Daihatsuダイハツ工業株式会社コーポレート統括本部統括部長 井出 慶太 様 | インターブランドジャパン

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Daihatsu

井出 慶太 様

ダイハツ工業株式会社
コーポレート統括本部統括部長

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

今後もDaihatsuとして存続していくためには、ブランドの価値を作り上げ、向上させていくことが必須であり、企業活動の目的としてもブランドの価値向上を掲げています。 そのために昨年、LYU (Light you up)・ブランド推進チームを立ち上げました。今年はさらに、モーターショー、モータースポーツなどの活動を管轄するチームを統合し、「LYU・ブランド推進室」として、日本、そしてアジアで、ブランド価値向上の活動強化に取り組んでいきます。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

事業・プロダクトにおけるB2Cのブランディングとして、クルマに興味のある方へのアプローチには従来から力を入れてきましたが、昨年からは、顧客以外のステークホルダーに向けたブランディングにも注力しています。
その一つは、社員に向けたインナーブランディングの強化です。企業理念を再整理し、社内へのメッセージの発信力を強める活動と、就職・採用時におけるブランディングなど、エンゲージメントを高める取り組みを行っています。
二つ目は、モノづくりからコトづくりへと事業領域を広げた取り組みです。「競合」という概念も、これからはクルマメーカーだけではなく、金融や物流を含めたバリューチェーン全体で考える必要があるでしょう。地方における社会との密接な関係をいかに築くか、また、多様化していく社会に応じて高齢者や女性といった方々にこれまで以上にどんなメリットを提供できるかを考えながら、柔軟な視点で新たな成長に向けた関係構築に取り組んでいます。
また、2016年に非上場となり、相対的に企業ブランドが希薄化してきている傾向もあり、各ステークホルダーとの関係性を再度強める意味でも、コーポレートブランドの強化にも力を入れています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

主に軽自動車の開発・販売を行ってきた弊社は、地方での移動や暮らしに長年貢献してくることができたと思います。その実績を生かし、地方の困りごとやより良い暮らしのための新たなモビリティサービスを積極的に展開しています。
その一つが地方自治体と連携し、介護施設の高齢者送迎をサポートするサービスです。また、軽トラックに設置可能な荷箱を活用したオールインワン移動販売パッケージ「Nibako」のレンタル事業と生産者と小売事業者を繋ぐ情報提供を併せて行うことで、簡便に移動販売を始めたい事業者をサポートしています。
他にも、Suzukiさんと共同で取り組んでいる兵庫県丹波篠山地区の農業支援活動や、滋賀県の畜産事業者を支援する牛糞を使用したバイオガス精製に向けた取組みなど、競合の垣根を超え、自治体とも連携し、また従来よりも一歩踏み込んだサポートに取り組み、地方の困りごとを解決していくことで、地域の活性化に貢献していきたいと考えています。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

ブランディング活動は、企業カルチャーの創造や社員満足を真摯に取り組んだ結果であり、企業らしさや実践する社員のモチベーションにも繋がる、ゴールが同じものだと考えています。
その為に、ここ数年かけて、「Daihatsuらしさ」とは何なのか、どこに向かって、どのようなマインドセットで臨むのかなど、行動を起こすときのコアとなる企業理念について再整理を行ってきました。現在、まさにこれを社内に浸透定着させるために、トップマネジメントが率先して取り組んでいるところです。
地道ではありますが、社内外の発信の際に繰り返し語っていくこと、経営層全体でのタウンホールミーティングの実施、社長と社員による座談会を通じ Daihatsuらしさやブランドの重要性を語るコンテンツの発信など、定着に向けた活動を推進しています。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

これからもDaihatsuが成長していくためには、過去の成功体験や延長線上に留まるのではなく、新しい領域に挑戦する精神が何よりも重要になってきます。
モノづくりだけではなく、その先にあるモビリティー社会での新たな価値を提供できるブランドへの進化を目指し、さまざまなパートナーと連携しながら、総力を上げて取り組んでいきたいですね。
また、新しい領域への挑戦も含めて、統一感ある「Daihatsuらしさ」を対外的に見せていくために、ブランドガバナンス(組織)とエンゲージメントを強化しながら、これまで議論を重ね、再整理してきたブランド・アイデンティティを発信する仕組みを整備していきます。

Brand Value Chart

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