近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?
今年4月からの新体制を、私たちは持株会社制ではなく、「事業会社制」と呼んでいます。あくまで実際に事業を推進する事業会社が主人公であり、各事業会社が競争力を担保することが大事で、グループとして、その下支えをするのがブランドの役割だと考えているのです。
その下支えの一つが、グループ共通の存在意義(パーパス)を明確にすることで、これはブランドが目指す中長期的なゴールです。そもそも松下幸之助創業者は「物心一如」、すなわち物と心の両面での豊かさに満ちた「理想の社会」の実現を250年計画で描きました。これを現代風に翻訳するパーパスブランディングがまずは第一義です。二つ目は、各事業会社の近未来のありたい姿=アスピレーションをとりまとめて、グループとして先行的に各ステークホルダーに発信していきます。パーパスとアスピレーション、この2つをグループとして発信することで、事業会社の競争力の下支えを行い、そして各事業会社は実際の競争力そのものを担保し発信していってもらうのが目指す姿です。