Yamahaヤマハ発動機株式会社上席執行役員 クリエイティブ本部長 木下 拓也 様 | インターブランドジャパン

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Yamaha

木下 拓也 様

ヤマハ発動機株式会社
上席執行役員 クリエイティブ本部長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

ブランドは、Yamaha Motorにとって最重要経営課題であり、ブランド強度向上のために多様な取り組みを続けています。ここ数年はインターナルに注力してきましたが、それを事業と結びつけることが、これからの課題だと考えています。
私たちは、マリンからランドモビリティ、ロボティクスまで多岐にわたる事業を展開していますが、その多様性故に「事業=ブランド」ではありません。そのなかで、我々のブランドをどう認識していただくか、事業の塊(ポートフォリオ)としてどう見せるか。難しいところですが、それを考えないとコーポレートブランドとしてのメッセージはお客様に届かないでしょう。
Yamaha Motorは、企業目的を「感動創造企業」と規定していますが、多様性に富んだ事業を括るコアバリューをどこに位置づけるかのみならず、今後、拡大していくことが明白な企業間ネットワーキングや協業のなかで、コラボレーションに期待される「感動」をどう表すか。社会環境が大きく変わる中、これらは事業ポートフォリオの再構築にも通じる話で、大きな経営テーマだと考えています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

2030年に向けた長期ビジョン「ART for Human Possibilities」にも社会課題の解決に貢献するという想いは込められていますが、その想いを事業と繋げるためには、繰り返しになりますが、コアバリューの再定義が必要です。それがLTVの拡大と同義になると考えています。
私たちの製品は、移動だけではなくパーソナルな楽しみも含めて、お客様の可能性を広げることに貢献するものです。社会との関係構築を強化するためにも、ただの便利さでなく、モビリティを通じた新しい価値創造を、2030年からのバックキャストでやっていかなければなりません。
Yamaha Motorの提供する価値と顧客の感じる価値をどう繋げていくかが課題です。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

Yamaha Motorは、経済的な成功よりも、夢や志を実現するために入社したという人材が多い会社です。彼らの個性を大切し、自分で手を挙げれば挑戦できるカルチャーも伝統的に持っています。カーボンニュートラルやサステナビリティなどの時代の要請に応えながら、未来のYamaha Motorブランドをどう作っていくか。いまこそ、考え、行動することが必要なときなのですが、企業のサイズが大きくなるにつれ、そういうカルチャーが薄まってきたかもしれません。それを再強化する活動に取り組んでいきたいですね。最終的には、従業員一人ひとりがYamaha Motorブランドの未来についてしっかり語れることを、エンゲージメントの指標にしていきたいと考えています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

SDGsやサステナビリティはむろん真摯に取り組み、解決すべき課題ですが、最良の解決策は、私たちの存在価値をアップデートすることに他ならないと考えています。
私たちにとっては「感動創造企業」がパーパスに該当するものですが、その先へ行きたい。これまでは製品をつくってお客様に渡すことで完結していたビジネスを、製品を使って感動したお客様にエクスペリエンスまで含めて提供していくことで、それを達成していきたいと思います。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

まずは、私たちと同じ「感動創造」という志を持つ企業や人とネットワーク・コミュニティをつくり、これからの社会にどんな価値が提供できるかを、ともに探っていきたいですね。それが、今後の重要なテーマになる2030年に向けた企業ブランドの再定義のヒントとなり、100%カーボンニュートラルモビリティに向けたトランスフォーメーションが本格化する10年後にも、「感動創造企業」であり続けるための一歩かもしれないと考えています。

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