や職場環境を実現するために、「コアバリューサーベイ」というグローバルの全従業員を対象としたエンゲージメント調査も実施していますが、その結果を見ても、ブランドを体現しようという共通のカルチャーが徐々に醸成されてきたと感じています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

理念の改定、そして企業変革のトランスフォーメーションのフェーズを経て、成長のフェーズに入る基盤作りは整ってきました。真のグローバル・メドテックカンパニーへのさらなる飛躍に向けて、経営理念の浸透、企業文化の醸成、人材育成、注力している事業領域において挑戦を続けるとともに、ステークホルダーとの関係性においても、接点の強化は進めていきたいですね。
メドテックの分野においては国内にあまりプレイヤーがいないのですが、まだまだ国際競争力を競える有力なセクターです。日系企業のグローバル化の事例として、「ブランデッド」されるためのファクトを積み重ねて、質の強化に注力していきます。

Brand Value Chart

一覧に戻る

Best Japan Brands 2023 Insight
Best Japan
Brands 2023
Insight
Brand Leader’s Interview​
Best Japan ​Brands
2023​ Interview​​