Suntory サントリーホールディングス株式会社常務執行役員 コミュニケーションデザイン本部長 水谷 徹 様 | インターブランドジャパン

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Suntory

水谷 徹 様

サントリーホールディングス株式会社
常務執行役員 コミュニケーションデザイン本部長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

サントリーには1899年の創業以来、酒類、清涼飲料、健康食品や花など多岐にわたる事業領域やプロダクトがあるため、これまではコーポレートブランドだけを訴求するのではなく、それぞれのプロダクトブランドの浸透に努めてきました。 いまやモノやサービスあふれる時代となり、品質や価格にさほど差がなくなってきています。だからこそ、応援したい会社の商品を買いたい、社会に対して貢献度の高いブランドを選びたいという消費者の意向が顕著になっています。そのなかで、コーポレートブランドの重要性が急速に高まってきました。しっかりとプロダクトブランドを支援できるよう、コーポレートブランドの訴求を強化するとともに、当社の事業展開やものづくりの根幹にある「企業パーパス」を、あらためてお客様にお伝えしていく重要性を認識しています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

1973年に制定したサントリーの社是の冒頭にある「人間の生命の輝きをめざし」、これが私たちの存在意義です。人生のあらゆる局面でサントリーの商品を通じて心豊かに、人間らしい生き方を実現していただくという考え方で事業を展開してきました。清涼飲料でファンになった子供たちが、大人になってお酒を楽しみ、やがて健康食品をご愛用いただき、いつまでも人間らしく元気でいていただきたい。また、特別なお祝いの日にも日常的にも商品を愛飲していただくことが、私たちの願いです。顧客ジャーニーは明確なのです。その意味で、LTVをいかに高めていくかという思考は根付いていると思います。
また、サントリーは商売で得た利益をお客様・社会・会社の事業成長に分配するという創業者鳥井信治郎の精神、「利益三分主義」を大切にしており、創業以来、時代の変化に応じて活動を進化させながら、世代を超えてその精神を受け継いできています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

サントリーは、企業の成長の源泉は人材にあると考え、人材育成に取り組んでいます。サントリーグループのグローバルな発展に向けた人材教育プログラム「サントリー大学」を開校する等、社員のエンゲージメントには非常に力を入れています。なぜなら、社員がサントリーを大好きにならなければ生活者にサントリーを好きになってもらうことなどできないからです。創業者から脈々と受け継がれてきた社会貢献自体が当社のカルチャーでありブランドです。近年、自分たちが「なんのために働いているのか」という問いに対する答えとなる社会貢献活動は、社員との強いエンゲージメントにつながっています。こういうカルチャーを組織に根付かせることを、私たちはとても大切にしています。現在は、海外グループ会社にも浸透をはかるために力を入れています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

コロナ禍において改めて浮き彫りとなった「人と人とのつながり」や「ともに飲み語らう場」の大切さの発信や、子供たち(=未来の大人たち)に「ありがとう」と言ってもらえるような自然の恵みを次世代につなぐ活動など、「人と自然と響きあう」というミッションのもと、取り組みを進めています。
冒頭でお話ししたとおり、社会に対して貢献度の高いブランドを選びたいという消費者の意向が顕著化するなかで、サステナビリティに取り組んでいなければ、クラフトマンシップやプロダクトを磨き込んでも支持されない時代になりました。
サントリーは、事業の営利を社会に還元するという考え方で、長い間CSR活動を続けてきましたが、今は社会的価値と商品価値が機能的にも情緒的にもつながっていないとブランドが創られない状況です。ソーシャルとブランド・エクセレンスを掛け算しなければならない時代に入ったのだと思います。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

いま、ソーシャルにエクセレンスなことが要求される時代になりました。そのなかで、グローバルに信頼され、愛される会社になるためには、根幹となるサントリーらしい理念体系の再整理が必要だと考えています。グローバルレベルで通用するわかりやすい理念体系の再構築に取り組んでいきます。

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