Meiji明治ホールディングス株式会社取締役専務執行役員 CSO(Chief Sustainability Officer)古田 純 様 | インターブランドジャパン

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Meiji

古田 純 様

明治ホールディングス株式会社
取締役専務執行役員 CSO(Chief Sustainability Officer)

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

Meiji=チョコレートのイメージが強く、食品から医薬品まで幅広く健康・栄養のフィールドに関わっているブランドであるという実態が認識されていないという課題がありました。そこで、存在感が薄いコーポレートブランドを強化するために、昨年4月よりコーポレートコミュニケーション部を設置し、2021年6月に刷新したグループスローガン「健康にアイデアを」を社外へ発信していく取り組みを始めています。
これまで特に医薬品に関しては、Meijiブランドを前面に立ててきませんでしたが、今後は「健康」全体に関わるブランドとして、積極的に訴求していくことを考えています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

社会課題解決に向けた取り組みは、ブランディングに大きな影響を与えると考えています。
明治グループは、2023中期経営計画のメインコンセプトとして、「明治ROESG®️経営の実践」を掲げており、ROEとESG指標を同時にレベルアップするとともに、明治らしいサステナビリティ目標の達成を目指しています。これは、サステナビリティ活動と事業活動、財務/非財務の活動をトレードオンの関係で成立させ、企業の成長と社会貢献を同時に達成することを目指すものです。
欧米が先行するエシカル消費は、Z世代を中心に国内でも拡大していくでしょう。企業のサステナビリティへの取り組みに対する生活者の評価は、経営に大きな影響を及ぼしていくと考えています。

※「ROESG」は一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

健康価値領域での新たな挑戦を具現化するために、「価値共創センター」において食品・医薬品の枠にとらわれない研究開発を行っています。 グループ内の基礎研究部門のほか、食品・医薬品分野のアカデミアやスタートアップ企業などとの連携によるオープンイノベーションのアプローチにより、免疫力アップや抗老化などについて研究しています。アウトプットは食品、医薬品を問わないというやり方です。
自社だけでは足りない経営資源を補完するために、今後はグローバルにおいても外部の専門家やスタートアップ企業と連携しやすい環境づくりが重要になると考えています。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

毎年、従業員エンゲージメント調査を実施して職場の改善点を確認しています。また、各部署に設置したブランド推進リーダーを通じて、スローガンである「健康にアイデアを」をどのように実践していけばいいのか、各職場の中でミーティングを行い、行動に繋げています。それぞれの取り組みはグループ内のコミュニティサイトや表彰などを通じて全社で共有し、従業員一人ひとりの意識や行動、さらには商品へと具現化する流れを作っています。健康についてのアイデアだけでなく、サステナビリティに関する提案も出ており、こうした取り組みをさらに強化していく予定です。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

ヨーロッパやオーストラリア、ニュージーランドなどで普及している栄養プロファイリングシステムの開発・導入を考えて、商品ごとの栄養素のレイティング、栄養・健康情報の表示の仕方などを検討しているところです。
これは、粉ミルクから流動食まで、幼児から高齢者までをターゲットにした幅広い商品を持つMeiji らしさを訴求できる取り組みであり、また課題の一つでもある、コーポレートブランドとプロダクトブランドを紐付けるアプローチとしても有効だと考えています。

Brand Value Chart

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