Mazdaマツダ株式会社取締役 専務執行役員 青山 裕大 様 | インターブランドジャパン

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Mazda

青山 裕大 様

マツダ株式会社
取締役 専務執行役員

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

2013年から「ブランド価値経営」を標榜し、マーケティング活動だけではなく、すべての事業活動に落とし込んでいます。
ブランド価値経営による最も象徴的な変化は、商品の目標設定のやり方です。競合とのスペック比較や市場でのポジショニングを意識するのは止めて、クルマに乗ることでお客様の心と体が活性化していくためにどんな性能を持つべきかという観点に変え、自己効力感や気持ちの高揚など、お客様の感情に基づいて目標を設定するようになりました。
リアルでフィジカルな体験をする機会が減って、ストレスを抱えがちな今の社会において、お客様の心と体の活性化に貢献できることは、かなり普遍的な価値ではないかと思っています。これからも「リアル」と「フィジカル」を大切にしながら、技術の進化や世の中の価値観の変化に合わせて常にブランド価値をアップデートしていくつもりです。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

お客様とワンタイムだけのお付き合いではなく、生涯を通じて価値を実感していただける取り組みを進めています。「トレードサイクルマネジメント」もその一つで、これはリセールバリューを高めることで代替サイクルを短縮する取組です。マーケティングに関しても、これまでの車両管理から、顧客の統合データベースを活用した1on1マーケティングにシフトしているところです。
1989年に誕生したNAロードスターは、レストアサービスやパーツの供給を通じて30数年乗り継いでいただけるので、生涯を通じてのおつきあいという点では理想的です。ただ現状では、収益の面で新車販売に依存せざるを得ません。今後はお客様との生涯の付き合いで利益を生み出していけるビジネスモデルを展開していかなければならないと考えています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

従業員の人生も、Mazdaと関わっていく中で輝いてほしい。自己効力感が増したり、成長が実感できたり、やりたいことが次々と出てくるなど、社員全員が主役になれるビジョンやパーパスの策定をめざしています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

自動車というのは、5年に1回モデルチェンジがあって、その間にマイナーチェンジがあり、そのたびに新車に買い替えてもらう。あるいはリースで36回払いにして3年ごとにトレードサイクルして乗り換えてもらう。大量生産・大量消費を前提に成長してきた資本主義経済の象徴のような存在です。そこからいかにポスト資本主義に軸を置いたパーパスへとシフトしていくか。自動車産業は今、まさに岐路に立っています。一足飛びには行けなくても、あるべき方向性と抜本的なビジネスモデルを考えないと、生き残る道はないと思っています。自動車がお客様の生活のより広範な相棒として人生の輝きに貢献できる在り方を考え続け、お客様との長期に亘る付き合いの中で共創を主体にしたビジネスへの転換を図りたいと思います。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

モータースポーツというジャンルがあるように、クルマの運転は本質的にフィジカルかつリアルなものです。ファン同士のつながりやコミュニティもあります。社会が利便性を求めてデジタルにシフトしていく時代だからこそ、乗る人の心と体を活性化させ、「お客様の人生を輝かせる」という本質的な貢献ができると信じています。
ロードスターのように20年、30年経ってもお客様に愛され乗り継いでいただけるような価値の提供を中核に、社会課題への貢献と多様なステークホルダーの人生の輝きに貢献できる次世代ブランドに進化させていきたいと考えています。

Brand Value Chart

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