Sumitomo Life 住友生命保険相互会社 ブランドコミュニケ-ション部 部長 山中 斉 様 | インターブランドジャパン

84

Sumitomo Life

山中 斉 様

住友生命保険相互会社
ブランドコミュニケ-ション部 部長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

2011年にブランド戦略を立ち上げてから、常にブランド戦略が経営戦略の中心に据えられてきました。そもそも当社が生命保険会社の中でいち早くブランドコミュニケーション部門を設立した背景には、経済の成熟と共に消費者の価値観や生命保険に対するニーズが多様化する中で外資系保険会社が台頭し、このまま従来のやり方に固執していたのでは顧客が離れてしまうという危機意識があり、会社中心から消費者中心へ、さらにはその先にある価値主導へと視点をシフトさせる必要がありました。
もともと当社は企業理念「経営の要旨」に「進取不屈の精神」を掲げているように、前例や常識に囚われない発想で新しいことにチャレンジしていくという企業文化があります。この企業文化のもと消費者中心の商品によって新たな市場を開拓してきましたが、それに加えて価値主導の視点を取り入れていかなければお客さまから選んでいただけなくなるという考えから、ブランド戦略を経営戦略の中心に据えています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

これまでも顧客起点で様々な接点の改善を進めており、例えば、3年前、業界に先駆けて「CX企画部」を設立し、顧客体験価値向上の取り組みを推進してきました。
それに加えて、現中期経営計画では、「社会」の視点を掲げてCSVの取り組みを進めています。具体的にはVitalityを核にして、健康寿命の延伸と企業価値の向上の両立を目指しており、実際にVitality 会員の約 81%の方の運動機会が増加し、加入時に血圧が高めだった方の44%が10mmHg 以上下がるという結果も出てきています。このような形でCSVの成果が顕著になってきました。今後も“住友生命「Vitality」”の存在はますます大きくなっていくと思います。今年度からは保険に加入しない段階でまずVitalityを体験してみるということも展開しています。こうした取り組みをしていくことで、これまで当社が接点を持ち得なかった、まさに将来の顧客を創造していくことにもなると考えています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

これまでは生活者目線で見た差別化戦略など、住友生命ならではの価値構築と基本品質向上に最も力を入れて取り組んできました。2021年度からの「ブランド戦略2.0」では、「人」を人的資本と捉え、経営に組み込み、会社の価値を高める取り組みを掲げています。2021年4月に社長自らが本部長となって「人財共育本部」を立ち上げ、会社と従業員が共に成長していこうという新たなプロジェクトが動き出しました。
これから強い意志をもって新しいカルチャーをつくっていかなければなりません。「進取不屈の精神」というDNAを大切にしながら、どんな会社でありたいかというブランドの原点について、トップダウンとボトムアップの両方から追求していきます。その際に大事なのは、「対話」を通してブランドへの共感の輪を広げ、「行動」を通じて価値をお客さまや社会にお届けしていく、「対話と行動」だと考えています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

SDGsやサステナビリティの議論を突き詰めていくと、「幸せとは何か」というウェルビーイングの世界にいきつくのではないかと考えています。そう考えれば顧客や自社だけでなく、社会全体の未来や次世代のウェルビーイングにも貢献するようなブランドであることがますます求められていくのだろうと思います。そういうブランドを創っていくために一番重要なのがパーパスです。当社のパーパスは「社会公共の福祉に貢献する」ことであり、ブランド戦略2.0ではその貢献領域をウェルビーイングの世界へと拡げていきたいと考えています。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

3点あって、まず最も大切なのは「人財」です。パーパスと従業員自身のミッションを結びつけていかに自己実現と価値創造を図っていけるか、ここが一番重要な成長エンジンになります。
次に、デジタルやDXについては顧客体験や生産性向上を高める手段なので、そのためのDXをアジャイルで志向していきます。
3つ目はオープンイノベーションで、WaaS(Well-being as a Service)というエコシステム構想を掲げています。“住友生命「Vitality」”が多くのお客さまの行動変容を促し、健康寿命の延伸につながり始めているので、これが広がっていけばパーパスの実現につながります。“住友生命「Vitality」”を核に、スタートアップや自治体との連携による新たな実証実験なども始めています。このWaaS構想を10年ほどのタームで進め、保険会社という枠を超えたウェルビーイング企業になる。そうしたブランドづくりがこれから10年のチャレンジになります。

Brand Value Chart

一覧に戻る

Article
Best Japan ​Brands
2022​ Article
Brand Leader’s Interview​
Best Japan ​Brands
2022​ Interview​​