LINE LINE株式会社取締役 CSMO 舛田 淳 様 | インターブランドジャパン

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LINE

舛田 淳 様

LINE株式会社
取締役 CSMO

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

ブランドとは、企業や事業、サービスが、ユーザーや顧客、ステークホルダーに提供している体験全てであり、そうした体験を通じて、企業と顧客やユーザーとの関係の中で構築されるもの。昨今、それがますます重要になってきています。LINEは3.11を機に生まれ、「CLOSING THE DISTANCE」をミッションとして、人と人のコミュニケーションや、キャッシュレスというお金と人の関係、ドクターと患者の関係などを、物理的にも心理的にも近づけることで、豊かな社会の実現をめざしてきました。利益や株価も大事ですが、より本質的な価値は、一人でも多くのユーザーの共感を得てご利用いただけることです。嬉しいことに、日本で支持された私たちのミッションは、タイや台湾などグローバルのユーザーからも共感を得ています。
「CLOSING THE DISTANCE」の実現に必要なのは、WOWを見つけ、創り出し、届けることです。それによって社会構造を、生活システムを変えるきっかけになっていきたいし、それを起こせるのが、WOWの価値観であると全世界のLINER(LINEの従業員)に浸透しています。次の10年も、世の中のトレンドやステークホルダーの変化に合わせ、NAVERのほかに、Zホールディングスやソフトバンクといった新しい仲間とともに引き続きWOWを起こしていきたい。この先も、多くの方にそれぞれ最適化されたサービスを提供することで、ゲームや動画、EC、メッセンジャーなど、幅広い領域において、一人でも多くのユーザーに、1秒でも長く使っていただける存在でありたいと考えています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

10年後も、信頼され、期待されるブランドであり続けるためには、社会課題に応えてそれに足る存在であると示すことが大事であり、社会の共感を得て、応援してくれる人が増えることで、仲間が増えていきます。社会の中でどういう関係づくりをしていくか、そのためにどんな活動や行動をするかが、企業やブランドにも求められます。あらゆる情報が瞬く間に拡散される今、社会にしっかりと向き合っていくことが、ブランドの価値につながると思います。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

私たちが提供するのは24時間365日動き続けるサービスやプロダクトであり、それを支えるLINERこそが資産です。コロナ禍において多くのユーザーにLINEを使っていただき、「CLOSING THE DISTANCE」に貢献できていることは、LINERの誇りであり、エンゲージメントも上がっています。
LINERたちがこの先も誇りを持ち、WOWを体現していくために、これまでの縦型組織の変革を始めました。横断的なコミッティを作り、リーダーズ・スクラムという社内のリーダーたちが参加する枠組みの中で経営会議を行うことで、意思決定や議論を見える化し、より社会の期待に応えられる新たなWOWを起こせる組織とカルチャーづくりを推進しています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

LINEの起点は3.11であり、人間同士の在り方、社会と人間の在り方を良くすることが我々のパーパスですから、この10年間、防災・減災への取り組みを続けてきました。
加えて、この2月、2025年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル宣言」をZホールディングスとしてもLINEとしても発表しました。パンデミックも含め、近年増えている自然災害は、気候変動とリンクする課題でもあり、温暖化の防止に貢献できることは私たちの必須課題であると考えています。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

この先の10年も多くの方に多くの時間を私たちのコミュニケーション・プラットフォームの中で過ごしていただけるよう、コミュニケーション手段をどんどんアップデートしていく予定です。テキストとスタンプに、無料通話を加え、さらにビデオへ、コマースへとチャレンジしてきました。これからも、社会課題にLINEらしさを埋め込んで、ユーザーに新たな体験を提供し、社会や生活のスタイルが変わる事業を創り出していきます。
これまではオンライン中心でしたが、今後は新たな仲間と協業することで、オフラインも含めたサービスを強化します。「出前館」は飲食店様へのDX、「LINEヘルスケア」は病院や医療のDXです。他にも、企業や金融、小売店など、DXが進みにくいサービスを上手につないで「LINE化」し、「CLOSING THE DISTANCE」の領域を深め、広げていきます。

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