Asahiアサヒグループホールディングス株式会社執行役員、ヘッド・オブ・ストラテジー 佐藤 輝 様 | インターブランドジャパン

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Asahi

佐藤 輝 様

アサヒグループホールディングス株式会社
執行役員、ヘッド・オブ・ストラテジー

Best Japan Brands 2022
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

貴社における経営において、ブランドとはどのような位置づけでしょうか?

わたしたちにとってブランドとは、すべてのステークホルダーがAsahiと関係を持つための理由です。お客様にとってそれは、製品を手に取る理由であり、トレード上のパートナーにとってはAsahiと付き合う理由になる。従業員にとってはAsahiで働く理由に他なりません。
変化の激しい時代。30年前からそう言われ続けていますが、いま起きている変化は、資本主義の在り方や、会社と人の関係に及ぶ本質的な変化です。その中でAsahiはどうあるべきか、私たちの根本にある活動や繋がりはどうあるべきかについて、その理由を明確に説明できないといけません。
近年はM&Aで事業を拡大してきたことで、新たにアサヒの仲間になった従業員も多いため、Asahiに所属している理由、さらには付加価値もつくっていきたいと考えています。Asahiの知名度は、日本以外ではまだまだ。グローバルでビジネスをするにあたっては、グローバルレベルで優秀な人材を獲得する必要もあるでしょう。そうやって、世界とつながりたいというアンビションを持っています。

近年、顧客起点、LTV (Lifetime Value) という概念がより重要視されてきている傾向にありますが、そうした既存顧客だけではなく将来の顧客、あるいはより幅広い生活者、社会との関係構築やそれに基づくブランドの在り方について、どのようにお考えでしょうか?

商品特性上、LTVという概念は、事業活動のベースとしてずっと大切にしてきました。しかし、ウェルビーイングという概念も変化し、私たちがこれまで良いと思っていたことが、これからは必ずしも良いと思われなくなるリスクも感じています。多様な価値が生まれる中、必要なのは、従来の概念を一歩推し進め、よりお客様に寄り添い、LTVの総和を広げていくことでしょう。供給側の視点ではなく、消費者の視点を持つことが重要だと思っています。

事業・ブランド成長に向けて、社員の存在がより重要になってきている中で、ブランドに基づく企業のカルチャーづくり、それに基づく社員のエンゲージメントについて、どのようにお考えでしょうか?

モノをつくってモノを売る私たちのビジネスにおいて、意思決定力は現場にあります。ガバナンスを強化しても、それによって担保できる部分は限定的です。だからこそ、日常的な判断基準が社員と共有できていることが重要です。会社への信頼、ブランドに対する共感がベースにあることが、エンゲージメントを高め、大きなパワーになります。
Asahiにとって、その根幹にあるのが、グループ理念として2019年からグローバルで運用しているAGP(Asahi Group Philosophy)です。理念の共有はグローバルではとても重要なことであり、前述したM&Aで新たにアサヒの仲間になった従業員との一体感を高める推進力にもなっています。
ローカルが動かないとビジネスも動きません。AGPがきちんと随所に行き渡り、共有できるよう、ブレイクダウンを継続的に進めていきます。

SDGsやサステナビリティが必須課題として設定されるような時代背景を踏まえて、ブランドの存在や役割は、どのように進化・変化が求められると思いますか? ブランドのパーパスに関するお考え、取組、ご検討状況なども交えて、お教えください

サステナビリティ活動については、事業活動と相反するものではなく、同一線上で語られるべきです。コーポレートブランドにおいても、商品ブランドにおいても、社会に対してプラスのインパクトを与える責任があると考えています。
ブランドの社会活動を通じての顧客意識変化についてアンケートを取ると、環境や社会に貢献している企業から商品を買いたいという意向は、確実に増えています。今そうした教育を受けている年代の子が消費世代になったときには、大きな動きになっているでしょう。

このような環境の中で、今後さらにブランド価値を高め続けていくために、どの様なチャレンジを行うことをお考えでしょうか?

この2月に発表した長期戦略においては「変化するウェルビーイングに応え、環境だけでなく人々の意識の変化に応えていく」ことを骨子に掲げています。これをベースに、実践の中でエンゲージメントを高めていくことが最大のチャレンジになります。
まずはアクションし、お客様の声を聞き、それを取り込み、経営に反映する。このサイクルを回していくことが、コーポレートブランドの蓄積に重要だと考えています。耳の痛い話にも真摯に向き合い、その声を聞いて取り込まないといけない。そして次のアクションをとることで、批判の声がプラスに変われば、大きな変化となるはずです。その継続こそがブランドを成長させると、確信しています。

Brand Value Chart

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