Recruit株式会社リクルート広報サスティナビリティ ブランドエグゼクティブ 星野 俊夫 様 | インターブランドジャパン

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Recruit

星野 俊夫 様

株式会社リクルート
広報サスティナビリティ ブランドエグゼクティブ

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

Recruitには、グループ経営理念のビジョン・ミッション・バリューズ(以下VMV※)があります。これは1968年、創業期に制定されたものから基本思想は変わっていないのですが、2018年に現在の経営メンバーを中心に改定起案され、決議されたものです。VMVはブランドメッセージと一体化していて、従業員にとっては「なぜ自分はここにいるのか、なぜ大事な時間を捧げているのか」に対する明確な答えになる存在であり、グローバル共通の理念です。
たとえば、ストラテジーのフィットと、カルチャーのフィットの2点がM&Aに際して重要であると担当部署から聞いたことがあるのですが、まさにVMVは、そういう判断をする際に影響を与えています。事実、ビジョンとして定めた「Follow Your Heart」という考え方や、「まだここにない出会い(英訳:opportunity for life)」は、M&A先のリーダーやメンバーから高い共感を得ています。グローバルで一緒にやっていく仲間たちに共感を得られていることが、ビジネスの推進力になっているのです。
https://recruit-holdings.com/ja/about/vision-mission-values/

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

進学、就職や転職、結婚や住まい探しなど、人生の様々な転機でサービスを提供しているのがRecruitの特徴ですが、これまでは前向きな気持ち、例えばキャリアアップの仕事探しや、よりよい暮らしの追求など、どちらかといえば成長を前提としてユーザーに寄り添っていた傾向があったかもしれません。今後は、より情報インフラとしての社会的責任を前提とせざるを得ないのではないかと思います。
たとえば、いま世界では、3カ月収入が途絶えると約40%の人が貧困に陥るというデータがあります。そこで、求職者と仕事のマッチングをより速くしていくことは、わたしたちにできる社会との関係構築のひとつでしょう。どちらかといえばコロナ禍がこの変化を早めたという側面はありますが、中長期的にも何らかの事情で仕事を離れざるを得ない環境にある人にとって「より速く、シンプルに、もっと近くに」、「まだ、ここにない、出会い。」を実現するミッションの重要性が、社会的にますます高まっていることを再認識しています。
「より速く出会える機会のインフラを提供する」という役割は人材領域だけではなく、リクルートで展開しているすべてのサービスがチャレンジしていることです。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

Recruitにとってブランドと企業文化は一体の存在です。その人の実現したいことは何か、という「個を尊重する文化」がある中で進めており、それは採用にも当てはまります。個人が実現したいことと会社の目指すことをすり合わせることが日常のマネジメントの仕事です。エンゲージメントに苦労したり、風土改革をゴールとしたような課題意識はあまり聞いたことがありません。一方で、昨年の4月もそうでしたが、数年毎に分社化や統合を繰り返し、組織をリフレッシュし、「わたしたちは何のためにここにいるのか」を考える機会を自ら創り出していることが、ブランドと企業文化を見つめ直し、エンゲージメントを強化するショック療法になっている面はあるかもしれません。
「人と組織に宿る“企業文化”はOSであり、事業はアプリケーション。企業文化の上に事業がのっかっているんだ」と言うかつてのトップの言葉が、まさに、個の尊重、起業家精神というリクルートのDNAを象徴しています。事業は、情報誌→ウェブ→アプリ→SaaS、さらにその先へと、柔軟に変わっていくのです。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

リクルートグループでは、SDGsについては明確な数値目標を掲げて進めています。Recruitではすべての企業活動を通じてSDGsに貢献していくと宣言しているように、ブランド、事業、SDGsの活動はすべて一体、「Follow Your Heart」という考え方で貫かれています。一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生。本当に大切なことに夢中になれるとき、人や組織は、より良い未来を生み出せる。そんな考え方が根っこにあります。
「Follow Your Heart」というわたしたちの目指す世界観は、パーパスという言葉が言われるようになる前、2001年から掲げている考え方ですので、大きな変化はありません。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

世の中がアッと驚くような新しい価値「Wow the world」を創造し続け、仕掛けていくこと。それがRecruitのDNAであり、チャレンジです。いまもトップからは「これが達成出来たら乾杯したくなるような目標を設定するように」と発破をかけられています。グループでは、たとえば、仕事のマッチングに要する時間はオンライン化による削減を進めていますが、目標として「2030年度までに、仕事を見つける時間を2021年比で半分にする」と明確な数値を掲げています。その実現は並大抵なことではありませんが、こういうワクワクする目標があると、みんなの気持ちが奮い立ち、ブレがなくなります。新しい価値と、まだここにない出会いを生み出し続けるために、わたしたちはこれからもチャレンジし続けます。

Brand Value Chart

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