Matsumotokiyoshi株式会社マツキヨココカラ&カンパニー専務取締役 グループ営業企画統括株式会社マツモトキヨシ代表取締役社長 松本 貴志 様 | インターブランドジャパン

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Matsumotokiyoshi

松本 貴志 様

株式会社マツキヨココカラ&カンパニー
専務取締役 グループ営業企画統括
株式会社マツモトキヨシ
代表取締役社長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

ドラッグストア黎明期においては立地や品揃えが重要な要素でしたが、店が増え、オンラインで商品が買える今では、立地の優位性は薄まってきました。また、商品のほとんどがナショナルブランド(NB)である業態だけに、個性的な品揃えをしても、すぐに模倣されてしまいます。その中で、お客様から選んでいただける重要な要素がブランドだと考えています。
弊社ではブランディング戦略の手段として、マツモトキヨシでしか買えないプライベートブランド(PB)「matsukiyo」に力を入れてきました。我々には機能面でメーカーに勝るのは難しいことですが、楽しさや驚きや面白さで「マツモトキヨシらしさ」を打ち出してきました。現在、PBが売上の12%を占め、マツモトキヨシを選んでいただける理由になっています。
PBに続いてストアブランドの刷新に着手し、空間体験においてもお客様から選んでいただくための差別化を進めているところです。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

ココカラファインとの統合により、我々は日本全国に3,300店超の店舗網を持つ「お客様に最も身近なドラッグストアグループ」となりました。この店舗網を最大限に活かしつつ、サービスにおいてもブランド化を図ります。マツモトキヨシらしいサービス体験をお届けすることで、お客様に新たな価値を体感していただき、それがデファクト・スタンダードになることをめざしたい。PBにおいても、サービスにおいても、「マツモトキヨシらしさ」をとことん追求していくことで、より幅広いお客様に、選んでいただける存在になりたいと思っています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

経営統合により、社員の約半分が「マツモトキヨシらしさ」になじみがない状況の中で、一人ひとりがマツモトキヨシを体現する活動に踏み出すためのツールとして、我々がめざす姿をイメージしやすい言葉づくりを行いました。グループ理念「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」の “未来の常識” とは、“今の非常識” です。グループスローガン「Find your “!” (wow)」もそうですが、「今までなかったことをやろう!」「常に一歩踏み出して活動しよう!」という我々の本質を社員に尖ったメッセージで伝えることで踏み出し幅がイメージでき、商品開発や店舗開発に「らしさ」が必ず盛り込まれることになると考えています。
社内の意識が変わるきっかけとなったのは、PB「matsukiyo」の取り組みが大きいですね。商品企画部門だけではなく、公募により店頭スタッフが参加する「PBアイデア創出コミッティ」という仕組みをつくり、お客様の声や現場の知見から生まれたアイデアが実際に商品化されることで、社員の意識が鼓舞され、「マツモトキヨシらしさ」を再認識する機会にもなっています。
我々だからこそ提供できるwowな商品を考え抜き、お客様からも支持を得られたことが、大きな成功体験となって、「マツモトキヨシらしさ」ということの重要性が社内に浸透してきたと感じています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

商品の原材料を環境に配慮したものにするなどの取り組みもありますが、一番大事なことは、社会の中でどうあるべきか、どう共存していけるかだと考えています。
昔はNBでは儲からないから“儲けるためのツール”だったPBが、今はブランドらしさを体現し、社会に役立つツールへと進化しています。買物というのは、ただ目的のものを買うだけではなく、新しい商品と出会うこと、選ぶことを通じて、楽しさを生み出すものです。そういう体験を提供することで、お客様が、さらには社会が楽しく、元気になる。そんなふうに世の中に求められることを具体的にカタチにすることで、社会に貢献したいと考えています。また、社会の変化はめまぐるしくなっています。その動きにいち早く対応することで、社会での役割を果たしていきたいと考えています。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

PBはもちろん、サービスや人を通じてマツモトキヨシをどう体現するかを突き詰めていきます。かつて女子高校生が放課後の楽しい体験を「マツキヨする」と名付けてくれました。それを、現代においてオンラインも含め、商品を超えた形でバージョンアップしてお客様に提供していきたい。上野のアメ横で薬局からドラッグストアになったのがドラッグストア1.0、他社も横並びになったのが2.0だとしたら、我々はドラッグストア3.0を目指し、新たな変革に取り組んでいきたいと思っています。

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