Brotherブラザー工業株式会社CSR &コミュニケーション部長 出原 遠宏 様 | インターブランドジャパン

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Brother

出原 遠宏 様

ブラザー工業株式会社
CSR &コミュニケーション部長

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

「Brother」の由来は、創業者兄弟が1928年に開発したミシンのプロダクトブランドにあり、そこには兄弟をはじめ多くの人たちの力を結集して開発したという想いが込められています。企業活動は一人で出来るものではなく、一社で出来るものでもありません。このブランドには創業時の精神が凝縮されており、企業価値でもありますので、私たちは誇らしく感じています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

ブラザーはグローバルなコーポレートメッセージとして“At your side.”を掲げています。“At your side.”の“you”は、お客様、従業員、ビジネスパートナー、株主、地域社会、環境といったステークホルダーであり、お客様には現在のお客様だけではなく将来のお客様も含まれています。これは、私たちがすべての活動の礎としている「ブラザーグループ グローバル憲章」でも定めてられています。
一方、ブラザーを取り巻く社会環境や事業環境は急速に変化しています。このような変化に対応し成長していくためには、常に“At your side.”を意識し、長期的な視点で目指す姿を描き戦略につなげることが必要であると考え、2030年をターゲットとした新たなグループビジョン「At your side 2030」を4月からスタートさせます。ブラザーの「あり続けたい姿」を「世界中の“あなた”の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」と定義し、加えて「価値の提供方法」「注力領域」も明らかにしました。今後はこのビジョンからバックキャスティングし中期戦略の立案・実行に取り組んでいくことになります。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

ブラザーはミシンでスタートした企業ですが、時代の変化に応じてタイプライター、プリンター、工作機械、通信カラオケなど、新しい商品を次々と生み出してきました。その原動力の一つが、社長の佐々木の言葉を借りると「会社は従業員の努力の増幅器であり、一人ひとりの想いを、会社で大きくする」という考え方だと思います。従業員の個性がイノベーションの原動力になっており、多様な個性を尊重することでイノベーションを生み出す。そのためには、失敗も受け入れるという社風がブラザーには息づいています。
そんな風通しのいい企業であり続けるために、上司と部下の1on1のコミュニケーションを積極的に実施し、経営トップ自らも現場との対話を大切にしています。また、グローバル憲章については、従業員がアンバサダーとなって浸透させる草の根的な活動も続けています。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

お客様や社会からの要請に応えるためにESGの取り組みを強化しています。気候変動への対応、人権の保護、ダイバーシティ&インクルージョンなど規定演技的な要素はもちろんですが、それらを実現したうえで「ブラザーとして、社会にどのような価値を持続的に提供し続けることができるか」といった自由演技の部分も大変重要だと考えています。例えば現在、各事業においてお客様とのつながりをより強めることを重要視しています。お客様としっかりつながることで、お客様の要求を正確に把握し、それを商品開発に生かすことができるでしょうし、適切なアフターサービスを提供し、当社の製品をより長期にわたって使っていただくこともできます。また使用後の製品や消耗品などの回収も容易になり、資源循環という観点でも貢献ができます。このようにお客様とつながることを、ブラザーのサステナブルな成長にもつなげていきます。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

ブラザーは2030年に向けて「産業用領域のかけがえのないパートナーになる」こと、そして「プリンティングのオンリーワンを極め、次を切り拓く」ことを目指します。これらはビジョン「At your side 2030」の「注力領域」でうたわれている内容です。私たちはこれまでも、事業変革の歴史の中で培った多様な独自技術と、グローバルネットワークを最大限に生かし、新たな事業を生み出してきました。これからも進歩し続けたいと願うすべての人の思いを支えるため、グローバル複合事業企業ならではの強みを発揮し、外からの学びも生かしながら、モノ創りにとどまらない価値づくりでお客様のありたい姿を実現していきます。

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