Komatsuコマツブランド戦略事業部 部長 木村 幸 様 | インターブランドジャパン

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Komatsu

木村 幸 様

コマツ
ブランド戦略事業部 部長

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

コマツは、1950年代に海外へ進出し、現在は140を超える国と地域で事業を展開していますが、2021年の創立100周年を機に、初めてグループのコーポレートアイデンティティーを定め、ブランドプロミス「Creating value together」を策定・発表しました。これがコマツグループの6万2千人に及ぶ社員の共通の指針となっています。
コマツのブランディング活動はボトムアップで始まったものですが、それがグローバルまで巻き込んだ活動に昇華した背景には、各地で一貫したブランディングを求める声が高かったことに加え、実際の構築においてグローバルの意見も吸い上げて進めたプロセスにもあると思います。コロナ禍においてはTeamsなどのデジタルツールを駆使し、多様な座組のメンバーと高頻度にセッションを継続することができました。
グローバルチームはパッションをもって取り組み、リージョンの都合を主張するのではなく、共にグローバルで成長しようとする姿勢を持っていました。本社の意思に自分たちの意見が反映されることも、熱意につながったのだと感じています。そして経営トップがその熱意を受け止め、ブランド戦略の発表に至りました。 現在は、ブランド戦略事業部が主体となり、グローバルの各拠点のキーパーソンも参加してブランド活動を行なっています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

ブランドプロミスの「Creating value together」には、すべての事業活動を通じてよりよい世界のための解決策をステークホルダーと「共に」創るという想いが込められています。
石川県の銅山が閉鉱となった後の地域振興を願ってスタートしたコマツには、ブランディング活動以前から、地域社会との共生を目指す精神が脈々と受け継がれており、事業活動を通じた社会貢献が基本的な姿勢として根付いています。海外でも地域の雇用を意識した事業を展開したり、 たとえばカンボジアでは、対人地雷除去活動に留まらず、除去した後の土地に道路や農地、学校をつくる活動を15年間続けています。パーパスを体現する活動として、今後はこういった活動も積極的に発信していかないと理解もしていただけません。昨年立ち上げたばかりのグローバルSNSアカウント等も活用し、積極的に情報発信を行っていきます。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

サステナビリティへの取り組みについて、カーボンニュートラルを例に挙げると、コマツは、CO2削減の取り組み対象を、自社の拠点、自社の製品使用時にとどまらず、お客さまの現場全体にも拡げ、顧客施工の最適化により、社会のCO2削減にも積極的に貢献します。商品の電動化や、その商品をお使いいただく工程全体のプロセスの見直しまでをソリューションとして提供し、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場の実現に貢献する取り組みに力を入れています。このソリューションには、建設業界における就業者の高齢化・労働者人口の減少などの社会課題解決を目指し、現場全体をICTで有機的につなぐことで、現場の安全性・生産性を大幅に向上させるソリューションビジネス「スマートコンストラクション」なども挙げられます。
林業事業においても同様で、コマツは、伐採・搬出に加え、植林や育林も含めて森林の健康を守る循環型林業の実現をめざしています。すでにブラジルではその取り組みが具現化しています。
顧客と共に、顧客現場における価値創造の実現を通じて、コマツグループの持続的な成長を目指します。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

2021年からこれまでは、主として既存の社員に、自分たちはどう変わるかを伝える活動が中心でした。今後はグローバルな浸透活動が課題だと思っています。まずは、社員自身にコマツを好きになって愛してもらいたい。そのためには会社のことを知ってもらうことがスタートです。100年の歴史のなかで、コマツが事業を通じて社会にどの様なインパクトを与えてきたか、その実体がパーパスにつながっているのを知ってもらうためにはどうすべきか。グローバルチームで議論しながら取り組んでいます。
従来新卒中心で、入社時から皆が足並みを揃えて一定の知識を獲得してきた日本の状況と、リテラシーも文化もバックグラウンドも多様なグローバルでは、浸透の方法は変えるべきでしょう。ビジュアルや印象的なメッセージも活用しながら、グローバル全社員が心と頭で共感を覚えられる浸透を目指しています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

社内・社外向けを問わず、コミュニケーションをより強化していくことに尽きると思います。これまでも地域単位ではさまざまな取り組みにトライしてきましたが、グローバルで連携した打ち出しはしてきませんでした。スケール感を持ってそれを実現し、コマツの変革を体感できるような試みに挑戦したい。それが、波及効果としてビジネスの成長に繋がることを願っています。

Brand Value Chart

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