Olympusオリンパス株式会社コミュニケーション グローバル バイスプレジデント渡邉 徹 様 | インターブランドジャパン

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Olympus

渡邉 徹 様

オリンパス株式会社
コミュニケーション グローバル バイスプレジデント

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

ブランドとは、「日々の業務の中で積み重ねることで得られる信頼」であり、社内における経営理念の浸透と実践こそが、グローバルで一貫したブランドを醸成する要になると確信しています。オリンパスは、世界をリードするメドテックカンパニーへの飛躍に向け、2019年より企業変革プラン「Transform Olympus」に着手していますが、それに先立つ2018年に経営理念を改定、あらゆる行動の拠り所となるOur Purposeを「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」とし、これを全うするために「誠実/Integrity」「共感/Empathy」「長期的視点/Long-term View」「俊敏/Agility」「結束/Unity」という、グローバルの社員で共有する価値観である5つのOur Core Valuesを定めました。
私たちオリンパスはトップマネジメントの強力なコミットメントのもと、世界中の従業員一人ひとりが経営理念を理解し、日々の業務のなかでコアバリューを実践できるように取り組んでいます。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

顧客起点やLTVの概念は、当社の事業である医療や科学と極めて密接な関係にあります。例えば当社の歴史において、胃カメラの実用化(1950年)というイノベーションがありますが、これは「患者の胃のなかを写して見るカメラがほしい」という医師からの要望を起点に製品開発がスタートしました。その後も、内視鏡を用いた医療の発展と共に当社の事業も成長を続けることができました。
この例が示すように、私たちの事業は、常にお客様と共に発展してきました。さらに、経営理念に基づいて策定している経営戦略においては、医療従事者のみならず、患者さん、医療機関、そして世界の医療経済全体に価値を提供することを示しており、当社のブランド形成のあり方という点で重要なコミットメントとなっています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

先述の企業変革プラン「Transform Olympus」達成のために、トップマネジメントが何よりも優先していることは、Our Purposeの実現と、5つのOur Core Valuesを世界中の社員が理解し、日々実践することです。そのために、年に1回「Our Core Values Week」というグローバルイベントを開催。個々が体験したストーリーを社員間で共有しながら、経営陣から製造現場で働く社員に至るまで、Our Core Valuesを実践する大切さを再確認しています。
また、隔年でHRが主導で実施しているグローバルエンゲージメントサーベイ「Core Values Survey」においては、Our Core Valuesに対する自身の理解度や、経営陣や上司の行動に対する評価等がモニターできるようにデザインされています。今年で第2回目を迎えたサーベイの結果ではこうした理解度や社内浸透度が大幅に向上しており、社員の変化がブランディング活動を推進する源になっていることを実感しています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

注力するべきESG領域と重要課題を特定し、持続可能な社会への貢献に取り組んでいます。昨年4月にはESG担当役員を新設し、中長期の事業計画のなかでKPIを設定する仕組みも構築しました。
企業価値を測る尺度は時代によって変化しますが、本質は変わらないと考えます。ブランドとは、いわば「企業がお客様や社会にとっていかに必要不可欠な存在であるか?」に尽きます。Our Purposeで掲げる「世界の人々の健康と安心、心の豊さの実現」は、オリンパスがこれまで100年以上行ってきたことの集積であると同時に、これからも社会に貢献し続けたいという意志に他ならず、それは今後も変わることはありません。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

ブランド価値を高めていくためには、経営理念に基づく活動を継続することが基本と考えています。昨年12月には、グローバル・メドテックカンパニーとして目指している戦略的な方針を社外に公表しました。「対象疾患における医療水準を向上させ、患者さんの予後の改善に寄与する」という具体的な事業の方向性を共有することで、Our Purposeが一層意識され、社会にとってなくてはならない技術やサービスの提供につながると確信しています。

Brand Value Chart

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