Nissan日産自動車株式会社日本マーケティング本部 ディビジョンゼネラルマネージャー 増田 泰久 様 | インターブランドジャパン

4

Nissan

増田 泰久 様

日産自動車株式会社
日本マーケティング本部
ディビジョンゼネラルマネージャー

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

ブランドは、お客さまが触れ、体験するすべてで体現されるもの。マーケティングやコミュニケーション部門だけではなく、商品開発、生産、販売の第一線に立つ人も含めて、みんなで創り上げていくものだと考えています。
だからこそ今期、特に重点課題としたのは、お客さまへのブランディングに加え、社内のステークホルダーの巻き込みを図ることです。サクラ、リーフ、アリアなど日産ブランドを象徴する電気自動車に関してのブランドセッションは、生産や開発部門や販売会社、ミスフェアレディらのPRスペシャリストも含め、オンラインとオフラインのハイブリッドで100回以上実施してきました。体系的にブランド理解ができた結果、改めて自分のやるべきことが明らかになった、モチベーションが上がったといった好意的な反応が増えてきたことを実感しています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

お客さまと中長期的な関係を築くために、いま市場で何が起こっているかには常に注意を払っていますが、特にお客さまに寄り添い、お客さま視点でコミュニケーションを考えることを重視して活動をしています。これまで私たちのコミュニケーションは、いわば川を挟んだ対岸で踊り、それを対岸にいるお客さまに見て頂くような形になりがちでした。しかし、これからは同じ川岸でお客さまと共に踊り、ともに体験を創らなければならないと考えて進めています。この考え方を社内では“Dance Over There”と呼んで浸透を進めています。
EVオーナーへの優遇サービス「Green Pass」としてご提供した、充電を待つお客さまへの「水を使わない洗車サービス」もそのひとつですし、NBAジャパンゲームでは、従来のスポンサーシップではなく、ハーフタイムに自動運転支援技術「プロパイロット」を応用した「自動モップ」を使ったショーを開催したり、電気自動車のアリアをコートで走らせダンクコンテストを共に盛り上げるなど日産ブランドとNBAとのコラボレーションをNBAファンに喜んで頂く形で実現できました。リアルに留まらず、新車のバーチャル発表会も開催し、メタバースを活用した体験も広げていきます。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

クルマとお客さまとの関係性は、日々変化しています。オーナーシップも大切ですが、「所有する」から「使う」というニーズにも積極的に応えていきます。電気自動車のカーシェアサービス「NISSAN e-シェアモビ」はそのひとつ。また、環境対策に前向きな自治体とのコラボレーションも進めており、京都では、市、タクシー協会と連携して軽の電気自動車サクラを活用した「EVタクシー」も実現させました。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

社内のステークホルダーの巻き込みを図るために、数多くの研修を実施していることは先に述べたとおりですが、そのほかにもブランドを体現するEVへの理解と共感を深める活動として、EVの社員向け試乗会や商品軸のセッションも開催しています。
また、わたしたちは年2回、社員のエンゲージメント調査を実施し、結果をトラッキングしています。最近の調査では、電気自動車を中心にブランドへの共感が上がっていることを確認していますが、お客さまへ向けたマス広告でのメッセージが社員のエンゲージメントを高めることに寄与していることも改めてわかりました。良い広告づくりは社内に向けても不可欠なものと考えています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

創業以来受け継がれてきた「他がやらぬことをやる」というDNAでイノベーションを加速させ、これまで以上に社会課題の解決に貢献していきます。
先にお話しした電気自動車体験・機会の提供は、強化と拡大を図っていきます。そしてお客さまの視点でコミュニケーションを考えること=“Dance Over There”を一層意識して、お客さまとともに何かを作り上げていくことに、さらに注力していきます。

Brand Value Chart

一覧に戻る

Best Japan Brands 2023 Insight
Best Japan
Brands 2023
Insight
Brand Leader’s Interview​
Best Japan ​Brands
2023​ Interview​​