Chugai中外製薬株式会社取締役 上席執行役員 最高財務責任者(CFO)財務経理、広報IR、購買統括 板垣 利明 様 | インターブランドジャパン

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Chugai

板垣 利明 様

中外製薬株式会社
取締役 上席執行役員 最高財務責任者(CFO)
財務経理、広報IR、購買統括

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

企業ブランドとは、社内においては“その企業たらしめる『背骨(バックボーン)』” であり、社外においては“その企業が醸し出す『らしさ』”だと考えております。当社は、関東大震災の悲惨な状況を憂い「世の中の役に立つ薬をつくりたい」との想いで創業しました。その想いこそが、約100年間に亘って事業を営んでこられた『背骨(バックボーン)』であります。その想いをミッション「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」にして、経営戦略に展開しております。『らしさ』については、当社が大事にしてきた「患者中心、フロンティア精神、誠実」の3つをコアバリューと定め、それらを計画策定方針ならびに行動指針にしております。旧より、当社には、創業からの想い、ミッション、コアバリューを体現していこうとする企業風土が醸成されていますが、その風土を継続的に育み、社員エンゲージメントの更なる高まりに繋げるため、トップマネジメント自らが積極的にメッセージを発信し、ダイアログやブログなどを活用した社員との双方向コミュニケーションを積み重ねるなど、カルチャーや企業ブランドの浸透や理解を促進する取り組みを行っております。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

医療用医薬品専業メーカーである当社の顧客と言えば、患者様とそのご家族、医療関係者、医薬品卸業者となりますが、いつ何時、病気になってしまうかもしれないという点では、全ての人々が当社ブランディングの対象者という事になります。通常業務では一般生活者との接点が少ないからこそ、当社のことを正しく知っていただくことはとても大事であります。薬機法等規制により製品広告ができないので、ミッションをより伝わりやすく表現した「創造で、想像を超える。/ INNOVATION BEYOND IMAGINATION」というスローガンを用いて、当社『らしさ』を前面に出した企業広告を毎年シリーズ化して出しております。また、疾患啓発説明会や勉強会、工場見学や地域住民・学童等を対象にしたオープンラボなどの取り組みを通じて、社会とのタッチポイント創る工夫をしております。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

いまだ治療法が確立されていない病気がたくさんあり、アンメット・メディカル・ニーズは未だ数多く存在しています。当社は引き続き医療用医薬事業を中核に定め、価値創造エンジンである研究開発に経営資源を集中投下して「革新的新薬」の創出に努めてまいります。 科学や医学は目覚ましい進歩を遂げており、創薬、サイエンス、デジタルといった変化の激しい環境において「革新的新薬」を連続的に創出し続けるためには、AI創薬をはじめ、あらゆる機能でデジタル技術を活用し、オペレーションモデルを進化させていく必要があります。自前オンリー主義には限界があり、これからはオープンイノベーションが鍵になってくると考えます。先端技術や企業の動向などを常に把握し、自社の強みとのシナジーが期待できる連携・提携に取り組み、「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」企業ブランド力を付けていきたいと考えております。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

当社は、2030年には「世界のヘルスケア産業のトップイノベーター」と呼ばれる企業になることを目指しています。そのためには、全ての機能が世界トップレベルになる必要があります。まさに全社ごとであり、社員一人ひとりも自分ごととしての強いコミットメントと固いエンゲージメントが必要です。社員が当社で働くことへの誇りと矜持、そしてイノベーションを推進する意欲の向上には、既に述べたダイアログやブログなどを活用した双方向のコミュニケーションという社内向けの取り組みだけでなく、ブランディング活動によるミラー効果も大いに期待できると考えております。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

革新的な医薬品とサービスの提供を通じて、患者さんの健康と幸せに貢献するために、イノベーションの連続的な創出に取り組んでいきますが、それだけでは十分とは言えません。当社が目指しているトップイノベーター像は、「世界の患者さんに期待される企業」、「世界の人財とプレーヤーを惹きつける企業」に加えて、「世界のロールモデルと讃えられる企業」であることと定めております。つまり、論語と算盤の両方のバランスが大事と考えており、それが、企業ブランドの維持と更なる発展のベースに繋がるものと信じております。こうした考えや実際の活動を、幅広いステークホルダーに分かりやすく伝えていくことで、中外の“らしさ”に共感していただき、中外の“背骨”に期待していただけるようなブランディグ活動を継続的に展開していきます。

Brand Value Chart

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