これからの経営において、ブランドをどのような存在として位置付けていますか?
アシックスにとって、ブランドとは商品やコミュニケーションを通じて伝えていくべき姿であり、社会や顧客からの信頼、お約束の証です。言い換えれば、ブランドはインタンジブルアセット(無形資産)の中でも最も重要であり、その価値を高めていくことは経営課題そのものだと考えています。
アシックスにとって、ブランドとは商品やコミュニケーションを通じて伝えていくべき姿であり、社会や顧客からの信頼、お約束の証です。言い換えれば、ブランドはインタンジブルアセット(無形資産)の中でも最も重要であり、その価値を高めていくことは経営課題そのものだと考えています。
アシックスは昨年10月、2030年までの10年間にわたる長期ビジョン「VISION2030」を策定しました。ここで宣言したことは、これまで「パフォーマンス・アスリート」のためのビジネスを中心に展開してきたアシックスが、今後は誰もが生涯スポーツに関わり、心身が健康で居続けられる世界の実現を標榜するブランドに進化するというビジョンです。
これを契機に、アシックスは事業ドメインを、「プロダクト」のみならず、「ファシリティとコミュニティ」の提供、データに基づいた「アナリシスとダイアグノシス(分析・診断)」へ拡張します。同時に、すべての事業ドメインを「デジタル」「パーソナル」「サステナブル」というテーマで繋ぎ、デジタルを活用して、お客様一人ひとりに最適化された商品を、サステナブルな手法を駆使してお届けしていきます。
一方、創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし」への想いは、今後も変わることはありません。その精神を表すブランド・スローガン「Sound Mind, Sound Body」をテーマにしたグローバルブランドキャンペーンもスタートさせたところです。
なんといってもこれからは「スポーツ×デジタル」です。コロナ禍の中、世界179ヵ国、13,602チーム、約5万人にご参加いただいたバーチャル駅伝レース「ASICS World Ekiden2020」や、カシオ計算機との共創事業により創出されたランニング用ウエアラブルデバイスを用いたコーチングサービスも、そのひとつです。
今後はデバイスだけでなく、大会エントリー、データ分析に基づいた食事のケアやトレーニングへのアドバイスなどのソリューションを提供できるランニングのエコシステムをつくりたいですね。同時に、スポーツを愛する人々のコミュニティもつくっていきます。これは、リアルとバーチャルを掛け合わせてやっていきます。
そしてなにより、社員自身が「Sound Mind, Sound Body」を実践することが重要。社員にも発破をかけているところです。
先ほど触れた「デジタル」「パーソナル」「サステナブル」を体現していく活動に力を入れていきます。デジタルについては今お話ししたとおりですが、「パーソナル」という側面では、例えば既製のサイズに足を合わせることが常識のシューズのあり方を変革するといったイノベーションを起こしたいですね。また、「サステナブル」については大上段に構えるのではなく、暑すぎる環境ではスポーツが楽しめないという等身大の危機感をモチベーションに、再生素材の活用や、製造工程の自動化によりCO2削減に取り組んでいきます。さらに、女性向けの新ブランドも構想中です。