Kirinキリンホールディングス株式会社常務執行役員 坪井 純子 様 | インターブランドジャパン

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Kirin

坪井 純子 様

キリンホールディングス株式会社
常務執行役員

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

キリングループは、社会課題の解決を通じて社会的価値と経済的価値を創出するCSV経営を2013年から推進しています。長期経営構想では、食から医にわたる領域で、2027年までに世界のCSV先進企業となる目標を掲げました。
ブランドは、様々なステークホルダーからそのパーパス(社会での存在意義)に共感いただき、評判を得て、選ばれ続けるものと捉えています。企業ブランドは”事業を通じて社会にどんな価値を創出するか“の経営理念に共感と評判を得ることで、事業や商品・サービスとの好循環を生み、持続的成長の源泉となります。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

キリングループは、発酵バイオテクノロジーを強みに40年前に医薬事業に参入し、さらにこれらの強みを活かしたヘルスサイエンス事業の拡大を図っています。
人生100年時代といわれる中、お酒から医薬まで展開する世界でもユニークな事業ポートフォリオを持つキリングループならではのWell-being、体の健康、心の健康、人・社会とのつながりに貢献していきたいとの考えからです。これは生活者一人ひとりのLife Journeyに寄り添い、継続的な関係を築き、人生や社会の豊かさにどんなご支援ができるかという、まさにLTVの視点です。コーポレートスローガン“よろこびがつなぐ世界へ”には、そんな私たちの思いを込めています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

ブランドは従業員全員の力で築くもの。まず従業員がブランドに深く共感することが出発点です。KIRINは何のために社会に存在するのか、それが日々の仕事とどうつながるかを従業員が深く理解し、ステークホルダーからの共感や評価を実感する。そのことで企業や商品への愛着が生まれ、働きがいとなり、エンゲージメントも高まります。
キリングループは働き方改革を一歩進め、働きがい改革を進めています。Howだけでなく、Why、Whatの領域です。変化の激しい時代、イノベーションを起こし、新しい価値を創造し続けることが必要な今だからこそ、全従業員でブランドをつくっていくカルチャーを根付かせることが、持続的成長の力になると考えています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

サスティナリビティを社会全体の課題としてあらゆる活動に組み込んでいきますが、今後は取り組みを事業や商品・活動に“足し算”するだけでなく、“掛け算”、さらにはブランドパーパスそのものに組み込んでいくステージと考えています。たとえば“環境への配慮”をただ加えるだけでなく、それがあってこそブランドが成立するようなパーパスそのものへの組み込み。パーパスのAufheben です。社会課題の観点からブランドを捉えなおし、進化させる時代だと思います。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

生活者や社会が“何に共感するか”の価値の軸が、様々な意味で変わってきているのを感じます。ブランドはステークホルダーからの共感が出発点ですから、ブランドも進化しなければなりません。
大事なのは生活者や社会の変化の本質を突き詰めること、つまり“深い顧客理解”に尽きると私たちは考えています。顧客理解にゴールはありません。時代の先をみて変化の本質をつかみ取り、顧客理解を深め続けること。永遠のチャレンジです。そしてそこからブランドを進化させていきたいと思います。

Brand Value Chart

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