Lawson株式会社ローソン執行役員 コミュニケーション本部長兼広報部長 楯 美和子 様 | インターブランドジャパン

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Lawson

楯 美和子 様

株式会社ローソン
執行役員 コミュニケーション本部長兼広報部長

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

ブランドはお客様との「約束」でありサービスや商品を選ぶ際の指針だと思います。Lawsonでは、コロナ下で変化したお客様の価値観や行動様式に合った新しい便利さを提供するために、2020年に「ローソングループ大変革実行委員会」を立ち上げ、店舗改装、商品改変、物流やデーター活用等様々な改革を進めています。この委員会の中のグループ・ブランディングプロジェクトで、ブランディング活動を推進しています。全てのプロジェクトは、グループ理念である「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」の実現を目指しており、この実現こそが強いブランドの構築に繋がると考えています。私がグループ・ブランディングプロジェクトのリーダーで、ローソン社員はもちろんグループ会社の社員もメンバーとなり部署を横断して各社で連携しながら進めています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

社会貢献や社会課題解決に対する姿勢、本気度が、購買行動を左右する時代になりました。ローソングループは、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」 という理念にもある通り社会貢献への想いが強い企業体です。災害など有事の際も、日常においても「マチへの貢献」を大切にしています。その事例のひとつとして「指さしシート」をご紹介します。コロナ禍でマスクが必須になって以来、それまで口の動きで意思疎通を図っていた聴覚障害のあるお客様にとって、コミュニケーションが難しくなっていました。手話が出来なくても、コミュニケーションができるツールとして、Lawsonでは「指さしシート」を導入したのですが、その反響の大きさと拡散スピードには驚かされました。多数のお問い合わせがあったことからこのシートはローソンのHPから出力できるようにし、自治体をはじめ多くの箇所でご利用いただいています。
これは聴覚障害のある社員の意見から生まれた施策ですが、Lawsonには、そうした提案をすくい上げる仕組みがあります。グループ理念の実現につながるアイデアを社員から募集し、採用されたら最大1億円の予算がもらえる「億チャレ!」や、日々の業務チャレンジを讃える社長賞もそのひとつ。みんなの役に立つ社員のチャレンジを促す文化を育てることで、事業もブランドも、ともに成長し続けるグループでありたいと思っています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

日本におけるCVSの店舗数は郵便局を遙かに凌ぐ57,000店。リモートの時代と言われますが、このリアルの店舗網こそがわたしたちの強みであり、ここにブランドの成長の種を見いだしていきたいと考えています。
サステナブルなコンビニを標榜し昨年11月にオープンした「Green Lawson」はそのための実験店舗で、お客様と一緒に取り組むSDGsを推進しています。CO2・食品ロスの削減、生産性の向上など様々な実験をしていますが、人と人との繋がりを作ることも重要な課題です。ここでは、省人化のためにお会計はセルフレジをメインとする一方で、従業員は「おもてなしクルー」としてお買い物にお困りのお客様のサポートをします。また、アバター従業員を活用し、介護や育児で外出しづらい、身体的なハンディキャップがあるなどの障壁を越え、誰もがいきいきと働ける“全員参加型社会”の実現を目指します。ここで培った経験値は、適宜全国のLawsonにフィードバックしていく予定です。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

グループブランディングプロジェクトでは、グループ社員全員がブランドサイトに自由にアクセスできる仕組みを作り、企業理念を体現する活動やチャレンジをした社員の紹介を続けています。また、昨年は横浜マラソンの公式サポーターとして、グループが一体となってボランティア活動に取り組みました。さらに外部に向けてローソングループで働く“人”にフォーカスしたNoteの発信も始めました。
ひとつひとつは小さな活動ですが、ブランディング活動以前に比べ、グループへのロイヤリティや好意度の数値があがってきています。社員への意識付けとして発信し続けることが大切です。次の段階として、商品開発や店舗での接客など日々の業務の中で「マチのために、みんなのために」という企業理念を具現化させる仕組みを作っていきたいと考えています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

コンビニは便利さが命。したがって冷凍ケースは、蓋がなく取り出しやすいオープンケースが常識でした。しかし先にご紹介した「Green Lawson」では、ここに扉を付け、お客様のひと手間によるCO2削減を提案し、受け入れられています。
実は10年ほど前にも同様の実験をしたことがあったのですが、そのときの結果は散々だったと聞いています。お客様の意識やニーズは、日々大きく変わっています。それをいち早く捉え、スピード感をもってイノベーションや商品サービスへと変えていくこと。その蓄積こそが、事業やブランド成長の王道ではないでしょうか。ブランディングは継続しかないと思っています。飛び道具に頼るのではなく、小さなことをひとつひとつ、愚直に積み重ねていきたいと考えています。

Brand Value Chart

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