Panasonicパナソニック株式会社執行役員 ブランド戦略担当兼 オペレーショナルエクセレンス社 常務 森井 理博 様 | インターブランドジャパン

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Panasonic

森井 理博 様

パナソニック株式会社
執行役員 ブランド戦略担当
兼 オペレーショナルエクセレンス社 常務

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

2021年10月にグループCEOの楠見が「経営基本方針」を打ち出しました。これは、松下幸之助創業者をはじめとするかつての当社の経営者が実践してきたこと、言ってきたことを、現代にも通用するものとして体系立て、まとめ直したものです。この「経営基本方針」を踏まえて各ステークホルダーとの関係性を構築していくことが「ブランド」の役割であると考えています。したがって私の担当するブランドとコミュニケーションに関する機能は、ホールディングスの経営戦略部門に置かれ、経営戦略機能として位置づけられています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

今年4月からの新体制を、私たちは持株会社制ではなく、「事業会社制」と呼んでいます。あくまで実際に事業を推進する事業会社が主人公であり、各事業会社が競争力を担保することが大事で、グループとして、その下支えをするのがブランドの役割だと考えているのです。
その下支えの一つが、グループ共通の存在意義(パーパス)を明確にすることで、これはブランドが目指す中長期的なゴールです。そもそも松下幸之助創業者は「物心一如」、すなわち物と心の両面での豊かさに満ちた「理想の社会」の実現を250年計画で描きました。これを現代風に翻訳するパーパスブランディングがまずは第一義です。二つ目は、各事業会社の近未来のありたい姿=アスピレーションをとりまとめて、グループとして先行的に各ステークホルダーに発信していきます。パーパスとアスピレーション、この2つをグループとして発信することで、事業会社の競争力の下支えを行い、そして各事業会社は実際の競争力そのものを担保し発信していってもらうのが目指す姿です。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

働きがいのある職場環境をつくることがブランドに対する誇りを醸成することになると信じております。そのためにはDEI、すなわちダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの担保が大前提です。そのためのキーワードが、上意下達ならぬ「下意上達」です。上からの指示を待ち、忠実に従うのではなく、自分たちが主人公であるという自覚のもと、誰もが発言しやすく、失敗を恐れず新たな試みに挑戦できる風土をつくりたい。最終的な意思決定は上位の者が行うにせよ、役職ではなく、個人の多様な価値観や能力が認められる風土をつくることで、「衆知を集めた全員経営」が実現できます。形だけをとりつくろうのではなく、企業風土を根本から変え、社員との関係性を再構築するために、ブランド部門と人事部門が一緒にインターナルブランディングの取り組みを始めたところです。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

地球環境問題の解決へ如何に貢献できるかが、グループ全体としての喫緊の課題です。当社は2017年に「パナソニック環境ビジョン2050」を制定しましたが、それをアップデートさせた「Panasonic GREEN IMPACT」という新たな環境への取り組み方針をCES 2022で発信しました。これは、ビジョンを述べるだけではなく、実際に「アクション」に移し、CO2の削減貢献につなげることをコミットするものです。パーパス、アスピレーションと、この「Panasonic GREEN IMPACT」の3つが、ブランド・コミュニケーション戦略の柱となります。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

先述のとおり、当社グループは持株会社制ではなく「事業会社制」を標榜し事業会社を主人公化していきます。ホールディングスと事業会社の機能をきちんと役割分担し、事業会社を強くすることにベクトルを向けるということです。このベクトルに沿った活動そのものがチャレンジだと考えています。

Brand Value Chart

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