Yamahaヤマハ株式会社執行役員 ブランド戦略本部長 大村 寛子 様 | インターブランドジャパン

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Yamaha

大村 寛子 様

ヤマハ株式会社
執行役員 ブランド戦略本部長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

Yamahaでは、中長期的に目指す姿として、経営ビジョン「『なくてはならない、個性輝く企業になる』~ブランド力を一段高め、高収益な企業へ」を定めています。ここから明らかなように、ブランドは経営の中心であり、ブランド力を高めるべく、その取り組みを進めています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

大きく、急激に変化する世の中で、「顧客・社会との繋がりを強化し、価値創造力を高める」ことを基本戦略に掲げています。ブランドの在り方としては、ブランドプロミスである「Make Waves」を核に、お客様が個性、感性、創造性を発揮し、自ら一歩踏み出す勇気や情熱を後押しする存在となることで、情緒的に広く・深く・長くお客様とつながっていきたいと願っています。そのようにお客様との間に信頼関係を築くことが、LTVの最大化への近道だと考えています。
その実現に向けて、商品だけでなく顧客体験も重視していきます。
昨年、銀座の旗艦店の低層階を、体験型の「ブランドショップ」へリニューアルしたのも、そのひとつ。ここでは、楽器経験の有無を問わず、幅広いお客様に音楽や楽器のさまざまな楽しみ方との出会いや発見を提供し、五感に訴えかける多彩な音楽体験を楽しんでいただけます。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

ともに働く仲間の活力最大化こそが、事業・ブランド成長にとって最高のドライバーになると考え、Yamahaで働くことに誇りが持てるよう、さまざまな取り組みを行なっています。たとえば、設立記念日の10月12日をブランドについて思いを馳せる日にしようということで、2018年から始まったグローバルなインナーイベント「Yamaha Day」。この日は、例年ボトムアップのイベントを大々的に開催してきましたが、コロナ禍で身動きが取れなかった昨年に計画されたのは、世界のグループ従業員から募った演奏動画を編集して社内でシェアしようという試み。世界30以上の国・地域のグループ従業員から動画の投稿があり、その集大成として完成したミュージックビデオは、かなりの出来映えでした。このYamaha Dayのイベントで、従業員たちが合い言葉のように使ったのが「Make Waves」。対外的なプロミスとして運用してきた「Make Waves」を、従業員たちが主体的に自分たちのために使い始めたのです。ブランドがインターナルに浸透してきたことを実感しました。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

「Make Waves」こそが、わたしたちのパーパスです。企業理念の「感動を・ともに・創る」は不変ですが、今、この時代だからこそYamahaは人々の心震える瞬間を作り出すために不可欠なパートナーとして、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。
実はコロナ禍に見舞われた当初は、Yamahaのようなノンエッセンシャルビジネスの存在価値に危惧を感じたことも正直ありましたが、ステイホームなどを通じて人々が自分を見つめ直す時間を過ごす中で、Yamahaの価値が再認識される実感がありました。これからも続く困難な時代に、楽器を作るだけでなく、お客様に音楽があって良かった、生きていて良かったという実感・価値を感じてもらえる(Make an impact with my sound and music, Progress personally, Come together with others)商品や体験を、既成のビジネスの枠にとらわれずにお届けしていくこと、それがSDGsのゴールにつながると考えています。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

Yamahaの技術を使って、音楽を愛する人たちを支え、音・音楽の文化に貢献するイノベーションを生み出していくことをめざします。Yamahaはこれまでも、音楽によるまちづくりを支援する「おとまち」などの施策でオープンイノベーションを実践してきましたが、その考え方をさらに発展させ、他のブランドやスタートアップ企業などと積極的に協働して、Yamahaだけでは作り出せない価値を創出できれば素敵だなと考えています。

Brand Value Chart

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