CAINZ株式会社カインズ代表取締役社長 CEO 高家 正行 様 | インターブランドジャパン

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CAINZ

高家 正行 様

株式会社カインズ
代表取締役社長 CEO

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

ブランドとは、我々が創り上げる価値そのもの。コミュニケーションやロゴだけではなく、商品、店舗、接客、サービス、そこで働く人たち、それらを支えるオペレーション部門など、すべてがブランドの構築に関わっていると捉えています。2019年にスタートした中期経営計画「PROJECT KINDNESS」の基本テーマは「次のカインズを創る」。事業戦略の1丁目1番地にブランドが据えられています。
そして今回、ブランドコンセプトとして「“くらし”をDIYする」を掲げました。一人一人のくらし、家族のくらし、地域のくらし、今のくらし、未来のくらし、そのすべてをDIYする、と明文化したことで、自分たちがどんな価値を提供できるかを考え、行動を生み出すことにつながっています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

これまでお客様とのつながりは店舗が中心でしたが、「となりのカインズさん」というWebメディアには月間400万?500万のページビューがあります。70?80店舗分の来客数に相当するお客様が、スマホを通して気軽にカインズに来てくださる。デジタルの浸透によってお客様とのつながりが劇的に深まり、シームレスに広がっているという実感があります。
我々のように地域に根差した小売業にとって、地域社会に価値を提供することは、経済的価値を生むだけでなく、地域の持続的な成長やさらなる社会価値を生み出すことにもつながります。「地域のくらしをDIYする」の一環として掲げている「くみまち」構想は、小売業の枠を超え、地域のさまざまなお客様、自治体や学校、NPO法人、地域の産業を担っている人たちと共に、地域のくらしを共創していこうというものです。小売業の枠を完全に超えて価値を地域の皆様と共に創っていくことで、ブランドコンセプトを具現化したいと考えています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

昨秋からHRもDIYしていこうと、新たな人事戦略「DIY HR」を進めています。自分らしいキャリアを創るDIY Career Path、新たな学びを自分らしく創るDIY Learning、コミュニケーションを自分らしく創るDIY Communication、勤務スタイルを自分らしく創るDIY Workstyle、心身の健康を自分らしく創るDIY Well-Being。これらを総称して「DIY HR」と呼んでいます。
カインズには2万人以上のメンバー(従業員)が働いています。すべてのメンバーの考え方や行動が変わっていくまでには長い時間軸が必要となりそうですが、DIYというカインズ らしさをベースにHRに取り組んでいくことで、社員一人ひとりがブランドを体現するというゴールに向けて進みやすくなっていくのではないかと思います。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

カインズは、地域の経済を豊かにしていこうという志から創業しました。当初は「安くて良いもの」を提供することで、次は自分たちが企画開発した「機能やデザインの良いもの」を提供することで、「お客様のくらしをもっと豊かにしていく」という方向に転換しました。現在は第3創業期として、「次のカインズを創る」ために、大きな改革に乗り出しています。我々は何者で、地域の暮らしにどう貢献するのか、どのような価値をつくっていくのか。まさに我々のパーパスに当たるものを、ブランドコンセプトとして明確にしました。
いま、最大の社会的課題となっている環境保護についても、未来のくらし、地域のくらしを良くしていくという我々の本業の一環として、全社を挙げて様々な取り組みを進めています。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

「くらしに、ららら。」をプロミスとして掲げ、ブランドコンセプトの実現に向けて10年計画で取り組んでいます。その大きな軸と言えるのが、今までの延長線上ではなく、10年後を想像して、そこからバックキャストした次世代型店舗を創ることです。
「CAINZ Vision 2030」ではDIYという文化を日本に創っていくことを標榜しています。その鍵となるのが、「“くらし”をDIYする」というブランドコンセプトであり、地域に対して社会的価値と経済的価値を両立させる「くみまち」構想です。この2つが、カインズがさらに進化を遂げるための両輪となると考えています。

Brand Value Chart

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