Sompo Holdings SOMPOホールディングス株式会社グループCEO 取締役 代表執行役社長 櫻田 謙悟 様 | インターブランドジャパン

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Sompo Holdings

櫻田 謙悟 様

SOMPOホールディングス株式会社
グループCEO 取締役 代表執行役社長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

2016年を初年度とする中期経営計画において、SOMPOは、「安心・安全・健康のテーマパーク」をめざす戦略を打ち立てました。テーマパークとは、夢や希望といった抽象的なものを、目に見えたり、肌で感じられたり、あるいは食べられたりする具体的なものに変換する装置であると考えています。ゆえに、我々が掲げる「安心・安全・健康のテーマパーク」とは、安心、安全、健康といった抽象的なものを具体的な商品・サービスに変え、その存在がステークホルダーの喜びとなる企業になることを目指す戦略です。
ブランドは、テーマパークとは逆に、具体的なものを抽象的なカタチに投影して、それがステークホルダーの心の中に写されることで創られるものだと思っています。従って、ブランドは抽象的な概念ではなく、エビデンスがあって初めてできあがるものです。
テーマパーク戦略により、商品・サービスを通じて抽象を具体化する。それをエビデンスにブランドを創っていく。私は、これを循環させることが、ブランドを構築していく最大の意義だと思っています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

「お客様・顧客」という概念を、「価値を共に創るためのパートナー」と位置付けたとき、見え方が変わってくるはずです。その視点が大事だと思います。私は介護事業を通じて、それを確信しました。サービスの透明性を極限まで高め、施設の利用者様からそのご家族まで、誠実な対応を行ったことで、お客様が自らの経験・実感として、SOMPOの良さを語り広めていくということがありました。これこそが共創です。その繰り返しが積み重なれば、ブランドはステークホルダーとの関係の中で自律的につくられていくのだと思います。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

ブランドとはダイナミックな存在で、ステークホルダーの心象は日々変わっていきます。相当な緊張感を持ってやらないと維持できません。原動力になるのはやはり社員=人であり、社員が納得感ややりがいを感じながら働いてこそ、ブランドはより鮮明になると思います。
社員はパーパスを体現する存在ですが、彼らには、会社のパーパス以前に、人としてのパーパスや、生きる意義・目的があります。会社のパーパスと自己のパーパスとを無理に同化させようとすると矛盾が生じ、仕事の失敗=人生の失敗と捉えるような不幸なケースも出てきます。よって、社員にはまず自身のパーパスを大切にしながら、その中の一部に会社のパーパスを置き、自己実現の舞台として会社を使ってほしいと思っています。昨年はコロナ禍を逆手にとり、7回に渡ってオンラインでタウンホールミーティングを開催しました。計1万人ほどの社員と話をしましたが、そこでもこの想いを伝えてきました。
しかし、トップダウンで100万回話したら、カルチャーが出来上がるとは全く思っていません。
ここでもやはりエビデンスが必要で、トップが言った通りの行動や、その努力を見せないとエンゲージメントは下がります。いわば、エンゲージメントは社員の会社に対する信頼度のバロメーターでもあり、このエンゲージメントがブランド力へ大きく左右するということだと思います。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

SDGsについては、すべて取り組まなければなりませんが、各企業による取組みには濃淡があって良いと考えています。テーマパーク戦略を掲げるSOMPOでは、「安心・安全・健康」を軸に、Society(ソサエティ)という観点で活動に注力することで、パーパスに示す“あらゆる人が自分らしい人生を豊かに楽しむことのできる社会を実現する”ことに全力で貢献していきたいと考えています。特に、SOMPOらしい“S”への取組みとしては、I&D(Inclusion & Diversity)への注力、例えば認知症の方と共生するモデルをSOMPOが体現し、社会をリードしていきたいと思っています。
パーパス実現を支える「安心・安全・健康に資するソリューション」のためには、モノではなくサービスの提供が必要であり、そのサービスにおいてはデジタルの活用が不可欠です。そのため当社では、保険・介護事業から生まれる「リアルデータ」とパートナーが持つノウハウや技術を活用し、新たな価値を提供する枠組みであるRDP(リアルデータプラットフォーム)の構築に取り組んでいます。経営としては、このビジネスモデル、すなわちプラットフォーマーへの変革をエビデンスをもってできるだけ早く示していく考えです。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

BtoBからBtoCまで多くのビジネスモデルがありますが、今回のコロナ禍で、結局は「C」、生活者が最大の力を持っていることがはっきりしたと感じています。立派な飛行機を作っても、立派なコンピュータを作っても、生活者がそれに向かって動き、消費という選択をしない限りは何も動かないのです。
ゆえに、ブランド価値向上に一番重要なのは、生活者とともにSOMPOブランドを創ることで、「いてほしいSOMPO」から、「いなくては困るSOMPO」に変わっていくこと。これからも生活者とともに、SOMPOブランドをさらに高めるチャレンジを続けていきます。

Brand Value Chart

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