Fujifilm富士フイルムホールディングス株式会社 執行役員 デザインセンター長 堀切 和久様 | インターブランドジャパン

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Fujifilm

堀切 和久様

富士フイルムホールディングス株式会社
執行役員 デザインセンター長

Best Japan Brands 2021
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが4つの質問に答えるインタビューシリーズ。

これからの経営において、ブランドをどのような存在として位置付けていますか?

商品が「表現」だとしたら、ブランドは「表明」だと思います。FUJIFILMはかつて写真フィルムの会社でした。当時は製品と社名がほぼイコールだったので「表明」しやすかったのですが、今はデジタルカメラから医療機器、化粧品、医薬品まで、幅広い領域のビジネスを展開しています。
会社を自ら変革してきた内部から見れば、どのビジネスも写真フィルムで培ってきた技術が基軸になっているので違和感はありませんが、お客様から見ればどの事業も唐突で、「飛び地」のように感じるかもしれません。その中で、会社の姿勢や志を「表明」し、「約束」するために、ブランドはなくてはならない存在であり、事業を推進する「先導役」だと考えています。

これからの時代を考えたときに、ブランド成長を目指すうえで、これまでと比較して変えなければならない視点、変えない視点についてお知らせください。

写真フィルム事業で培ってきた技術をアセットとして、事業を推進する姿勢は変えません。そのうえで、事業領域はこれからも広げていきますので、歩みを止めないブランドイメージを創っていきたいですね。
「先進・独自の技術をもって、最高品質の商品やサービスを提供する事により、社会の文化・科学・技術・産業の発展、健康増進、環境保持に貢献し、人々の生活の質のさらなる向上に寄与する」という企業理念を体現するだけでなく、それを社会に伝えていくことが必要だと考えています。数年前から展開しているグローバルブランディングキャンペーン 「NEVER STOP」のようなスタイルで、丁寧にコミュニケーションしていきます。

今後、ブランド価値をさらに高めていくためには、どのようなことが大切だとお考えでしょうか?

最近は、モノづくりが軽視されがちな風潮がありますが、私たちは、コトだけでなくモノも大切にし続けたいと考えています。モノには必ずストーリーが付いています。ユーザーエクスペリエンスに不可欠な体験や手触り感が、モノにはあります。そこから生まれる感動がブランドにつながると信じています。
そしてフォーキャストも大切ですが、むしろバックキャストな発想が大切になってくるのではないでしょうか。未来は誰にも予測できませんから。むしろ目標となる未来を定め、そこを起点に現在をみつめて、今なすべきこと、今変えるべきことを把握したうえで、考え、行動することがブランド価値向上につながると思います。

今後、ブランド成長を目指し、具体的に予定されているアクションがありますか?

FUJIFILMは、もともと「富士写真フイルム」という社名でした。ここから「写真」を外し、トップから現場までが一体となって、変化や失敗を恐れず、しなやかに環境に対応する力を身につけてきました。しかし、事業の多角化に伴い、新しい人たちがどんどん増えてくれば、本社では暗黙知として共有されている「らしさ」は失われかねません。今後はインナーブランディング、とりわけ海外のインナーブランディングを強化していきます。製品だけがブランドを創るわけではありません。ブランドを社員にとって、マグネットのような存在にしていきたいと考えています。

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