Meiji明治ホールディングス株式会社経営企画部長 長森 克史 様 | インターブランドジャパン

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Meiji

長森 克史 様

明治ホールディングス株式会社
経営企画部長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

明治グループは、創業の精神である「栄養報国」に則り、食品・医薬品を通じてお客様の生活に寄り添い、「栄養」「健康」を支えることで社会に貢献してまいりました。コロナ禍においては、meijiが提供できる健康価値の役割が一層大きくなってきたと感じています。栄養で免疫力を高め健康を守る食品セグメントのほか、2021年からは医薬品セグメントにおいて新型コロナウイルス不活化ワクチン・治療薬の開発を進めています。
そうした中で、ブランドは、社内においては自分たちの存在意義を確かめて将来進むべき方向を指し示す旗印であり、社外においても、100年以上培ってきた信頼、安心という価値と共に、健康を提供するグループの存在意義を伝える重要な資産だと位置付けています。昨年、グループスローガンを「健康にアイデアを」に刷新しました。それまで食品セグメントでは「明日をもっとおいしく」、医薬品セグメントでは「明日をもっとすこやかに」をそれぞれ掲げていましたが、「食と健康で一歩先を行く価値を創造する」というビジョンの実現に向けて、グループが一丸となって取り組む姿勢を改めて明らかにしたものです。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

お客様一人ひとりの生活に寄り添い、親から子、その先の未来へ、そしてひとりからその周囲へ、周囲の社会・地球までをも対象に、CURE(なおす)とCARE(まもる)で健康をSHARE(わかちあう)していく、そういうサイクルをつくっていくことが、meijiの個性であり、meijiが果たすべき重要な役割だと考えています。
現在取り組んでいる中期経営計画の中でROEとESG指標に明治らしいサステナビリティ目標(「明治らしさ目標」)を加えた独自指標「明治ROESG®※」を掲げ、実践をスタートさせています。具体的には、食品セグメントにおいては、日本だけではなく世界の人々の健康な生活に貢献していくことを定めた「栄養ステートメント」を制定しました。医薬品セグメントでは新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発を推進しています。これらに加え、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」を制定し、サステナブルな社会の実現に向けてこころとからだの健康、環境との調和、豊かな社会づくりを持続可能な調達活動を前提として、さまざまな取り組みを実施していきます。
※「ROESG」は一橋大学教授の伊藤 邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

事業活動は社員の活動の総和ですから、個々のスキルや能力をいかに発揮できるかが大事です。そのために、「明治ROESG®」を構成する「明治らしさ目標」の中に「従業員エンゲージメントスコア」を組み入れました。そして、エンゲージメントの向上を目指し、企業としての目標に共感して仕事に取り組むための職場風土・環境づくりの一環として、ブランド推進プロジェクトを行っています。具体的には、トップメッセージ動画の定期的な発信や、全職場で一つのテーマについて話し合う職場ミーティングの実施、「健康にアイデアを」を体現するアイデアの募集と優れたアイデアを表彰する meiji Brand Awardなどを始めたところです。これらの取り組みを通じて、社員が meijiらしい健康価値を自ら考え、社会に向けて直接届けていくような活動につなげていければと考えています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

「明治ROESG®」の設定、CSO (チーフ・サステナビリティ・オフィサー) の設置をはじめ、サステナビリティ推進には全社的に力を入れています。明治グループの事業の基盤は、生乳、カカオ、乳酸菌、微生物など、豊かな自然の恵みそのもの。自然と共生し、地球環境を守っていくことは、私たちの責務です。
その観点から、長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」を策定しました。国内酪農家への経営支援 (メイジ・デイリー・アドバイザリー)や、カカオ農家支援 (メイジ・カカオ・サポート)などを通じて、生産者、社会と共にサステナブルな環境をつくる取り組みを行っています。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

まず新たな健康価値領域での挑戦が挙げられます。これまで食品と医薬品の事業領域でそれぞれ蓄積してきた人材×技術×ノウハウを活用する新たな研究所「価値共創センター」を中心に、他社や大学など社外の知見を積極的に取り入れたオープンイノベーションにより、新たな健康価値の創出に積極的に取り組んでいきます。
もう一つは、海外市場での成長基盤の確立です。日本で培ったmeijiの健康価値をしっかり海外市場に伝えると共に、スピード感を重視して、海外スタートアップ企業との協業、ベンチャーキャピタル投資、グローバルに活動している企業との業務提携など、幅広い活動を進めています。

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