貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?
「ブランドとは何か」と考えると、まず消費者が会社を認識するために、ブランドが目に見えることが重要です。ブランドの存在意義 (パーパス)がいかにしっかりしていても、それが商品・サービスとして形になっていなければ、お客様には伝わりません。パーパスが社員に明確に伝わり、優れた商品・サービスとなってお客様に提供されることで、初めてブランドが形づくられると思います。
「ブランドとは何か」と考えると、まず消費者が会社を認識するために、ブランドが目に見えることが重要です。ブランドの存在意義 (パーパス)がいかにしっかりしていても、それが商品・サービスとして形になっていなければ、お客様には伝わりません。パーパスが社員に明確に伝わり、優れた商品・サービスとなってお客様に提供されることで、初めてブランドが形づくられると思います。
経営理念の「愛」は永久に変わりませんが、今後は赤ちゃん視点を起点として、お母さん、お父さんへの価値提供も含めて考えていく必要があるでしょう。その結果、お客様との関係性が変わっていけば、それに応じてパーパスも変えていく必要があるかもしれません。
最も重要なステークホルダーは社員だと考えています。社員のエンゲージメントを高めるうえで、2 年前に策定した「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」というパーパスは、明確な方向性を持たせつつ、同時に事業の広がりも許容できる内容になっており、このパーパスを起点に、次々と新しい商品や取り組みが生まれつつあります。
一昨年、PFA(Pigeon Frontier Award)という社内提案制度を導入しました。表彰を受けたアイデアの発案者には賞金が授与され、商品化予算も組まれます。ここから実際に新たな取り組みや商品が生まれていますし、社員の新たな一面が見え、社内のカルチャーの変化にも寄与していると実感しています。
「感動体験の共有」も大事にしています。中国の教育環境の整っていない地域に小学校を建設・寄贈する取り組みについては、落成式に社員を立ち会わせていました。参加した社員は、小学生の純粋な姿にとても感動します。その他にも「母乳バンク」の 1 周年イベントでは、ドナーミルクを使用した赤ちゃんとご家族にオンラインで参加頂き、当時のお話を伺いました。このイベントはライブ配信され、社員も視聴していましたが、涙を流す社員もいるほど、たくさんの社員に感動をもたらしました。
社内報はグローバルに統一し、情報共有ができる場になっています。そこでは敢えてパーパスには触れず、ふだん私が考えていることを日・英・中の 3 か国語で配信していますが、地域によって社員が関心を寄せる分野が違っているのが面白いです。
当社は先日、コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー®2021 を受賞しました。社内では女性も活躍しており、役員の女性比率も高い。多くの面で SDGs を実践できていると自負しています。
社会の動向に合わせてマテリアリティを設定していくのが今の会社の在り方ですが、投資家や一部の人に向けて伝えるだけのマテリアリティでは表面的な評価しか得られません。社員やお客様の心に深く届くように内容を絞り、もっとわかりやすい表現にしようと模索しているところです。
前述の通り、事業を拡大していくことが必要です。これまでは中国市場が牽引してきましたが、今後は中国に次ぐ市場の成長を図り、従来のカテゴリーの枠を越える新しい提案をすることで、ピジョングループの成長性を高めていきます。
市場により環境は大きく異なります。途上国では EC の役割がますます大きくなり、これまでの流通構造とは大きく変わっていくでしょう。それでもブランディングとしてやっていくことは大きく変えず、パーパスの具現化に向けて努めていきます。