NRI株式会社野村総合研究所執行役員 サステナビリティ経営推進担当 桧原 猛 様 | インターブランドジャパン

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NRI

桧原 猛 様

株式会社野村総合研究所
執行役員 サステナビリティ経営推進担当

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

野村総合研究所(NRI)の源流は、産業経済の振興と社会への奉仕を掲げて生まれたシンクタンクにあります。もうひとつの源流は、コンピュータの高度利用の可能性を一般企業にも開放するという志を掲げて設立された野村電子計算センター(NCC)です。その2つの源流から、社会にオピニオンを発信しながら社会インフラの仕組みも創る、NRIというユニークな存在が誕生しました。
わたしたちが掲げる理念「未来創発」には、「本業を通じて社会課題に取り組み、新たな社会価値を創造する」という創業の精神が込められています。その精神を受け継いで、わたしたちは政策提言やフォーラム、書籍などを通じた発信を積み重ねてきました。それらはブランディングを意識した活動ではありませんが、数々の発信に込められた確かな洞察力の蓄積が信頼となり、結果的にブランドを創っていると考えています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

わたしたちは、「NRI未来創発フォーラム」をはじめ、「知的資産創造」といった論文誌や各種レポートなどのあらゆるタッチポイントを通じて、高い視座を意識して社会への提言を発信し続けています。そうした積極的な情報発信を特に意識するようになった転機は、2016年、外に向けて初めて開示した長期経営ビジョン「Vision2022」と中期経営計画だったかもしれません。その中で、私たちの使命である「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う。お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」を改めて全うするという姿勢を示しました。このわたしたちの使命は、社会に対するコミットメントとして、社員の間でしっかり共有されています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

NRIは、日本がとるべき成長ストーリーとして「デジタル社会資本」の創出を掲げています。それに基づき、デジタル技術で新たな価値を生み出し、社会や産業を支える共通のインフラやサービスを創出することで、豊かで活力ある社会や持続可能な社会、安全安心に満ちた社会に寄与する提言や事業を推進しています。DXは手段に過ぎません。目指すのは、DXのその先にある豊かさ。その実現に貢献するために、発信と対話を続けていきます。こうした活動も、ブランド価値を高め、事業成長につながるものだと考えています。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

現在の中期経営計画において、わたしたちは成長戦略の柱を「コアビジネスの高度化・大型化」「DXビジネスの創出と拡大」「グローバル化の加速」と規定しました。この戦略は、策定の段階から社内を巻き込み、議論を繰り返して練り上げられたものです。以来、それぞれの分野で責任者がリーダーシップをとりつつ連携し、方向性を出して社内で合意形成を図り、計画、実行するというサイクルがかなり板についてきました。いまでは、それがカルチャーとして全般に染み渡るようなってきたと感じています。
また2019年には現中期経営計画の中で、わたしたちが生み出している社会価値を「活力ある未来社会の共創」「最適社会の共創」「安心安全社会の共創」と定義し、サステナビリティ経営のフレームとして掲げました。これを機に、それまで分科会レベルで存在していた会議体を価値共創推進委員会として新たに設置し、会社として掲げる3つの社会価値と自分たちの仕事とのつながりについて、対話を通して発見するプログラムを続けています。これは社員一人ひとりが自分たちの存在価値を再認識する機会となり、NRIグループ全体への浸透も進んでいます。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

この春には、2030年に向けて新たに策定したMVV(ミッション & バリューズ、ビジョン)を発表し、新しい中期経営計画も始まります。策定の段階では海外も含めて社内にプロトタイプを提示し、多くの社員との議論を繰り返して作り上げてきましたが、新しいツールも使いながら、これを深く浸透させていくことに注力していきます。
一方、MVVの共有が十分とは言えない海外拠点の社員への浸透はこれからの課題。こちらも早急に進めていきます。

Brand Value Chart

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