Fujitsu富士通株式会社CMO執行役員常務 山本 多絵子 様 | インターブランドジャパン

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Fujitsu

山本 多絵子 様

富士通株式会社
CMO 執行役員常務

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

ブランドは、Fujitsuにとって最重要資産のひとつであり、年々その重要さは増しています。活動のリーダーは社長になりますが、それを支え、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを実現していくのは、わたしたち自身であり、マーケティング部門だけのKPIなどでは決してありません。
そのパーパスを体現するのが、「Fujitsu Uvance(フジツウ ユーバンス)」という事業ブランドです。全社で取り組む事業として、また今後の経営戦略における成長の軸として展開しています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

生活者は、企業の社会的責任を重視するようになりました。コロナ禍やウクライナ紛争を機に、同じ価値観を持つ企業同士が繋がり、サステナビリティに貢献する動きも活発になっていますが、わたしたちの調査によると、活動が実際にビジネス成長につながっている企業はわずか6%程度です。
これらの企業には、1. コミュニケーション力、2. 確かな目標設定と定量的KPI測定の実践、3. テクノロジーの活用、4. カルチャー変革の成功、5. アイデアを実現に繋げるスキルの蓄積、というKSF(Key Success Factor)がありました。この結果をもとに、お客様とのエグゼクティブブリーフィングやラウンドテーブルの機会を増やしています。ファクトとしてデータを示し、対話を通して成功要因を発見し、お客様が具体的なアクションに繋げられるような提案力を磨いていきます。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

多くの企業が、コア技術や自社の知見を活かし、従来の枠に縛られない事業へと領域を拡大されています。一方で、わたしたち富士通のコアはテクノロジーであり、それを発展させていくことにあります。応用できるエリアはすべてと言えるほど広く、これを軸にお客様が向き合う社会課題を解決するソリューションをつくる方向にビジネスモデルが変わっています。例えば、世界の水不足に対するソリューション、カーボン排出量の見える化、ハザードリスクの検知・対応などの面で、いくつも事例が生まれています。業界や組織の垣根を越えてお客様同士を繋ぎ、新たなビジネスモデルを創出していく「クロスインダストリー」を推進していきます。「Fujitsu Uvance」も、垣根を越えるために貢献できるでしょう。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

製品や業務プロセスから、組織、企業文化・風土までを変革する全社DXプロジェクト「フジトラ」を開始して2年。社員自らが変わっていくのは当たり前になりつつあり、社員のモチベーションにも繋がってきています。
このモチベーションを、実際のアクションに繋げるために、起業家精神を育て、アイデアの創出からマネタイズまでをセットで学ぶプログラム「イノベーションサーキット」にも着手しています。ここでカルチャー変革を達成した人たちは、新たに設立されたローンチパッドという子会社を通じて、実際にビジネス化を開始しています。フジトラというカルチャー変革が、リアルなビジネスを経て、更に浸透されてきたように思います。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

パーパスも事業ブランドは、ともするとコンセプチュアルなものと聞こえがちですが、単なるコンセプトではありません。それを理解していただくためには、やはり実績を見せていくことが大事です。具体的な共創の事例や課題解決の実績を見せていくことで、ブランドはリアルになっていきます。それがビジネスに繋がるフェーズに移ることが重要です。まずは富士通に共感していただき、対話を始めたい。それがブランディングとしてやるべきことだと思います。
知見や経験が豊富にあることは富士通の強みの一つです。今年から始まる中期経営計画で、それを具体的にしていきます。

Brand Value Chart

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