Ajinomoto味の素株式会社取締役 代表執行役社長 最高経営責任者 藤江 太郎 様 | インターブランドジャパン

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Ajinomoto

藤江 太郎 様

味の素株式会社
取締役 代表執行役社長 最高経営責任者

Best Japan Brands 2023
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社の経営において、ブランドはどのように位置づけられていますか。またそのために、活動の責任者や、必要な部署(事業部門、等)の巻き込み、リソース配分をどのように行っていらっしゃいますか?

ブランドは企業の持続的成長のキーとなる大事な無形資産であり、顧客資産です。これを原動力として、企業発展に結びつけ、しっかりと社長がコミットするべきものだと考えています。 大切なのは、ブランド力を測る指標の数値を上げることを目的とするのではなく、お客様の「頭や心の中にある良いイメージ」が残る活動を続けること。そのためにAjinomotoでは、私を含むトップマネジメントによるブランド会議をはじめ、グローバルコミュニケーション部、各事業部が連携してブランディングを進めています。 ただし、グローバル企業としては、現状ではどうしても日本発信になりがちという課題も感じています。より多くのリージョンのメンバーの視点も入れて、「志」に対する共感を増やしたい。デジタルを活用した広告も駆使しつつ、社員一人ひとりが広告塔として、ありたい姿を伝えていきたいと考えています。

ここ数年、企業と顧客・社会との繋がりや関係構築が重要視されていますが、貴社の事業やブランドの成長のために、どのような点に注力した取り組みを行っていますか?

Ajinomotoは、もともとは技術力やマーケティング力を活かした製品やサービスからの発想が強い会社で、それで一定のブランド力を育ててきたという自負もあります。そこからどう進化するかが重要です。 当社には「アミノ酸のはたらきで、食と健康の課題解決」というパーパスがあり、その実現に向けた熱意が成長の原動力になります。これをもう少し心に刺さるものにしたい。社会課題の解決に取り組み、そこで創造した経済価値をさらに大きな社会課題の解決に繋げる循環をめざすASV(Ajinomoto Group Shared Value)経営を根幹におく、我々のフィロソフィーに共感する人を増やしたい。そのためにはソリューション提供型から共感醸成型へ、ブランドを進化させる必要があり、それは終わることのない挑戦です。 2030~40年の「ありたい姿」を定め、そこからバックキャストで目標に近づけるアプローチにより、結果としてブランド力を高めることにもなるだろうと考えています。

グローバルでも成長しているブランドは、業界に縛られない価値提供を通じて、新たな顧客獲得を実現しています。今後、貴社においては、既存の「中核事業」を梃に、どのように事業・ブランドの成長につなげようと考えられていらっしゃるか?お聞かせください。

我々も、食品企業という枠組みに縛られることなく、「アミノサイエンスの力でウェルビーイングを牽引する存在」にシフトしていきたいと考えています。社会からの認識では依然として食品中心の会社とみられていますが、実際、かつては食品が9割だった事業利益も、いまは食品:アミノサイエンスの構成比が2: 1 にシフトしていますし、2030年には 1 : 1 へとすべく、食品事業を伸長させながらアミノサイエンス事業の伸び率を高めていくよう、事業構造自体も変革していきます。 PRとER(Employee Relations)、そしてサステナビリティやウェルビーイングとERの連動などの施策を活用し、社員や「志」をともにする関係者とのエンゲージメントの進化を図っていきたい。

ブランドの活動を成果に結びつけるためには、「意味ある行動を起こす」ことが不可欠です。貴社においては、ブランドに基づく企業のカルチャーづくりや社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

Ajinomotoでは人財資産が非常に重要だと考えており、その価値をさらに上げていくためには、経営層が社員の考えや価値観を十分把握しながら一緒に課題解決を図ること、社員一人ひとりがASVを自分ごと化した上で、日々の業務を推進することが不可欠です。わたしは、自発的に価値ある仕事に挑戦する社員が増えることを願って、会社の「志」と一人ひとりの生きがいや「志」が重なる部分を、小さくてもいいので見つけていこうという投げかけをよく行っています。ブランドと同じで、価値を上げようと思っても一朝一夕に上がるものではなく、蓄積していくことが重要です。ありたい姿と現状のギャップをしっかり見つめ、明日はもっとよくなりたいと思う熱量が原動力になるようにしていきたいですね。

今後、さらなる事業・ブランド成長に向けて、どのような新たな取り組みをされようとお考えですか?

東京本社を中心にした取り組みでブランド力が上がってきたことは誇りに思っていますが、これからはダイバーシティ&インクルージョンの面からも、グローバルにより多くのメンバーに積極的に参画してもらう機会を増やしていくことが大切になるでしょう。 一人ひとりのエンゲージメント、パッションが高まっていくことが重要ですので心に火がついた人財を意図的に増やしていきたい。グローバルにみると全体の2割の社員の心に火がつけば大きく変わると思います。ネバーエンディングジャーニーですが、それを楽しんでいきたいと思います。 「Eat Well, Live Well.」を実現する企業としてのブランド力を上げながら、生活者・関係者からの共感も得て、社員もエンゲージメント高く挑戦し続けることで、「幸せの素」の好循環を実現していきたいですね。

Brand Value Chart

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